トップ > レビュー >CULTURE > コンビニ人間 / 村田紗耶香

CULTURE  | BOOK

コンビニ人間 / 村田紗耶香

文藝春秋
1,404yen(tax in)

amazon

 この物語の舞台はコンビニ。著者が実際にコンビニで働いていたこともあり、描写が非常に細かく、まるで自分もあのコンビニで働いているかのような錯覚に陥る。主人公の恵子は恋愛未経験の36歳、コンビニのアルバイト歴18年。そんな肩書きを哀れみ、彼女の全くのマニュアル通りの仕事ぶりは気味が悪いと思った。彼女はラストシーンでこんなセリフを口にする。「私は「人間」ではなく「コンビニ店員」です」こんなぞっとすることを言い放っておいて、清々しくなっている。どうして? もう一度読み直してみる。二度目に会う彼女は、私に一瞥もくれずに生きていた。「人間」の完成度で言えば、私と似たり寄ったりのはずだ。しかし彼女は「人間」でない生き方に出会い「コンビニ店員」になれた。私はどうすればいい? なんて複雑な気持ちにさせられるけれど、お前の「何か」に出会うまでずっとずっと生きていなさいと、それはもう不器用に教えてくれていた。(LOFT9 Shibuya:今関奈緒子)