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トップコラムおじさんの眼第185回「師走る前の秋の夜長に」

85回「師走る前の秋の夜長に」

第185回「師走る前の秋の夜長に」

2013.12.02

東京で見つけた美しい自然

PB160197.jpg つい半月ほど前までは30度を超える暑さが毎日我々を襲っていたのに、数度の台風襲来の後、一瞬にして秋が深まった感がある。毎年、この時期の私にとっては紅葉狩りが常だったが、今年は何か出そびれた感じだ。「とにかくどこかに紅葉を見に行かねばならぬ」と、11月半ば、奥多摩湖周辺に行ってみることに決めた。
 土曜日の朝8時に出発。奥多摩湖はれっきとした東京都なのだが、新宿から3時間近くもかかる。最近、この奥多摩湖から小河内ダムにかかる、ドラム缶橋と紅葉が美しいと、テレビ放送があったばかりだという。立川から青梅線に乗りかえると、満員電車。その年齢層がまた、高いこと高いこと。いやな予感通りだった。
 しかし、観光客の人混みさえ観なければ、奥多摩は美しい。高尾山もそうだが、東京にも自然の豊かな場所は数々あるのだ。ただまあ、毎年紅葉を見ている身からすると、今年は今ひとつ。赤と黄色がどうも色鮮やかでない。ものすごい暑さが続いた影響なのだそうだ。
 そうはいっても、日本の四季折々の風情は素晴らしい。日本の自然こそ世界一の風景なのだと思う。
 

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小河内ダムにかかる樽橋


ゆったりとした時間に
身をまかそう。
鳥たちのさえずり、風のそよぎ、
木々や土の香り……
五感で感じる自然は
心も身体も癒してくれる
(山のふるさと村パンフレットより)
 

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ダムのふれあいセンターで「つるし柿講座」をやっていたので参加。一生懸命柿をむく
 

オケタニ邸でOLさん達と……

 紅葉見学から数日たったある日。
「今日のパーティにはOLが4〜5人は来るかな」とオケタニは言う。
「えっ、6畳一間の鍋パーティにOLがわんさか来る? 俺も行きたい。つれて行け!」と私。
「いいですよ。鍋パーティの会費は2800円です」
「行く、行く。憧れのOLと深夜まで酒を飲んで鍋食べて。超狭い空間だし、肌が触れても仕方がないし、酔っているから何が起こっても不思議ではないな。もしかしたら男女入り乱れての乱……(おっととと)」私の空想は膨らんだ。
「そういう不心得な考えを持つ人は出入り禁止です」と、オケタニは冷ややかに言った。
 オケタニイクロウは関西出身である。Naked Loftの常連出演者だ。そして年に100回も(この日はトータルで503回目だと)自室で有料の鍋パーティを開いて、その収入がオケタニの生活費にもなっている。凄い。もちろん、営業許可も保健所にも届けてはいない。
 この日私は、ある大学での特別授業「トークライブハウスの現在と将来」なんていう怪しげなテーマでゼミの講義を行っていた。授業が終了し、そこの生徒や教授と居酒屋で午後4時から酒を飲んでいて、そこでパワーと空気を入れての出席だ。
 

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オケタニ邸の鍋パーティで憧れのOLと記念撮影

不安なままにOLの登場を待つ

 ドアを開けると、オケタニが懸命に鍋の仕込みをやっていた。
 部屋は狭い、汚い、キッチンスペースもほとんどない。座布団なんかシミだらけ。ここにOL達が……、となんだか妙にドキドキした(笑)。しかし、本当にこんな部屋にOLがわんさか来るのかいな?
 今のところ参加者は私一人。これからこのオケタニオヤジとOLを待ちながら、二人してさみしい酒を 飲むのかと思うと憂鬱になった。
 オケタニの鍋支度を見ながら待つこと30分。一人のOLがやって来た。10分後にまた一人、そしてまた一人。そして若い男性が一人。合計で男3人女性3人になった。
「こりゃ〜まんざらオケタニの言うこともウソじゃなかったな。第一、みんな結構いい感じの女だ。これはいい」と思った。
 鍋は、私が一番苦手な生の魚をぶつ切りにし、野菜も肉も何でもやたらぶち込むというものだった。さらにはケチャップまでも入れる。とても魚臭くって食べられない。しかしみんな美味しそうに食べていて、私はその様子を不思議そうに見るばかりだった。お酒と箸が進むにつれて、会話も弾む。みんな楽しそうだ。何かいやらしいことが起こる気配はない、とすぐ理解した。確かにそれはそうだ。三日に一回やっているパーティ、私が空想するようなことが毎回起こったら、そりゃ〜大変だ。
 午後10時、私は呑み疲れて退散。オケタニ邸を去り銭湯に急いだ。こういうパーティは後でたいてい「行かなければ良かった」となるのだが、今回は全くそういう気分にならず、「また参加したいな」と思うことしきりだった。
 

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これがオケタニ自慢の鍋だ

 最近、70歳近くなり身体の調子もそこそこ危うくなった気がしている。「人生の終わり方」を良く考える。「ありがとう」「感謝」という気持ちを忘れずに、と自分に言い聞かせる。そして、「思ったことは全てやり通したのか?」という命題に、いまだ向き合っている自分がいる。

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