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初沢克利 / 浅草 2011-2016――六区ブロードウェイ 日本人の肖像

春風社
7,000yen+tax

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 圧巻の浅草の路地に生きる人を見る。モノクロの500ページ以上はあるだろう分厚い写真集。私は毎晩一杯の焼酎のお湯割を片手に所在無さげにこの写真集を開く。
 私が初沢克利を知ったのは、数年前のFacebook。パリで売れっ子写真家だった彼のモンパルナス時代のモノクロ写真だ。私は60年代のパリ時代の写真集『MONTPARNASSE(モンパルナス)深夜の客』を見て、どうしてもその一枚が欲しくなった。写真集も買った。それからネットで彼との交流が始まった。
 この写真集はなんとも俯瞰で昭和が彷彿される。モノクロ写真で、その色彩感覚がないほどに素晴らしくリアリティがある。これが直感的というか初沢さんの感性なのだろう。登場するのはこの地域の底辺で生きる人たちの逞しさだ。こういうのを芸術的写真というのだろうか? 気持ちがいい。土着型だ。私は今はほとんど売れないに等しい写真集が好きだ。(平野悠)