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ハクソー・リッジ

公開中

 太平洋戦争からすでに70年以上の時が経っており、さすがに隔世の感があるが、そんな中、しかも沖縄戦を扱っている本作が、まずは無事公開されたことを喜びたい。人を傷つける武器は持たない、という信仰をもつ主人公が兵役につくも武器を持つことを頑なに拒否、丸腰の衛生兵として地獄の戦場と化した沖縄で多くの人命を助けた、という実話を元にしている。確かに「プライベート・ライアン」クラスの壮絶な戦闘シーンは大きな見せ場だ。しかし映画の主眼は別の所にある。周囲がどんなになだめすかし脅しても非武装の信念を曲げない主人公を描いた、祖国の前半パートの方が違和感と狂気を感じさせ、むしろ後半の死が満ちあふれた戦場に舞台を移してからの方が安心感がある、そんな奇妙な作品だ。監督は「ブレイブハート」「パッション」など信仰、時には狂信を多くテーマにしてきたメル・ギブソン。彼の監督としての手腕を改めて感じさせる作品だ。(多田遠志)