ソロ名義としては6年ぶりとなる新作。恋に揺れる女性の心の闇を自身の持ち味であるエレクトロ・サウンドで切々と唄い上げる様はソロならではの妙味で、アーバンギャルドとは異なる普遍的なラブソングがテーマとなっている。陰影に富んだ楽曲の数々を色にたとえるとどれも深い青に染まった内省的なイメージだが、紡ぎ出されるメロディがキャッチーなので大衆性の高いポップ・ソングとして力まずに楽しめる。映画『ライチ☆光クラブ』の内藤瑛亮監督が手がけたMVも秀逸な「雨音はショパンの調べ」はカバー曲ながら、浜崎のボーカリストの特性と本作で意図する大人のラブソングの在り方が最良の形で引き出されている。菊地成孔が作詞を担当した「ANGEL SUFFOCATION」でのSPANK HAPPYへの見事なオマージュがオリジナル曲では白眉で、菊地の門下生である気鋭の音楽家・服部峻の異形の才にスポットを当てた意味でもとても意義深い作品と言えるだろう。（Rooftop：椎名宗之）