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花や今宵の / 藤谷治

文藝春秋
1,500yen+tax
講談社刊

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 まだしとしと雨は続いているが、季節は秋なのである。頑張ろう、秋の夜は長い。読書に映画に紅葉に美術館に、思考を更に深める秋なのだ。
 藤谷作品を読むのは「船に乗れ」とこれで二回目。結構好きな作家だ。下北沢にあった本のセレクトショップ「フィクショネス」の主人が作家に転向した。テーマは「昨日が今日と明日につながっているなんて誰にも言えない。季節外れの桜が咲き乱れる山で姿を消した少女、彼女に何があったか」(帯より)「行き暮れて、木の下陰を宿せば、花や今宵の主ならまし」平家の落ち武者だった平忠度作の和歌の謎解きが始まる。この和歌の意味は、落ちて平家、その旅の途中で木の下に眠ることになったら、この桜の花が宿の主になるなあ、という意味だ。この時代(平安時代)の花とは桜のことを言うそうだ。昔から立ち入り禁止になっている裏庭に、桜の木がある所から始まる。この和歌に興味を惹かれたあなたは、きっとこの本を読むに違いない。(平野悠)