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セザンヌと過ごした時間

9月2日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開

 ゴッホとゴーギャン、あるいは中原中也と小林秀雄など、芸術家同士の友情を描いた作品はいくつか存在するが、画家ポール・セザンヌと小説家エミール・ゾラの激しい友情を映画化したこの作品もまた、私たちに深い印象を残すものだ。少年時代に出会った二人は、お互いに芸術家への夢を語らいながら成長し、一足先にパリに出たゾラは新聞記者をしながら小説家として徐々に頭角を現していく。一方、ゾラを追ってパリに来たセザンヌもサロンに出品するなど精力的に活動するがなかなか芽が出ない。同時代のマネやモネ、ピサロらが印象派として注目されていくのを横目に、パリを去ったセザンヌは田舎に引きこもってしまう。気性が激しく気難しいセザンヌを懸命に支えるゾラ。二人の友情はずっと変わらないかに見えた。ある事件が起こるまでは…。セザンヌが描き続けたサント=ヴィクトワール山の美しさが二人の間の喜びと悲しみを包んでいくようなラストの情景が忘れられない。(加藤梅造)