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適菜収 「問題は右でも左でもなく下である」

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 隠蔽改竄が横暴する現代に生きる私たち。メディアから都合の良い情報だけを選択し、本当が嘘になり、嘘が本当になる。そしてその選択次第で右や左と簡単に相手の思想を決めつけてしまう。自分とは別の価値観を持った人間を攻撃し、ドラックに取り憑かれたように論破した優越感に浸る。表面的なものに惑わされ、その奥深くにある問題に気がつかない。敵を作り上げ、消耗するまで戦い続けるうちに解決しなければならない問題への厚い壁ができあがる。
 本質をわからぬまま心が擦り切れる終わらない争いの先に何が待ち受けるのか、私は嘆くばかりである。これは決して政治だけが問題ではない。今を生きる私たちに問題があるのではないだろうか。見たいものしか見ない、それ以外はなかったことにする。無関心が生み出した終わりの見えない問題だ。この本はその人間のあり方を痛感させられる警告本である。(ロフトプラスワン:宮原塁)