結成当初からのドラマーの脱退、4年間在籍したDCT recordsからの離脱という逆境をドッコイ蹴散らす新生ビッチの起死回生盤。『Merry-go-round』のように理屈抜きで楽しめる従来のポップ・チューンも健在だが、同じ英詞でも憂いを帯びた旋律が特徴の『Stand up』然り、サビがマーチ風に心地好く駆け抜ける『BIRTHDAY』然り、“生きるということ”に焦点を当てたエモーショナルな楽曲が以前より増えた印象だ。とりわけジャーナリストの故・山本美香（昨年、シリア内戦の取材中に凶弾に倒れた）に捧げた『声』は白眉で、音楽を通じて“声なき声”を精一杯唄っていくんだというehi（vo, g）とNao★（vo, b）の強い覚悟を感じた。『青い舟』でも唄われているように、しゃにむに唄い奏でることがふたりにとって生きる証であり、幾多の別離を体験してきた彼女たちだからこその重みと説得力がどの歌にも通底している。ビッチの新章幕開けを高らかに告げた名盤として後年位置づけされるであろう逸品。（椎名宗之）

関連リンク

• Who the Bitchオフィシャルサイト