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ザ・ダンサー

6月3日(土)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほか全国公開

 アールヌーヴォー、印象派など新しいアートが一気に花開いた19世紀末のパリ。ベル・エポックとも言われるこの時代に、モダン・ダンスを創出した一人の女性ダンサーがいた。彼女の名はロイ・フラー。アメリカの農家の娘で、いつかオペラ座で踊ることを夢見てパリに渡り、やがて自身で衣装、舞台、照明の全てを演出した「光のダンス」で熱狂を巻き起こした。一旦は歴史の中に埋もれていたが、一枚のモノクロ写真に写ったロイの姿に魅了されたステファニー・ディ・ジュースト監督が彼女の生涯を映画にしたのが本作だ。ダンスに自分の全てを捧げるロイの姿はもちろん、下積み時代からロイを支援するルイ伯爵、後に最大のライバルとなるイサドラなど登場人物がみな魅力的なのと、何よりもロイの光のダンスが圧倒的な美しさを見せてくれる。身体も心もボロボロになりながら舞台に登る終盤のダンスシーンは光と影を同時に抱えたロイの人生そのもののようだ。(加藤梅造)