Rooftop ルーフトップ

COLUMN

トップコラムおじさんの眼第196回「哀愁と孤独に向き合う晩秋」

96回「哀愁と孤独に向き合う晩秋」

第196回「哀愁と孤独に向き合う晩秋」

2014.11.06

ojisan_01.jpgのサムネイル画像

歌舞伎町の魅力とは何だったのか

 この連載ではもう幾度となく触れているが、また、歌舞伎町のことを書く。東洋一の歓楽街「新宿歌舞伎町」は再開発が進んでいる。伝統ある歌謡ショーの名門・コマ劇場が2008年に閉館し、跡地には地上31階の高層ビルが完成を待つばかりになっている。この施設の1階はパチンコ店が入るらしい。2~4階は12スクリーンのシネコン、さらに上階は1030室もの巨大ホテルが入る予定だという。
 ビルが完成し、施設がオープンするのは2015年の予定。目の前の噴水広場に面した別の場所にも、地上28階の高層ビルの工事も進んでいる。こちらには全620室のホテルが入るらしい。歌舞伎町の中心は、ホテルだらけになるのだろうか。
 2004年末、東京都知事・石原慎太郎がいわゆる「歌舞伎町浄化作戦」を開始して以来、それまでの風俗店各種のほとんどが駆逐され、カラオケ、チェーン居酒屋、パチンコ屋が進出してきた。東洋一の歓楽街として異彩を放っていた歌舞伎町は、日本中、どこの都市でもあるような画一化した風景へと変貌しつつある。歌舞伎町の怪しげな熱気や狂気は消え、深夜徘徊する人の数も極端に減ってしまった。2000軒を超えていたとも言われるフーゾクは影が薄くなり、ヤバイ店はほとんど地下に潜った。一時期は一日40万人と言われたこの町を訪れる人も、今は15万人程度と言われている。
 現在、新宿区と歌舞伎町商店街は、「歌舞伎町ルネッサンス」を旗印に、「エンターテイメントシティ・歌舞伎町再生計画」を将来の街づくりのコンセプトとして掲げている。
「歌舞伎町の魅力は、猥雑(わいざつ)さやどこまでも深いエロの世界だった。楽しく、奇妙で、時代の最先端を行っている面白い風俗もたくさんあった。人間の本質的な欲望が渦巻くから人が集まり、カネが落ちる。なのに、浄化作戦だと片っ端から店を摘発しまくった。2020年のオリンピックの際に、外国人が安心して遊べる歓楽街にするため、歌舞伎町をクリーンにするという。ただ健全だけの街では、オリンピックに訪れる外国人観光客もガッカリするのではないか。
 厳しく取り締まることによって、よりアンダーグラウンド化しする。「歌舞伎町は人口あたりの凶悪犯罪やレイプ事件などの件数も、諸外国に比べると遥かに少ない」と、歌舞伎町のプロの案内人は言う。
 

卒論のテーマが「平野悠」だって!?

 もう1年も前になるだろうか? ロフトプラスワンという空間でアルバイトとして働いていた女子大生が、卒論担当の武蔵大学教授と共に私の前に現れた。
「……実は、この子が卒論のテーマを〝平野悠〟にしたいと言っているんですが、協力してもらえないでしょうか?」
「何! 卒論でテーマが俺の生き方? そんなの卒論になるんですか?」
「いや、出来上がって卒論を読んでみなければわからないけれど、面白そうだし、こういうのを扱うのは私も初めてなんですが……」
「なんでまた、私なんでしょうかね?」と聞く。
「平野さんが、私の授業の講師を何回かやりましたよね。彼女はその時の受講生の一人で、関心を持ったみたいなんです。『無給でもいいから、トークライブハウスというところで働きたい』と言い出して。実際アルバイトとして働いてみると、『人生観が変わった』と言うんですよね。きっかけはそんな所です」
 もちろん、私は断固断ろうと思った。私の生き方をテーマにした卒論なんて自分としては興味がわかないし、それに付き合う私自身、想像出来なかった。第一、そんな立派な生き方をしてきた覚えはないし……。
 しかしいつしか、「断るのも大人げないな」と、思うようになった。若い女子学生が一生懸命生きているのを手伝うのも、私の仕事かもしれない。
 そして彼女は、「脱原発国会包囲デモやヘイトスピーチ反対運動」にも、私と共にカメラを持ってついて回るようになった。彼女のインタビューも何回かこなした。
 それで終わりだと思っていたが、意外な展開になった。ある日、彼女からこう告げられた。
「平野さん、卒論のDVDを制作しました。約40分間あります。この映像を公開がてら、Naked Loftでイベントを開催したいので、出席して下さい」と来た。参ったな、と思いつつ、今更引っ込みもつかない。そんな経緯で行われたのが、10月2日に行われた、「『語り合う場から~ライブハウス親父の生き様を見ろ!~』上映会」だった。
 
