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八回「一族を見捨てた戦国武将・荒木村重、波乱の生涯」

第十八回「一族を見捨てた戦国武将・荒木村重、波乱の生涯」

2019.10.08

 はい、メリークリスマス〜。10月にもなればさすがに秋って感じでしょうか。そんな秋にぴったりなパンチある人を今回は取り上げてみましょう。時は戦国、あの織田信長を裏切って数奇な運命を辿る男、荒木村重さんです!
 
 この人はですね、現在の大阪あたりでちょいちょい名の知れた大食いで豪腕なお侍さんで、我々がイメージしてる戦国武将て感じでしょうか。池田長正という摂津の一部を治めてた豪族の部下として活躍した村重。が、長正さん死んじゃって池田家は家督争いで内紛。あれこれあってなんか頼りないな〜、と池田家を乗っ取って下克上。
 タイミング的に(1573年頃)在京の将軍・足利義昭と険悪になってた織田信長は、義昭側についてた池田家を乗っ取って織田方に近づいた村重の武力と才能を気に入り、織田陣営に組み込みます。ほんでそこで信長に謁見した村重。トリッキーな信長さんは刀でそこにあったまんじゅうを突き刺し、そのまんま「食えや」と村重に突き出します。すると「いただきまー」と余裕で食った村重さん。きっと極端なことをして相手がどういう反応するかを探っていた信長さん。余計に村重を気に入って重用。数々の合戦で武功を挙げて、1年ちょいで摂津37万石を任されるまでの大名になります。
 村重は茶人としての素養もあり、信長配下の武将の中で最も早く茶会を催す許可を得ていたり、1578年1月には信長主催の有力家臣や茶人たちの茶会に出席できるほどだったとか。
 
 が、この年、信長軍団の羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)の中国地方攻め軍に副将クラスで属していた村重、突如自分の城に帰ってしまいます。つまり信長への謀反です。信長、これにはびっくり。過去にもいろんな武将に裏切られて即座に反応できるタイプの人になってましたが、村重の謀反には「え? うそ。。マジで。。多分間違いだから説得してきて。何もなかったことにしてあげるから。。」と明智光秀たちを説得に向かわせます。
 村重謀反の理由は、信長に敵対して城攻めされてる石山本願寺に村重の部下が米をつい売ってしまって、それがバレたらブチ切れられると村重が焦った説とかいろいろありますが、はっきりしたことはわかってません。
 で、光秀たちが説得、一旦信長に謝罪しようと安土城に向かいます。けど途中の城で家臣の中川清秀に「いや、今さら謝っても信長は許さんですよ。あの人いっつも自分に敵対したやつ皆殺しにしますやん」と言われ、確かにと思って自分の城に引き返して完全に謀反を決意。実際、信長軍に属して数々の戦に参戦して目の当たりにした残虐さ。一方で村重自身は戦闘に勝って相手武将を捕らえるも基本逃すタイプなので、清秀の意見は効いたのでしょう。
 
 この頃、秀吉も説得のために軍師の黒田官兵衛を村重に送ります。官兵衛と村重は仲がいいので、そこに賭けたのでしょう。が、決裂、官兵衛は城の牢屋に幽閉されてしまいます。しかしその事情を知らない信長は帰ってこない官兵衛が村重側についたと思い込み、人質として預けられてる官兵衛の息子・松寿丸を処刑しろ! と命令しますが、「官兵衛は裏切らない」と信じたこれまた秀吉の軍師・竹中半兵衛に匿われて命拾い。この松寿丸が後の黒田長政で、黒田福岡藩の歴史の礎を築きます。
 話が逸れましたが、村重、信長に反旗を翻し有岡城(現在の伊丹市)に籠城、徹底抗戦の姿勢のため織田軍は城を包囲して兵糧攻めに。そして1年近く経過した頃、一族郎党まるっと残したまま、村重さん、単身城を脱出! 息子の城、尼崎城に逃げ込みます。こんとき持ってったのは茶器の名物「兵庫の壺」と「鼓立桐筒」。援軍を呼びたかったとかあるかもしれませんが、総司令官が単身逃亡はヤバさしかありません。
 
 逃亡を知った信長さん。それでも尼崎城を開放したら、有岡城の一族郎党の命は助けてやる。と最後の降伏勧告。からの村重さん、まさかの「拒絶」。
 信長、ブチ切れます。122人の荒木一族の婦女子を尼崎で引き廻し、磔(はりつけ)にかけて、鉄砲、槍、長刀で散々に殺します。122人の絶叫は天に届かんばかりの惨劇だったようで。そしてさらに関係する女388人、男124人を4つの家に押し込め、周囲に草を積んで焼き殺します。
 
 村重はひっそり尼崎も脱出していて、広島の尾道で毛利に匿われます。そして数年が過ぎ、信長は本能寺の変で死に、豊臣の時代になります。
 するとひょっこり出てくるんです、村重。世間には一族を見捨てたとんでもねぇクソ野郎とバカにされますが、頭を丸めてまして、ヤケクソなのか、自分のことを道端のクソみたいなもんだと「道糞」(どうふん)と名乗り出します。
 しかし茶湯の世界でも名を馳せていた村重、いや道糞。元上司の秀吉にやはり気に入られ、その後、茶人として生き、1586年に堺で死亡。
 
 ちなみに一族皆殺しになったはずの荒木家ですが、乳飲み子が混乱の最中に乳母と脱出、その後、母方の岩佐性を名乗って絵師として活躍。岩佐又兵衛として数々の名作を残し、その絵たちは浮世絵の元祖となったそう。文化的な血が流れていたんですな。
 てな感じで今回はさいなら〜。
 
挿絵:西 のぼる 協力:新潮社
 
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