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カウントダウン / 真梨幸子

宝島社
1,404yen(tax in)

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 事故で運ばれた先の病院で病気が見つかった有名エッセイストが、勝ち組人生のまま有終の美を飾りたいというプライドだけで終活をはじめるが…。真梨作品の醍醐味である語り手の切り替わりは、読み進めた世界を一変させる。被害者と加害者はたびたび入れ替わり、どんでん返しはさらに返され、まさに因果応報。全ての人物が持っている薄ら笑いのような悪意には、読者のわたしたちまでこわばった笑みを浮かべてしまう。視点により立場や見え方は変わる。時には善悪すらも。つまりどの視点で見るか。相変わらず誰ひとり肩入れできない登場人物たち。全員のスピンオフが読みたい。
 ファッション誌で連載されていた作品のため、予想外の展開にページを戻って確認、なんてことをさほどせずに読めるし面白いのだが、他作品に比べ悪意と伏線に物足りない感は否めない。…やばい、不幸慣れしてきている。(成宮アイコ)