3月19日よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督：小林茂
新潟水俣病の舞台にもなった阿賀野川の流域に暮らす人々にスポットを当てた「阿賀に生きる」、ケニア共和国の地方都市ティカのストリートチルドレンに焦点を当てた「チョコラ！」などの優れたドキュメンタリーで知られる小林茂監督の最新作。新潟県の豪雪地帯・越後妻有の里山に移住した木暮夫妻と周辺に集まる人達を５年の歳月をかけて完成させた作品だ。自然と共に厳しくも豊かな生活を送る木暮夫妻、しかし、2011年3月12日に新潟・長野県境地震が発生し、木暮夫妻の家は半壊してしまう。大きく傾いた古民家。木暮夫妻は「柱がまだ完全に倒れていない」ことから家の再建を決意する。そして村人たちの協力のもと家は見事に立ち直った。「人は一人では生きていけない」ということを否が応にも実感するのが豪雪地帯の里山の生活なのだ。劇中に流れるテーマ曲「めざめのとき」の美しい旋律が生の歓びを祝福するかのようで、実に瑞々しい作品だ。（加藤梅造）
