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小心者的幸福論 / 雨宮処凛

2011.04.07   CULTURE | BOOK

ポプラ社 / 1,155yen

 70年代の高度成長期や80年代バブルを経験した人とそうでない人には、決定的な断絶が存在するように思う。普通に働くだけで出世やマイホームやGDPの増大が容易だった世代にとって、就職氷河期以降の新自由主義社会のもと、バトルロワイヤルゲームに参加することを強要される若者の気持ちは到底わからないのではないだろうか。菅直人が「最小不幸社会」を掲げた時、前者の代表・櫻井よしこは「最大幸福社会を目指すべきだ」と反論していたが、「あ〜あ」としか思えない僕のような小市民は、生きづらさを極めた小心者代表・雨宮処凛による本書を読んだ方がずっと希望がわいてくるはずだ。「自分をデカく錯覚させる」のではなく「もう少し肩の力を抜き、自分のダメに開き直り、極端な方法で自分自身を思い切り肯定するための秘策」が著者の体験に基づいて記された本書は、
香山リカの「しがみつかない生き方」にも通じる人生の指南に満ちている。(加藤梅造)

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