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「2SEE MORE #21」ゲスト:街裏ぴんく

 ゲストは漫談家・街裏ぴんくさん。『UFM~独り言バトル~』での多彩な語りやギャグ、即興ソングに心奪われ、アイアム演芸大賞で満を持して漫談を堪能、縦横無尽に虚実が交錯する街裏ぴんくワールドの虜となった山脇唯が「是非、じっくりお話を」とお呼びして、梅雨の晴れ間の初対談。一見、強面、でもその奥にあるものは? 6月28日に独演会を控えた漫談家・街裏ぴんくさんの素顔をお楽しみください。(撮影/PANORAMA FAMILY 文・構成/山脇唯)

 

ネタをA先生とハリウッドザコシショウさんに最前列で観てもらうっていう企画で。本当にものすごい緊張感の中、観てもらって……

 

街裏:めっちゃ緊張しますね。お会いしたのもそんなに……

山脇:……4回目、5回目? 私が一方的に観にいったりはしてて。

街裏:僕も座・高円寺でやられてた『すいているのに相席4』と、野方区民ホールの『すいているのに相席5』と、観させていただいていて。

山脇:えっ! そうなんですか! 知らなかった!

街裏:すみません、ちゃんとご挨拶できてなかったんですけれども。

山脇:うわー、コント観てくださってるんですね、嬉しいです。

街裏:今回、お誘いいただいてめっちゃ嬉しくて。ユーモア軍団さんに片足をこう……入れさせていただいたような気分で、非常に光栄です。

山脇:そんなそんな。ありがとうございます。

街裏:ロフトプラスワンの『UFM~独り言バトル~』の1回目、山脇さんがいらしたときに「『すいているのに相席』で観ていたマドンナ……あの演技のうまいお姉ちゃんだ」っていう印象で、緊張しましたね。

 

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山脇:私が初めて、街裏ぴんくさんのお名前を目にしたのが、バッファロー吾郎A先生が 2015年にネイキッドロフトでやった『バ吾Aの飲んで!食べて!見て!聞いて!』っていうイベントで。

街裏:はい。皆さんが、おすすめの映像とか、面白いもんを持ち寄ってのイベントで、そのときに僕だけがネタをやらせてもらったっていう。それが、A先生が僕を観てくださって、誘っていただいた一回目でした。

山脇:A先生は、ぴんくさんをどうやって見つけたんですか?

街裏:Aマッソと、今は梅エースってコンビなんですけど、当時よしもとにいた阿久津、その二組が主催のライブがあって。15組くらいの芸人が出てて、僕そのうちの1人やったんですけど、若手のネタをA先生とハリウッドザコシショウさんに最前列で観てもらうっていう企画で。本当にものすごい緊張感の中、観てもらって……

山脇:それはすごいですね。

街裏:そうなんですよ。会場も下北沢のB1劇場だったんです。あんまお笑いの劇場にはない、イルカショーみたいな形の。

山脇:階段みたいな客席のことですか? イルカショーって言うんですね(笑)。

街裏:あれ全般をイルカショーって言ってます。無限大ホールもイルカショー。

山脇:ああ、あれはイルカショーですねえ。

街裏:で、A先生とザコシさんが最前列にいてはって、10分くらいのネタやったんですけど、緊張しすぎて逆に一瞬で過ぎ去ったっていう……。喋ってる時に、A先生が馬鹿笑いしてくれてる声があって、嬉しさを感じながら緊張しながら。

 

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「あ~どうやろ、俺、この人にハマってないんかな」ってずっと思ってて。

 

街裏:それで、ネイキッドロフトにお誘いいただくことになって。

山脇:私はそのイベント自体は行けなかったんですけれど、「面白い奴がいる」ってA先生からお話を聞いていて。でも……お名前の字面に、『裏』って入ってるし『ぴんく』だし、どんな芸風の方なんだろうって。

街裏:そらそうですよね(笑)。ある種決まってるんじゃないか、ってイメージが。

山脇:で、ちょっと時を経て、ぴんくさんをしっかり拝見したのが、これもA先生主催のライブ『UFM~独り言バトル~』という、お題や小道具NGで、出演者が面白いと思うことを独白形式で発表して戦うライブで。

