石井岳龍監督の“聰亙”時代の代表作の一つであり、国産SFハードアクションの金字塔的作品が待望のBlu-ray化。今回、オリジナルネガをスキャニングしたデジタル素材を作成し、石井監督と当時の撮影監督を務めた笠松則通が立ち会って調整作業がなされたことで画面の発色の純度や粒子感の強さが制作当時に意図していたものに近づいたのが本BDの大きな特徴だ（初回特典には劇場公開時パンフレットの縮小復刻も封入）。石井監督自ら「あえてセオリーを無視してカオス状態を作り出した」と語るように、物語は終始無軌道のまま終わる永遠の未完成だが、バトル・ロッカーズとマッド・スターリンの熾烈なライブ合戦はもとより、戸井十月と町田町蔵によるキチガイ兄弟の圧倒的な存在感（弟の奇声！）、ダイナマイトを鉢巻きにして武装警察に殴り込む麿赤児の怪演ぶりなどがあまりに凄まじくて物語の筋なんてどうでも良くなる無秩序映像の大狂宴。（Rooftop：椎名宗之）