Rooftop ルーフトップ

REVIEW

トップレビュー棄国子女 転がる石という生き方/片岡恭子

棄国子女 転がる石という生き方/片岡恭子

2014.01.07   CULTURE | BOOK

春秋社 / 1785yen

 まさに国を棄て、日本の生活を見限って外国の旅に出る若い女性の話だ。ちょっと普通のバックパッカーの旅本とは違って居る様な気がする。彼女の旅は勿論背負子を背負ってあてのない外国を彷徨うバックパッカーの自由旅行だ。片岡恭子の独特な切れのいいオーラがまき散らされている。誰もができる事ではない。作者の片岡恭子にとって旅とは、日本でのあれこれの生活に疲れ果てた、逃避の行動なのだと思えた。彼女と同様、鬱とか引きこもりとか色々なトラブルに病んでいる若者は外国に出ればいいと言っている。「ここでないどこか」へ逃がすために。それほど読む者にとって片岡の日本での生活の葛藤はリアリティがある。私は筆者の中南米での数々のビックリするような事件より、日本人を呪いのようにどこまでも引きずった旅をしている事に興味が引かれる。こんな旅を続ければきっといつか日本とは縁が切れるのかも知れないな。彼女はネイキッドロフトで旅のイベントを開いている。いつか私もゲストで招かれたいな。(平野悠)

関連リンク

このアーティストの関連記事

CATEGORYカテゴリー

TAGタグ

RANKINGアクセスランキング

データを取得できませんでした

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