街裏:そうですね、山脇さんはお笑いに厳しいイメージがちょっとだけあって。

山脇:ははは。そんなことないですよ。

街裏:「あ~どうやろ、俺、この人にハマってないんかな」ってずっと思ってて。そんな「ワー!」とは思ってないですけど……今回、誘っていただいてめちゃ嬉しくて。話を聞いてやろうと思ってくれてはんねやなと思って。

でもまだ僕に対しての「なんじゃこいつ」ってのは取れてない気がするんですよ。

山脇:実は、お名前に『裏』がついてて『ぴんく』だから、なんていうか……いやらしいんじゃないか、卑猥なネタが多いんじゃないか、っていうドキドキがあって。

街裏:誰に出会うんだろう、っていう。

山脇:どんな方なんだろう、と思ってて。独り言バトルで観て「え? この人素敵なんじゃないか?」と思って……

街裏:お、じゃあ、嬉しい。

山脇:UFM第2回だったか、皆さんが独り言を発表する試合のなかで、ぴんくさんが「ランバード!」って言いながら鳥の真似をしながら走り回るっていう、ただそれだけをやられてて。それがすごく好きで。

街裏:あ、嬉しい。そうですか、記憶から消し去ってました、完全に。「ランバード!」やってましたね。

山脇:バタバタバタ! って走ってる鳥の。

街裏:ありがとうございます。えーまじっすか。あれ高校くらいからやってたやつで。

山脇:そうなんですか!

街裏:男子校を一世風靡してたやつです。真似する奴が続出してて。あんなに流行らせられるんだから、きっとあそこでもかませられるかなと……実際そんなだったですけど。

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山脇:いや、わたしがもしあの日のベストワン決めるんだったら、あれにあげよう、って思ってました。

街裏:マジですか、めっちゃ嬉しいです。

山脇:好きでしたねえ。

街裏:ただただ走って『RUN!』とかいうのもやってませんでしたっけ。

山脇:ええ。なんかこう、語りのイメージがあったから、身体をバッと動かされると嬉しくて、面白くて笑っちゃうんですよね。

街裏:そうなんですね。

山脇:ぴんくさん、漫談の中でも動きますよね。

街裏:結構、動きますね。

山脇:『ひとみ』っていうネタをyoutubeの街裏チャンネルで観て。あのなかの、馬に乗ってる所とか。

街裏:馬が暴れてて、ひとみがこうなるっていう(実演する)……、すんません、文字で伝わりにくいことを。

山脇:いえいえ。

街裏:僕が動くとインパクトがあるんですかね。

山脇:びっくりして、おもしろいんですね。大きいものが動くんで。マイク1本立ってて、話し始めて、そのうち動き出すから「あ、意外とアクティブなんだな」って。最後らへん、マイクの全然ない場所にいたりとか。

街裏:います、います。

山脇:滝が出てくるネタで、滝を表現してるうちに、舞台の端の方に行ったりしてますよね。

街裏:マイクないところで、「うわー!」って言ったりしますからね。

山脇:そういうのも、すっごい面白くて。

 

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女性に優しかったり、夢中で恋愛していたり。そんなんを「アホっぽいな」と思って描くことが多いかもしれないですね。      

 

山脇:インターネットにあがってるものを全部観させていただいて……なんか、ハートフルですよね。優しいんだなあ、って思って。

街裏:そうですかねえ。

山脇:すごく優しい……っていうか、印象より、優しい、というか。

街裏:この、見た目より?

山脇:なんか、だから「いい、優しい……!」って思っちゃうんですよ。『アコースティック・ギター』ってネタで、遊郭の話で女の人が出てきて「あ、これはもしかしたらいやらしいのかな」と思って。

街裏:ついにいやらしいのが、と。

山脇:でも、遊郭の女性を「ここから助けてあげたい」とか。優しいんですよね、女性に対してすごく。

街裏:確かにそうですよね。自分のことをこう、後ろから見た時に、何がアホっぽいかっていうと、女性に優しかったり、夢中で恋愛していたり。そんなんを「アホっぽいな」と思って描くことが多いかもしれないですね。

