文藝春秋社
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まさに日本が引き起こした、チェルノブイリ原発事故の10倍規模の福島第一原発事故以降、原発をゼロにしようと立ち上がった無名の人々の闘いの記録である。「震災と原発事故の後、各地で様々な運動が巻き起こった。この本はそれを記録することを一つの目標としたものである」（序文より）。本書は脱原発運動に関わった多くの市民の証言から成り立っている。やはり始まりは2011年4月10日、高円寺の若者集団「素人の乱」が仕掛けた「原発やめろ」デモだ。このデモは口コミやツイッター、フェイスブックなどのコミュニケーションツールで呼びかけられ、既存の市民団体主催のものをはるかに上回る15000人が集まった最初の大規模な反原発デモだった。それから約2年半の間、官邸前抗議や地域デモなど種々巻き起こってきた新しい市民運動を筆者は証言や対談（菅直人元首相にもインタビューしてる）で構成している。脱原発運動にちょっとでも関わった人は現在までを振り返る意味で読む必要があると思った。日本の歴史の貴重な記録である。（平野悠）
