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63回「瘋癲老人が銭湯で見つけた憂鬱と希望」

第163回「瘋癲老人が銭湯で見つけた憂鬱と希望」

2011.11.02

愚痴、愚問とわかっているが……

 このところ、ロフトの色々な事象にも飽きていて、どうしてもポジティブ、パワフルになれない。これも年のせいか? 会社もサボり気味で毎日あてどもない生活をしている。
 今日もまた、朝の目覚めの中で、カーテン越しに差し込んでくる光の加減を見ながら空想する。「さて、天気もいい。今日は何をして一日を過ごそう?」とか、色々な思いをめぐらす瞬間は実に大好きなのだが、一日が終わり、「今日という日を生きてどうだったのか」と、ふっと顧みると何も出てこない自分の日常にがっかりしたりする。会社に行ったところで、なんの仕事もないのにパソコンを開いて、Twitterか囲碁ゲームをやるのが関の山だ。
 昼間はスケジュールのブッキングをして、夜、店が始まると前掛けして「いらっしゃい!」なんて言いながらミュージシャンやお客さんを迎え、彼らと朝まで酒を飲んで、朝起きると知らない女が隣に寝ていたりして(おっとっとっと……)。そんな若き頃が懐かしい。
 やはりあの時代、ロック黎明期の緊張感もあって、現場はとにかく楽しかった。PAも照明も、舞台整理も、プロじゃなくっても、みんな自分たちでやりきった。今考えると実に自由で恐れを知らなかった。希望があった。
 しかし、目の前の現実の自分は、積極的にこちらから他者にコミュケーションを取ろうとしない限り、いつまでも孤独なのだ。そろそろ退職する気満々なのだが──約40年近く一緒に過ごしてきたロフト。泣いたり、笑ったり、怒ったりの現場から、いったいいつ去ればいいのだろう?

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紅葉見頃の西沢渓谷。三年続けて紅葉参りをしている。この時期私が一番気に入っているスポットだ

年金受給開始年齢が70歳! ……やはり政府は信用できない

 考えてみれば、私ももう60代後半。昔、76歳で死んだ私のオヤジが、「歳をとると、毎日どこかが悪かったり痛かったりする。歳をとるということは嫌なもんだ」とぼやいていた記憶がある。私もこの年になって今、その言葉を実感している。いつぽっくり逝ってもおかしくない。還暦の60歳はいたく元気だったが、65歳を過ぎると見事に体力と気力がダウンする。70歳になると、さらに年老いたことを実感するという。
 高血圧の次は糖尿病予備軍治療、大腸ガン手術、高コレステロール、貧血治療、そして初めての腰痛と頸椎から来る猛烈な肩こりと、もうそれは同時多発的に起ってきた。これが私のここ2年あまりの病歴なのだ。
 ふと回りを見わたすと、同年代の友達のほとんどは、もう年金暮らしである。もちろん、若い頃から大会社のサラリーマンや公務員だったら、充分な年金が毎月死ぬまで支払われる(親方日の丸=国がこのまま潰れなければの話しだが)。
 だが、私たちがまだ若かった頃、40年前には、「こんなムチャクチャな年金制度は俺達がジジイになる頃には崩壊しているに決まっている。だから払わない」という人が、特に自営業者やフリーランスの人達に多かった。
 年金は、25年も払い続けやっとその権利が得られる。もちろん私も若い頃は払わなかったし、10年近くの外国生活が響いてほとんど貰えない。
 私は少々の貯金を持っているので何とかなりそうだが、貯金も働くところもない老人達は、必然的に生活保護ということになる。生活保護受給者は今、圧倒的に増えているらしい。それと同時に、高齢者の自殺も増えているそうだ。60歳以上の自殺者数は、1万人をゆうに超えていて、今後もさらに増える、という話もある。
 最近、政府は大震災復興にかこつけて、年金受給開始年齢を70歳にすると言い出した。これは凄い。当初の計画は60歳からだったから、サラリーマンは定年まで頑張ればなんとかなったが、今や60歳で退職してからさらに10年間、どう暮らして行くか、も考えなければいけなくなったのだ。
 やはり政府は信用できない。ヨーロッパの福祉国家には、税金は高いが「ゆりかごから墓場まで」を徹底的に保証している国がいくつもあるが、日本はそこまで成熟していない、ということなのだろうか。

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恵比寿の付近で見つけた。いいな

とある秋の夜長、町の銭湯にて

 数日前、深夜の行きつけの銭湯で、ラーメン屋のオヤジがしょんぼり浴槽に入っていた。「どうした、元気がねえな〜」と私は声をかけると、「うん、俺よ、前立腺のガンで手術するんだよ」「そりゃ〜ヤバいな。前立腺の手術をやると、ムスコが使い物にならなくなるってよ」「いや、シリコン入れれば大丈夫だそうだ」「えっ、シリコン入れたら欲情していないときでも勃ちっぱなしか? 邪魔だな(笑)」「そうよ、満員電車には乗れないよ」そうやって冗談を言いあった。
 次の夜、銭湯でまたそのオヤジと会った。「それでいつ入院するの?」「来週になると思う。医者が、シリコン入れるかどうか奥さんと相談しろって」「うん。そしたら……」「かみさんに話したら、『わたしゃもう上がっているからいい』と言うんだ。悲しいね」「でも、まだ行きつけのソープの女には聞いていないんだ」「そうか? 忙しいこっちゃ……(笑)」

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10月24日、世田谷区長保坂のぶとを激励する会。久しぶりに菅直人を見た

池澤夏樹と上杉隆の言に思う

 以下、10月4日の朝日新聞夕刊、池澤夏樹さんのコラムから抜粋する。
「野田首相が国連で「原発の安全性を世界最高水準に高める」と演説した。
 まだそんなことを言っているのかとあきれかえる。日本の原発の安全性はなにも「世界最高水準」である必要はない。世界で何番目だろうがかまわない。ただ安全であればいいのだ。〜中略〜
 国際社会という場で考えるならば、我々は恐ろしく恥ずかしいことをしてしまった。事故を起こして大量の放射性物質を大気中と海水の中に放出したのだ。この事実に対して、野田氏の演説は反省の言葉として誠意が感じられるだろうか?
原発の輸出は倫理的に許されるだろうか? 〜中略〜
 我々はこの国の電力業界と経済産業省、ならびに少なからぬ数の政界人から成る原発グループの首根っこを捕まえてフクシマに連れて行き、壊れた原子炉に鼻面を押し付けて頭を叩かなければならない。〜後略〜」
 上杉隆氏は、「ここまで頑張っても、あの悪害限りなき〝記者クラブ〟も、日本を裏支配してきた『原発村社会』も崩壊の兆しすら見えない。そして私はデマ屋と呼ばれる。もう私は力尽きました」とプラスワンのトークライブで言っていたが、実は私も絶望しているのは同じだ。
 私はそこで居直るしかない。「そうか、俺達ジジィは放射能の被害が出る前に多分死んでしまうけど──。十年後、一番の被害者になる君たちが無関心なら、それでいいんじゃない?」と思うしかない。あっ、また原発のことを書いてしまったな。

 もう東京の郊外は晩秋の気配だ。この1年、私は東京の緑豊かな武蔵野、多摩丘陵の名もなき小さな駅に降り、何回となく散策を楽しいんでいる。京王線の八王子の手前から小田急線の百合ヶ丘近辺の、ちょっと奥まった森林が素晴らしい。


ロフト系美女

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 ロフトプラスワンの古参店員デス・ミワ。おいおい。全身にタトゥーが入ってるそうだ。でも、とても優しい子なのだよ

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