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トップレビューリチャード・ロイド・パリー 「津波の霊たちーー3・11 死と生の物語」

リチャード・ロイド・パリー 「津波の霊たちーー3・11 死と生の物語」

2018.04.02   CULTURE | BOOK

早川書房
1,944yen(tax in)

 英国人記者が見た震災、忖度ない。大川小の悲劇・強権発動で不明の子供を母に捜させない高齢男性(としたたかに立ち向かう若い母)・生存教師の卑劣な嘘、だが前赴任校では人命多く救った事実・凄まじい憑依と除霊・公的機関への提訴者への見えない圧…まで書くのは日本人だと躊躇するかと。「死を受け入れられるよう寄り添う」僧に強い違和感記す場面が白眉。本書での心霊現象に関する描写は懐疑も批判もなく淡々と人々の言葉を記し却って恐ろしい。7年近い取材中、眼前で人々の絆がほどけていく場面も。優れた拝み屋はやはり優れたカウンセラーだと思わせる箇所もあるが文で明示はしない。重いが読みやすい。著者は同時並行取材『黒い迷宮』でブラックマンさん殺害事件と(多くの人が最後理不尽判決知らないだろう…)、英国人遺族らそれぞれ別個の動き・ガイジンの扱い・水商売・SMなどアングラ文化・日本の闇描く力作も著し凄い力量、必読。(尾崎未央)

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