ojisan_02.jpg
10月2日、Nakedには60人もの客が集まった。
監督・芳賀真奈美(私の右下でピースサインをしている)は女子大生。
同期の大学生達もたくさん来てくれた
 
 秋が刻々と深まる中、NHK・Eテレの「オイコノミア」にゲスト出演した。「これで平野さんもNHK文化人だ!」なんて言われた(笑)。番組が放映された次の日には、大阪サンテレビのワイドショーで、Loft PlusOne Westが特集された。おかげで、ロフトのサーバーがアクセス集中し過ぎてダウン。まだまだ巷で市民権を得るまでには至っていない、Loft PlusOne West。ぼちぼち、大阪持ち込み企画が入って来るようになった。これが一番うれしい。
 
ojisan_03.JPG
「オイコノミア」の記念写真は、落書きだらけの新宿ロフト楽屋で。
左から、ピース・又吉(お笑い芸人)、私、淺田義久(日大教授)
 
ojisan_04.jpg
神戸新聞にも載ったLoft PlusOne West
 
このアーティストの関連記事

COLUMN LIST連載コラム一覧

  • おじさんの眼
  • ロフトレーベルインフォメーション
  • イノマー<オナニーマシーン>の『自慰伝(序章)』
  • ISHIYA 異次元の常識
  • 鈴木邦男(文筆家・元一水会顧問)の右顧左眄
  • 月刊牧村
  • 絵恋ちゃんの ああ えらそうに コラムが書きたい
  • おくはらしおり(阿佐ヶ谷ロフトA)のホントシオリ
  • 石丸元章「半径168センチの大問題」
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の歴史のふし穴
  • 煩悩放出 〜せきしろの考えたこと〜
  •  朗読詩人 成宮アイコの「されど、望もう」
  • 今野亜美のスナック亜美
  • 山脇唯「2SEE MORE」
  • 大島薫の「マイセルフ、ユアセルフ。」
  • 能町みね子 新中野の森 アーティストプロジェクト
  • 能町みね子 中野の森BAND
  • アーバンギャルド浜崎容子のバラ色の人生
  • 戌井昭人の想い出の音楽番外地
  • さめざめの恋愛ドキュメンタリー
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の ああ夢城
  • 吉田 豪の雑談天国(ニューエストモデル風)
  • ゲッターズ飯田のピンチをチャンスに変えるヒント
  • 最終少女ひかさ 但野正和の ローリングロンリーレビュー
  • 吉村智樹まちめぐ‼
  • いざゆかんとす関西版
  • エンドケイプの室外機マニア
  • 日高 央(ヒダカトオル)のモアベタ〜よ〜
  • ザッツ団地エンターテイメン棟
  • 劔樹人&森下くるみの「センチメンタル「非」交差点」
  • 三原重夫のビギナーズ・ドラム・レッスン
  • ポーラーサークル~未知なる漫画家オムニバス羽生生純×古泉智浩×タイム涼介×枡野浩一
  • the cabs 高橋國光「アブサロム、または、ぼくの失敗における」
  • “ふぇのたす”ちひろ's cooking studio
  • JOJO広重の『人生非常階段』〜今月のあなたの運勢〜
  • マリアンヌ東雲 悦楽酒場
  • 大谷雅恵 人生いつでも初体験
  • ジュリエットやまだのイケメンショッキング
  • ケラリーノ・サンドロヴィッチ ロック再入門
  • 岡留安則 “沖縄からの『書くミサイル』”「噂の真相」極東番外地編
  • 高須基仁 メディア論『裏目を読んで半目張る』
  • 田中 優 環境はエンタメだ!
  • 雨宮処凛 一生バンギャル宣言!
  • 大久保佳代子 ガールズトーーーク!!!!!
  • DO THE HOPPY!!!!!
ロフトチャンネル
平野悠
keep the rooftop
どうぶつ
癒されたいカルチャー
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