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追憶

2016.11.01   CULTURE | MOVIE

 パラオ諸島の南端に位置するペリリュー島。戦後70年となる2015年に、天皇、皇后両陛下が戦没者追悼のために訪問したことで、この小さな島の名は再び多くの日本人に知られるようになった。1944年9月、日米が激しく激突し、日本軍1万人、米軍1千人を越える膨大な犠牲者を出した「ペリリューの戦い」は、その過酷さ故に戦後ほとんど語られることはなく、長いあいだ忘れられた島と呼ばれていた。

 両陛下のペリリュー島訪問の報を受け、映画プロデューサーの奥山和由と小栗謙一は、日本軍の守備隊長だった中川州男大佐の伝記を手がかりに、この島で何があったのかを映画化する決意をする。当時を知る島民、アメリカ軍元兵士、そして日本軍の帰還兵らの証言を集めながら、米国防総省から貴重な映像資料を取り寄せ、ペリリューの戦いをドキュメンタリーとして現在に浮かび上がらせた。この圧倒的な史実を前に私達一人一人は何を考えるべきなのか。「戦場は、人が人を殺す場所でしかない」と言う小栗監督の思いを、この映画から感じて欲しい。(加藤梅造)

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