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桐野夏生 / 夜の谷を行く

文芸真春秋刊

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 私はロフトのイベントに行ったりすると必ずその日の出演者に敬意を持って、本やCDを買うことにしている。当たりも多いが途中でやめてしまう本も少なからずある。この本もLOFT9 Shibuyaで開催された「浅間山荘から45年 連合赤軍とは何だったのか」で買い求めたものだ。
 このクソ暑い夏の最中、喫茶店で3時間一気に読んだ。こんな暗い話、ブルーになるかと思ったら、結構明るく読めたのが不思議だった。「夜の谷を行く」は1972年の連合赤軍事件、あさま山荘事件、2011年永田洋子の死、東日本大震災と言う歴史の変遷の中で、連合赤軍の一女性兵士(5年の服役を経て、今は一人静かに生活している)の葛藤の物語だ。作品は実に新鮮だったし、本当に息もつかず一気に読めた。〜忘れたい過去が追いかけてくる〜革命を夢見ていた女たちのもう一つの真実〜(帯より)はちょっと陳腐だがやはり純文学の桐野さん、文章はうまい。なめらか。(平野悠)