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トップコラムおじさんの眼第162回 そろそろ紅葉探検に行く準備を

62回 そろそろ紅葉探検に行く準備を

第162回 そろそろ紅葉探検に行く準備を

2011.10.04

 今月のコラムこそ「原発」の話は断固やめようと思っていた。ちょっと疲れた。それで「さて何のテーマで書くか?」とつらつら思い悩んだが、何も出てこない。こんなときは、ここ一カ月のスケジュール帳を見ながら、切れ切れの思い出を日記風に綴るのが一番いいと思った。

8月23日(火) ロフトグループ上長会議

 午後1時半からロフト上長会議。この会議は毎月一回、社長以下の各セクショントップが集まり、営業の分析から今後の会社の方針を出すために開かれている。
 この日のテーマは「ロフトチャンネル有料化問題」だ。現在、ロフトはニコニコ動画、Ustreamと二つの会社の放送網を借りて、随時、全店からライブ中継を行っている。もちろん無料だし、遠距離に住んでいる人はネットでライブ中継を観れるので、新たな客層の獲得にもつながる。
 しかし、ライブハウスはお金を払って店に来てくれる人で成り立っている。中継を始めた当初は、「無料にすれば、お金を払ってライブを観に来てくれるお客さんは確実に減るのではないか?」という危惧はあったが、一定の減少期間が過ぎると、店に来てくれるお客さんは、むしろ若干増え出してきたのがうれしい。
 この無料中継、実に評判はいいのだが、ちょっと経費がかかりすぎるのが頭が痛い。中継費用は全て我々ロフトの負担なのだ。ニコニコ動画、Ustreamからは一銭の入金もない。たまのライブ中継ぐらいであればたいしたことないのだが、ロフトの場合全店(5店舗)で、月間約200本近くものライブを配信している。この経費はバカにならない。ニコ動では、毎月500円の有料プレミアム会員が150万人近くいるそうだ(私も会員だ)。私たちロフトも、良質な番組を配信し続けるために最低限の有料化をして、ネットテレビ局(毎日一定の時間放映)化したいと思っているのだが……。

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大塚まさじネイキッドライブ。ほどよく渋くいい感じのライブでした

8月26日(金)大塚まさじ Naked Loftライブ

 午後7時半から「大塚まさじ トーク&ワンマンライブ〜月の道標〜」の後半に出演する。日本のベルウッド系フォークの草分けの人である。60歳を過ぎても、まるで吟遊詩人の如く、ふら〜っと全国をギター一本かついで歌って回っている。
 東京にはライブハウスが一軒もなくなってしまった1972年。ロフトは中央線西荻窪にライブハウス「西荻窪ロフト」をオープンさせる。そんな時代から大塚まさじさんは歌っていた。拓郎とか陽水とかの営業的成功は別にして、アンダーグラウンドのフォークとして、一世風靡した素晴らしい歌手である。西荻窪ロフトでも相当な人気があった。50人も入れば満杯になってしまうネイキッドで、静かな穏やかな大人のブルースを聞いた。至福のひとときであった。
 後半、私とのトークのテーマは「1969年」だった。アメリカではウッドストックの野外コンサートが開かれた年だ。この史上最大のイベントに、日本の多くのミュージシャンは多大な影響を受けていて、同じ年に行われた伝説の「中津川フォークジャンボリー」は、その後の日本の音楽の原点のひとつになった。
 当時の世界情勢的には、ベトナム戦争反対の影が濃くなっていて、ステージと客席ではビール瓶も飛び交う大論争になった。今では考えられないことだ。そんな昔のことをいい気になって喋り、あの時代から今も歌い続けている、友部正人や斉藤哲夫、三上寛やいとうたかおなんかの懐かしいCDを、お客さんと一緒に聴きながら思い出話に花を咲かせた。

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銭湯好きが昂じて専門誌『1010』2009年10月発行号のグラビアを飾ったこともあるヒラノさん

8月28日(日)銭湯飲み会

「銭湯飲み会」が開かれ出席する。私の銭湯歴も長い。もうかれこれ町の銭湯に30年も通い続けている。その間、自宅の風呂に入ったのは数回。窮屈な風呂が嫌いなのだ。
 一日の終わりにお決まりの銭湯に入る。湯船に浸かり、その過ぎた日を鑑みる。天井が高くって、お湯が豊富で、水風呂や電気風呂、天然温泉があるところがいい。私は、町の片隅にある銭湯の深夜の番長みたいなもので、そこで多くの利害関係のない仲間を作った。長い年月の間には、多くの老人が死に、多くの人が引っ越し、多くの年寄りが子供に引き取られて去って行った。いつのまにか私が銭湯の長老格になってしまった。
 この日は、やはり20年以上も挨拶を交わす寿司屋のお兄さんが、故郷に帰るということでお別れの儀式となった。飲み会を催すようになってから、銭湯仲間はどんどん増えている。女風呂からも参加者が増えてきた。私を除いてみな若い。みんな大の風呂好きなのである。巷では廃れ気味の銭湯、何とか残したい。

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私が常連の下高井戸「月見湯」。浴槽はきれい、温泉もある。開業40数年、この町で一軒だけ生き残っている。やめないで欲しいな

9月5日(月) 森達也 講談社ノンフィクション賞授賞式

 森達也氏の『A3』が、第33回講談社ノンフィクション賞を受賞した。その授賞式に招待された。私はこういうパーティは面白くないのでなるべく参加しないのだが、森達也さんは大好きな人。お祝いに行かねば、と思いながらも大幅に遅刻してしまった。
 ステージには受賞者のほか、重松清、立花隆、中沢新一、辺見じゅん、東海林さだお、林真理子さん達がいる。さすが講談社、豪華だ。そもそも、森さんの『A3』の版元は集英社だ。講談社にリスペクト。
「森さん、楽しい? めんどくさそうに見えるよ」と、ちょっと冷やかし気味に会場で聞いてみた。「いや〜、嬉しいですよ。ひょっとしたら『A3』は、僕の著作の中で一番売れるかもしれない。金欠病の折、本が売れてくれればどんな賞でも有り難い。平野さん、『ROOFTOP』に書評載せたくれた?」「それより森さん、フクシマの映画撮ったんだって? 観たいな」と言ってみた。「来週、釜山映画祭に出品してから試写会をする」という返事。その後、鈴木邦男さんとNaked
Loftに向かい「見沢知廉7回忌」のイベントに出演した。

 書くことがないと言いながら、一挙にここまで書いてしまった。外は台風の雨風が激しく窓を叩きつけている。大型台風の関東地方直撃だ。「恐れるな、道は開ける」(ガンジー)。ふとそんな言葉を思い出した。

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