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ドリーム

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 映画の冒頭、故障した車と3人の黒人女性が映る。車の中から空を見上げ物思いに耽るキャサリン。何とか車を直そうとするドロシー。3人を不審に思い高圧的な態度で迫る白人警官に一歩も引かないメアリー。このシーンだけで、三者三様のキャラクターを説明してみせ、また、後の彼女たちの行動のさり気ない伏線にもなっている。実に的確で無駄のない、素晴らしいシーンである。本作は1960年代初頭のアメリカNASAで宇宙開発の偉業を支えた黒人女性数学者たちを描いた実話である。才能があるにも関わらず、まだ根強く残る差別という壁が彼女たちの行く手を阻んでいくが、彼女たちは決して声高に権利を主張したりせず、ユーモアと毅然とした態度で自らの力を周囲に認めさせていく。その姿と行動の過程は勇敢であると同時に痛快であり、軽やかで、気高く、美しい。きっとこの映画を観た者は彼女たちの正き闘いの記録に勇気づけられるだろう。必見の傑作である。(ロフトプラスワン:秀)