山脇:アイアム演芸大賞の時にやられてたネタも、マミールという名の宇宙人の女性と肉体関係を……っていう、あれは……まあ、ちょっといやらしくて。

街裏:あれは本当にいやらしかったですね。

山脇:でも、なんだろうな、優しい……、いい情愛ですかね。相手のことすごく好きでしたもんね。

街裏:その角度で言って頂くの初めてです。

山脇:わりと愛のあるいやらしさだから、女性向けのポルノじゃないですけど……

街裏:エロメン的な。

山脇:エロメンですね! なので「いやだわ~」っていうより、なんか。

街裏:そうだからですかね、男性のお客様も多いんですけど、女性の方もわりといらっしゃってくれるので。

山脇:いやな気持ちにならないんですよね。

街裏:ならないですか? ああ~嬉しいですねえ。

 

「なんでそんなもんに対して怒ってんねん」って、アホっぽく見えるように、という意識はあります。

 

山脇:BSフジ『冗談手帖』に出られたとき、『笑いをゴールにしていない女芸人』っていうネタをされてて。タイトル出た時に、わたしのなかのフェミニストが「あ、女に対して、何を言うんだろう」ってドキッとはしたんですけど。

街裏:すみません、はい。

山脇:いや、でも、それも「女め!」って直接こきおろしたりはしてないんですよね。

街裏:そうですね。大阪で8年間、事務所に所属したりしながらやらせていただいていて。その時は空想とかファンタジーみたいなのは一切やってなくて、あるものにたいしてツッコむ、みたいな感じで喋っていたんですけど、それは品が全然なかったんですよ。

山脇:え!

街裏:関西弁で「こいつのこの歌、なんやねん」とか「カバー曲やんな~!しょうもないんじゃ~!」みたいな。歌ってみせて「なんやこりゃ~!」ってやる、みたいなのをやってたんです。

山脇:はい。

街裏:で、今やってることが、もともとやりたかったことなんですよ。東京に来て、それがやれてるので、大阪のときとは違う風にしようっていう意識はあって。もともと品のないことをやっていたからこそ、そこをちょっと避けてる感じなので、そうなってるんじゃないか、って今思いました。

山脇:避けてるのは、やっぱり、そういうのよりは、今みたいな方が好きだから、っていう……? 

街裏:そうですね、怒るより、というのはありますね。怒ってるのでも「なんでそんなもんに対して怒ってんねん」って、アホっぽく見えるように、という意識はありますねえ。恋に夢中になって、宇宙人を真剣に愛したり。

山脇:ああ~、なるほど。

 

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街裏:その番組でやった女芸人のネタも、鈴木おさむさんに「『怒り』をテーマに作ってこい」って言われて。「どうしよう、今までさんざん怒りをやってきたなかで、今の芸風でどうしよか」っていう時に……あきらかに笑いをゴールにしていない人がいる、っていうのは思ってしまって。

山脇:まあ、いますでしょう。いますよね。

街裏:それをどんだけ和らげるか、っていうので作ったので、「優しい」って言ってもらえてすごく嬉しいです。

山脇:そうなんですよ。安心して笑えたんですよね。もちろん「そういう人がいてやだなー」って思ってるんですよ。そういう共感はあって、でも「そんなに人の悪口を言ってはいけないよね」っていうブレーキが普段あって。そのブレーキを、一緒に解いてくれるネタでした。ネタに出てくる、現実にはいない嘘の校長先生のことを笑うぶんには、誰かを傷つけてしまうなあ、とか考えなくていいし。

街裏:あー嬉しいですねえ。

 

『地に足のついたファンタジー漫談』ってよく言うてて。

 

山脇:ぴんくさんの漫談、呼び方は『架空漫談』でいいんですか? 嘘漫談?

街裏:それもね、決めてなくて。かっこつけた言い方をしたら、ほんま観た人に決めてもらう、っていう感じなんですけどね。ファンタジーでもないですし。僕、『地に足のついたファンタジー漫談』ってよく言うてて。

山脇:はい。

街裏:矛盾してるんですけど、宇宙人とか魔法とか、それ系のことって、あんまりなくて。唯一あるのが、さっきの宇宙人、マミールくらいで。

山脇:ええ。

街裏:あとは、サザエさんの髪型の、左右ボコってしたところ、あれが右っかわだけテレビから出てきて、ひっぱったらそこだけ千切れて、それを画面に返す、っていうネタがあるんですけど。

山脇:はい(笑)。

街裏:あとはこう、ちょっとありえるというか、世にも奇妙な物語レベルのなかで、みたいのが多いんで、なかなか名づけるのが難しいんです。なんか、ありますかね……?

