もはやビデオデッキも製造中止、すっかりDVDやブルーレイの文化になってしまったレンタル映画の世界。ではビデオ時代に出ていた映画は全てDVD化されているのか?否である。レンタルビデオバブルの時代には、「出せば儲かる」と誰も見た事のないような謎の映画がワンサとリリースされていたのだ。「殺人豚」「ベッタベッタ〜セックスのえじき」「ファラオのしたたり」等々。どれもビデオ屋には置いていない、見ようとしても見られない作品ばかり。しかしそこにはその時勢いのあるメディア特有のいかがわしさに満ちた魅力が満ちあふれている。今はほとんど失われてしまった文化への鎮魂歌的ガイドブックである。「この〜がスゴい!」みたいな今手に入る商品しか紹介しない「オススメ」本の氾濫に真っ向から歯向かうような映画ガイド本である。筆者も(乗り遅れた世代ながら)本書に参加し、作品ガイドと共に「今から出来るビデオハント術」を書かせて頂いています(ロフトでの体験談も含む)。(多田遠志)