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モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由

2017.03.25   CULTURE | MOVIE

3/25からYEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

第68回カンヌ国際映画祭女優賞受賞/第41回 セザール賞 主要8部門ノミネート
監督:マイウェン 出演:ヴァンサン・カッセル、エマニュエル・ベルコ、ルイ・ガレル、イジルド・ル・ベスコほか

 スキー事故で大ケガを負った弁護士のトニー。リハビリ中、医師から「人は時々自分が見えなくなる」と言われ、事故の原因は彼女の過去に関係していると説明される。医師の指摘に思わず涙をこぼすトニー。そして医師は訊く──「何があったの?」
 『ブラック・スワン』のヴァンサン・カッセルと『太陽のめざめ』のエマニュエル・ベルコの二人が情熱的な激しい物語を演じた本作は、『ベティ・ブルー』などフランス恋愛映画の伝統上にある作品だ。
 真面目な弁護士のトニーと遊び人のジョルジオは明け方のクラブで出会い激しく愛に落ちる。もともと住む世界の違う二人だったが、結婚を境に暗雲が立ちこめていく。浮気、別居、自殺未遂…。何度も破局を迎えかける二人だが、それでも10年間、嵐のような生活は続いた。浮気とクスリが止められないジョルジオは典型的なダメ男なのだが、トニーはどうしても別れられない。これを女性監督のマイウェンは男女の複雑な感情を描ききることで映画にリアリティを与えた。エマニュエル・ベルコは、トニーは決して被害者ではなく「自分の理想のために闘っている」と自らの役柄について説明している。
 劇中トニーが言う「破壊こそが自由の証。全力で生き、そして破壊した」という言葉が観る者の胸を突き刺す作品だ。(加藤梅造)

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