山脇:そうか。嘘、っていうと「嘘だ!」っていうと切り替わりすぎちゃうかもしれないですもんね。

街裏:はい。『SF漫談』って鈴木おさむさんは言ってくれてはりましたけど。

山脇:ああ、どこからが本当なんだろう? みたいな。確かに、星新一さんみたいですもんね。

街裏:って言っていただいたりしますね。あと……筒井康隆さんだとか。

 

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山脇:ネタのなかの、めちゃくちゃ細かいディテール、ああいう細部まで、もう全部考えるんですか?

街裏:つく必要のない嘘が好きで。なんていうんですかね、「それ、ええわ」「そこまで細かく言わんでも」みたいな。

山脇:ホイップクリームのネタで、滝の前で警備員のひとが話しかけてくるとか……すごい好きなんですよ。

街裏:「向こうもっと甘いぞ」ですよね。

山脇:そういう、こまかーい、ちっちゃいところがすごい面白くて、たまらないんですよ。

街裏:滝が富山県にある、とか、そういう地名選びとかは、細かくしてます。

山脇:なんだろうな、嘘っていうか、このできごとが本当にあってもいいな、って思いますよね。

街裏:そうですね、やってみてから「あってほしいな」って思うこと、よくありますね。最近『許せる劇場』っていって「僕、実は上京して2年目の頃に劇場つくったんです」っていう、嘘なんですけど。「面白い芸人ばっかり出るちゃんとした劇場がある、ていうのはわかったうえで、あえてまったく面白くない人ばっかりを集めた『許せる劇場』をつくったんです。まったく面白くなくても『なんか許せたな』って思えた方が良くないですか……?」そういう救いのあるもの、本当にあればいいなって。だから自分のつくりたいものをつくるっていう感じですね。

山脇:やっぱり、優しいんですね、根っこにあるところが。

街裏:そんな、優しくないですよ。

山脇:じゃあ、私が勝手に美化しているのかな。「優しいわ~」って。

街裏:騙せてるなら御の字です。やっぱり、列で横入りしてくる人には舌打ちしますもん。

山脇:それはそうですよ。私もしちゃいますもん。

街裏:しますよねえ。

山脇:でも、そう思ってることを「舌打ちしてやったんだぜ!」て言われるとやっぱり「ああ~……」ってなっちゃうけど、そこに一個フィクションがのると、笑って聞いていられるっていうのは、あるんですよねえ。

 

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 いっつも緊張します。

 

山脇:ぴんくさんの漫談を観てて「あんな風に、実際にあったことのように話せるのってすごいな」って。「こういうことがありましてね」って細かくお話しされてるから、聞いてると景色が本当に見えてくるし、1人1人の登場人物が見えてきたりとか。あの感じがすごく面白いんです。あれは、自然にできるようになったんですか? コンビで活動されてたとき、その頃は会話されてたんですか?

街裏:そうですね、最初の3年、コンビでやってて。そのときは、会話してました。でも、どこか今のことに近いというか、『状況説明』みたいなのが好きでしたかね。笑点で、先代の圓楽師匠がお客さんの中に埋もれてこう、客席から挨拶しながら、始まるじゃないですか。

山脇:ええ。

街裏:「お客さんが圓楽師匠を肩車して始まって、師匠の顔が完全に画面から切れてた」みたいな嘘をつくっていう。そういう僕のボケに対して、相方が別につっこむこともない、みたいな。それだけで成立してた部分もちょっとあるかもしれないですね。

山脇:なるほど(笑)。今、長いネタだと、7分以上お1人で喋ってますよね。

街裏:そうですね。はい。

山脇:私、去年ラジオの仕事をしてて、7分くらい1人で喋って、曲、みたいな流れだったんですけど「こりゃきつい」って、すぐ7分くらいあるヒップホップの曲かけてました。

街裏:『すいているのに相席』を拝見してたらそんなこと全然思わないですよ。

山脇:相手役がいると会話できるんですけど……1人でそんな長いこと喋れないもんだな、って。漫談って、1回走り出したら、1人で走り抜けるしかないですもんね。

街裏:ですねえ。お客様の顔も見えてしまうんで。横向いて喋るわけにいかないんで。それだけ後悔してますね。いっつも緊張します。

 

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快感はあるって言って頂くこともあります。

 

街裏:びしっとくる「なんとか漫談」って言葉があったほうがいいかもしれないとは思っていて。初見の人がなかなか「ほんまや」と思ってしまうんでね。

山脇:どっちですかねえ。初見の人をけむにまくっていう手もあるかも…?

