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一回 「海軍経由で広まった日本人の家庭の味」

第十一回 「海軍経由で広まった日本人の家庭の味」

2019.03.05

 あいー、どうも。そろそろ春っぽさを感じてますかね。そうでもないですかね。はい。てなわけで、今回は「食べ物」にまつわる歴史の話をしてみましょう! どうせなら今も食べられてるようなやつがいいですな。

 日本人の食生活が激変したのは明治時代以降でしょうね。それまで江戸時代は鎖国してましたから海外からの食文化はあんま入ってこなかったし、あんま肉食文化もなかったですしね。明治時代になってどう食生活が変化したか。

 まずはカレーいきましょう。これはイギリスから入った文化ですね。カレーはインドっしょ! とイメージしますが、当時、イギリスはインドを植民地にしていたので、インドからイギリス、からの日本となるのです。

 日本海軍はイギリス海軍を参考にしていたので、カレーもそこから学んだのです。船に乗ってる間に傷みやすい肉や野菜を調理する時、保存がきくスパイスがいっぱい入ったカレーにして煮込んでしまうと具合が良かったんですな。んで、とろみをつけると揺れる船内でもこぼれにくいと。ほんで日本人は米にぶっかけちまうと。カレーライスの出来上がりです。この味を覚えた兵隊や調理担当が各家庭や店に伝えて日本中に広まったんでしょうな。

 で、海軍はどうしても長いあいだ航海に出て曜日感覚がなくなるんで、金曜日にカレーを出す文化ができたみたいですよ。カレーは適度に肉も野菜も摂れてバランスがいいんで、海軍にはいろいろ都合が良かったんですな。

 余談ですが、陸軍は陸軍軍医のトップ、森鴎外(『舞姫』とか作家としてのほうが有名ですが軍医なんです)が「米がパワーの源だ! 白米食ってたら最強!!」と白米原理主義を唱え、日露戦争でも白米をひたすら食べさせてました。しかし戦地では「脚気」が大流行、バタバタ兵隊が倒れていきます。当時、脚気は伝染病と思われてましたが、実はビタミン不足が招いた病気だったんです。野菜を摂らず白米ばかり食べて大勢の兵隊を失った陸軍。一方、海軍には脚気になる兵隊がいない。食事が原因だとわかったのは日露戦争後のことでした。

 海軍経由で広まった料理でもうひとつ有名なんがあります。「肉じゃが」です。

 ひとつの説に、日露戦争の日本海海戦でバルチック艦隊を破ったことでお馴染み、東郷平八郎さん。この有名な提督はイギリスに留学経験があり、そのとき食べたビーフシチューをえらい気に入ったそうな。

 んで時を経て海軍で偉くなってる時、お抱えコックに「ビーフシチュー食べさせてや。イギリスのあの味を!」とオーダー。しかしコックが「ビーフシチュー? 何すか、それ?」とわかんなかったので、材料の「肉とじゃがいもと人参とかをデミグラスソースで煮込んだ感じのやつ!」て説明して、何となく作らせてみたら今で言う「肉じゃが」になった説。

 まぁ、これは多少創作が入ってると思われます。さすがに東郷平八郎のコックがビーフシチューもデミグラスソースも知らん! ってことはないかな、と。

 やはり船で大勢が食べれて、味もなんとなく兵隊たちに馴染みがあるようにしようとすると、デミグラスとかよりは醤油や砂糖とかみりんとかのほうが受け入れられて、それがまたカレーのように広まったんじゃないか、て説のほうが考えやすいですよね。

 ほんでこの肉じゃが。もうひとつ現代に続くエピソードが。京都の舞鶴市が1990年代に「肉じゃがは舞鶴で誕生したよ! 東郷平八郎が偉くなって赴任したの舞鶴だし!」と発祥宣言。すると広島県呉市が「海軍と言えば呉じゃろ! てことは肉じゃがの元祖は呉じゃろ!」なんて言い出しました。これは揉めるか!? となりましたが、そこはもはや日本人の家庭の味として浸透しきった「肉じゃが」。「ま、お互い元祖ってことでいいんじゃないですか?」とほっこり決着。

 うん、実際どっちでもいいよね! 美味しいし! そもそもどっちも違うかもしれんし!(笑) ご当地グルメとして盛り上がるのはいいことだね!

 と書いていくと、そろそろ文字数けっこうオーバーしてた。まだまだ食べ物にまつわる歴史エピソードはいっぱいあるから、こりゃ来月もいけますな! 気が向いたら! ほな、またまた!

挿絵:西 のぼる 協力:新潮社

 

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