対中国の戦争犯罪容疑者で、終戦後、中国の戦犯管理所に収容されながら１９５６年の戦争裁判で即時釈放された日本兵達がいる。彼らは帰国後、反戦平和のために「中国帰還者連絡会」（略称＝中帰連）を発足させ、地方の小さな都市等を回って戦時中の自らの加害体験を話す活動等をしていた。しかし会員は皆、高齢で時を経るごとに次々とこの世から去っていってしまう。「日本鬼子」はその事に危機感を抱いた松井稔監督が、全国を駆け回り、１４名の中帰連の人達に当時の体験談を聞き、記録映画としてまとめ上げたものだ。帰国直後は 中国人に洗脳されたとして、中帰連の人達は様々な差別にもさらされた。この作品ではそういった誤解を生まないよう、戦争の是非や個人の倫理観には触れず、１４名それぞれの体験した事だけを語ってもらっている。私達がよく見知っている、極めて平凡そうなおじいちゃんが「 盗まない、強姦しない、殺さない、そんな奴は仲間に入れてもらえなかった。」といってしまう恐怖。誰もが隠し持つ人間の闇に踏み込んでしまった作品だ。11/5（水）にはネイキッドロフトでDVD化記念トークライブもやるので、気になる方は是非！（小柳元）