簡潔に説明すると「とある商店街にある時計店を切り盛りする天才技師の女性と、他界した高校生の弟を模して作られた男娼をするロボットのお話」こう聞くと近未来SF作品ですが、舞台は現代で作品全体の雰囲気は都市伝説や説話のような空気を醸していて、むしろ一昔前の時代を舞台にしているようにも感じます。主人公に恋する幼馴染の男性以外、ロボットをTENGAと言って秘密を受け入るだけでなく、お世話になるのも日常になっています。普通に考えるとおかしいのですが、そういった感覚がマヒしてしまうのもある意味でリアルなのかもしれません。ウリをする高校生、それを見て自らを慰め時には抱かれる主人公。ドラマ自体は静かにゆっくり進むのですが、秘密を覗き見しているようなドキドキでアッという間に過ぎていきます。倒錯した非現実世界に触れられるのも物語を読む楽しさ、ページという隙間から覗き見を楽しむのは如何でしょうか。（Asagaya/Loft A：柏木 聡）