「ドラッグとは生き方である」とはW・バロウズ尊師の言葉だが、拡張された自己の延長であるドラッグ体験がすなわちその人を示す、と言うことができる。面白い人生を歩んで来た人の方がイカす幻覚を見たりするものだ。日々に立ち現れた怪異を語る怪談についても同様の事が言えよう。実話怪談のアンソロジーで、多種多様なジャンルの著名人の語る怪談を集めた『FKB（不思議で怖くて不気味な話のAKB的略称）饗宴』シリーズも今回で６作目。新進気鋭のホラー作家である黒史郎、黒木あるじ両氏から、映画監督平野勝之氏、精神科医春日武彦氏までが参戦、ますますバラエティに富んだアンソロジーになっているようだ。今後の展開がさらに楽しみになってきた。…恥ずかしながら筆者も執筆させて頂いている。由緒あるシリーズの末席に加えて頂き、光栄で死にそうである。（多田遠志）