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廃村 昭和の残響 / 村田らむ

有峰書店新社

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 『軍艦島と巨大廃墟たち』に続く写真集第二弾のテーマは『廃村』。タイトルから想像するような、人が生活をしていた村や家が朽ちてしまう理由を考え、じめっとしてしまう本ではない。よく晴れた空、やわらかく注ぐ太陽、木々の緑とともに撮影された廃墟は、こういう風に見てくれ! という押し付けがましさや意図はなく、淡々と「存在しているもの」として記録されていて、とにかく美しい。人間がいなくなり、命が消えた村にも、等しく木々は育ち太陽の光は差し込むのだ。
 その中でも一番印象に残ったのが民家だ。やぶれた障子、はがれた床、人為的に荒らされたような棚、その中にぽつんと置かれていたのは見覚えのあるパッケージのペットボトルだ。今もコンビニやスーパーに並ぶそれが、この写真集の中では、逆に異物として際立っている。腐ってしまった柱とは対照的に、原型を保ったまま立てかけられたアコースティックギター。家は死んでも、物は残るのか。
 「人がいてはじめて村は村でありえる。だから僕が廃村に着くと、ほんの少しだけ村は生き返る。」写真に添えられた文章を読んで、なぜだかホームシックになってしまった。わたしたちの故郷も、いつか朽ち果ててしまうのだろう。それでもこの写真集のように、ときどき誰かが訪れて、優しさや懐かしさや寂しさを感じることがあるように、と願ってしまう。(成宮アイコ)