街裏:ああ、なるほど。

山脇:「もしかしてこれ……嘘?!」って気づく快感もあるのかも。

街裏:そうですね、快感はあるって言って頂くこともあります。

山脇:ぴんくさん、6月28日の独演会は、どのくらいの長さでやられるんですか?

街裏:1時間40分から2時間くらい喋らせてもらいます。

山脇:それは、まったく1人で? ゲストなしですか。

街裏:そうですね。

山脇:ひえー。それだと、ネタは何本くらいやることになるんですか。

街裏:細かく、11、2本、やってましたね。その前は長尺で1時間くらい喋るって言うのをやってたりして。それは挑戦というか、一個の話でちゃんとこう、1時間でオチつけるというか、筋通すみたいのは、まだやれてないので、課題ですねえ。

山脇:1時間ってもう、一人芝居、作品ですよね。

街裏:一応、途中で出てきた話が最後に完結する、みたいのことはやりますけど、それくらいの伏線で。あとはぶつ切りというか、色んな話つめこんで。

山脇:はい。

街裏:漫才って「わーどうもー」って何回も出てきてもいいんですけど、漫談で12本、毎回出てこられると、絵がもたないというか……

山脇:はあ~。

街裏:だから、その場に居続けるという。はけないために、おるだけ、みたいな。

山脇:ほおー。

街裏:こないだのは12本、毎回暗転、明転でやる、ってやったんですけど。

 

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山脇:独演会、ペースは年4回、ですか?

街裏:はい。3月、6月、9月、10月で今年、年4回やろう、っていう。

山脇:精力的ですね。

街裏:どうしても尺がいることをやっているので、今の時代に「テレビにはめこみたいと思ってもはめこみにくい」って鈴木おさむさんにハッキリ言われたんで。「もう、舞台から集めていけ。1分半とか、2分でネタやらなあかんやつは蹴っていい」と。

山脇:ほおお~なるほど。

街裏:「損するやつは全部蹴っていけ」って言われたんですけど、僕の立場で、やっぱりねえ。マネージャーから「どうします?」って言われた時に、蹴る、という勇気がなかなか出ないんですけど、できるだけ蹴るようにしてますね。

山脇:ああでも、1人そう言ってくださる人がいると、断る勇気がちょっとわきますね。

街裏:俳優さんのオーディションってどんな感じなんですか?

山脇:CMだと「どこから来ました」とか言って、全身の映像を撮られて、絵コンテ通りに「こらこら~」とか、みんな同じことやって。見た目と雰囲気とか、家電とか洗剤とかそういう商材にはまるかどうか、みたいな。

街裏:なるほど。やっぱりそういうのが強いんですね。主旨に合わせた演技を、という。

山脇:お母さんっぽく、とか、OLに見える服装で行ってください、とか言われますね。

街裏:ああ、なるほど、そんなんあるんですね~。

山脇:ぴんくさん、俳優さんとしても、なんか、ばっといけそうな……

街裏:いやいや、おこがましいですけど……『アウトレイジ』に出たいっていう想いはあって。

山脇:はい!

街裏:苦虫をかみつぶすような顔で最終章を観てましたけど。「出られへんのか~」思って。それは出たかったですけどねえ。

 

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無知の極地……って言ったら格好いいように言ってますけど。なんも知らないんです。

 

山脇:映画はお好きですか?

