「一本の糸が運命の赤い縄に変わるとき、記憶の中の本能が蘇る。 」緊縛師、ロープアーティストとして活躍する一鬼のこさんの「つながり」をテーマにした作品集。アートの領域だと言われる斬新さを感じる一方で、無垢な真っ白の空間に映える赤い縄は臍の緒、血液を連想させ、母親の胎内にいるような何処か懐かしい気持ちにさせる。作中で縛られている女性達は決して抑え込まれているわけではなく、女神のような崇光しさを放っている。感情、重力、額を伝う汗や苦悶な表情は排除され、私の緊縛の固定概念を覆した。壮大なテーマ、おびただしい数の赤縄、美しい女性の裸体とページをめくるたびに衝撃を受けるが、最後のおじさんをモデルにした作品には鬼のこさんらしいイタズラ心が感じられ、誰もがきっと心を温かくさせられて 本を閉じる事が出来るだろう。(ロフトプラスワン:野口結生)