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トップレビュー大江戸怪談 どたんばたん(土壇場譚) / 平山夢明

大江戸怪談 どたんばたん(土壇場譚) / 平山夢明

2016.12.01   CULTURE | BOOK

講談社
648yen(tax in)

 2006年末、平山夢明大ブレイク時に竹書房から出た『大江戸怪談草紙 御伽婢子(おとぎぼっこ)』。故・杉浦日向子の傑作江戸怪談漫画『百物語』に感銘した平山による、和の舞台ながら現代に通じる恐ろしさ哀しさ、時におかしい人の性を描いた隠れた良品だった。今回、講談社文庫からその本の半分にPR誌『INPOCKET』連載分と書き下ろし足し新たに刊行された。

巻頭辞「日向ちゃんへ、そっちの暮らしはどうだい?」が前著と同じで涙を誘う。無惨グロ妖美の絢爛たる世界は健在。杉浦さんのみならず今様の『耳嚢(みみぶくろ・江戸中~後期の説話を役人根岸鎮衛が私的記録)』がやりたかったのだと、本書中、ふとオチなし奇・狐狸譚が混じるので気づく。10年前当時は自分が未熟で全実話怪談の元ネタ古典である耳嚢全巻を通読してなかった。大震災後に書かれたと考えると重い話もあり、新旧長短混じり円熟した今の筆で紡がれる。(尾崎未央)

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