街裏:まったく観ないんですよ。すいません。全然知らなくて。

山脇:いろんな世界、イメージの話をされるから、そういうのって何から沸くんだろう? 映画とかたくさん観てるから、ああいう「馬がいて」とかって浮かぶのかな? って思ってました。

街裏:なんていうんですかね、映画って定例があるじゃないですか、「こいつかと思ったら、絶対こいつじゃない」とか。

山脇:いい人が「げヘヘ」ってなっちゃうとか。

街裏:最後に必ずどんでん返しがあるだとか、そういう枠組みだけはわかってるんで、それに、自分のはめたいことをはめてるだけなんで。僕、自分の漫談を映画とかにしたら、めちゃくちゃ幼稚なもんになる、マジで観られないというのは、ずっと思ってて。

山脇:そうかあ。

街裏:結構単純で、色々観て「俺はこう思う」とかいう頭がないので。なんか、自分のことしか考えてないですね。自分がどうアホっぽく映るか、みたいな演出でしかないというか。

山脇:意外でした。

街裏:何も観ないんですよ。漫画も映画もアニメも観ない、ドラマも観ない、ニュースも観ないんで。

山脇:ええっ。

街裏:僕、いま『占いTV』ってところで毎週やらせていただいてるんですけど、キーワードを2個だけ与えられて、どういうニュースか当てるっていう企画をやるくらい、無知の極地……って言ったら格好いいように言ってますけど。なんも知らないんです。

山脇:ええー。「90歳 運転」とか言われても?

街裏:え? 実際、あるやつですか? 全然、わからないです。知らない。僕こないだ「アイドル モデルデビュー」でわからなかったですもん。

山脇:アイドル? あ、あの、娘さんですか?

街裏:まさにあのニュースしかない時に。わからなかって「え、誰、誰?」って5分くらい言ってましたね。

山脇:へえ~~~

街裏:この前も、日大のラグビーの監督が僕に似てるいうて、さんざんいじられたんですよ。わからんから、ほんまダメなんですけど10分くらい愛想笑いして。

山脇:ははは。はい。

街裏:芸人2人にいじられてたんですけど、僕も「わからん」って言えずに愛想笑いをずっとしてて、いたたまれなくなって「ごめん、俺知らんかったわ~」って言ったら、やっぱちょっとしけましたもん。「あんた全然知らないよね、そういうの」って言われて。

山脇:愛想笑いで、あんまり反応なかったら「もしかして似てるって言われて内心は怒ったりしてるんじゃないか」とか思っちゃうかもしれないけど……知らないっていう可能性の方が高いんですね。

街裏:そうなんです、そうなんです、ほぼ知らないんです。見た目は全然いじってほしいので。

 

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やっぱり教えたいんで、男は。「これええで」とか。

 

山脇:ぴんくさんって今……

街裏:33歳ですね。

山脇:わりとお若いんですよね。

街裏:そうなんです、綾瀬はるかさんと同い年。

山脇:その時代かあ! じゃあほんと、黄金期。

街裏:水嶋ヒロさんとか、一緒です。

山脇:輝かしい!

街裏:輝かしいでしょ。そうなんですよ。寄席とかで言ってウケるのがね、「安田美沙子さんの2つ下です」って。2つ下なんですよ。これがなんかわかりやすいみたいでウケるんですけどねえ。

山脇:音楽の方はどうですか?

街裏:音楽は、ヒップホップを聞きますね。そのなかでも日本のヒップホップ。高校時代にすごい流行ってて。流行りだしたのが高校くらいのときなんで、そこからずっと聴いてまして。元相方も今ラッパーで。

山脇:ええ!

街裏:はい。3年間漫才をいっしょに。高校の時の同級生やったんですけどね。今大阪でやってますね。わりと有名になってきてて。

山脇:あら!

街裏:そうなんです。音楽は、ヒップホップですね。ファンタジーみたいな感じよりも、直で入ってくるのが好きですね。熱い、「俺が一番だ」みたいな感じが好きですね。意外と(笑)。

山脇:いや、なんか、納得しました。

 

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街裏:山脇さんはどういう感じが好きですか?

山脇:私は「これが!」っていうのがなくて、あんまり音楽のことがわかんないんですよ。

街裏:なるほど。なんか、こう香りづけに聴いてるような?

山脇:当時好きだった人が聴いてた、とか、自分の思い出ありきで。昔、YOUさんが『彼氏が変わるとiPodの中身ががらっと変わるタイプ』って自分のことをおっしゃってたんですけど、もう、それです。

街裏:ああ、なるほど! そういう人の方が好きっすね。

山脇:彼氏がヒップホップ聴いてたら、ヒップホップを、聴きます。

街裏:うわ、めっちゃそういう人好きやわ。ガチガチに自分の音楽の世界観ある人は、ちょっとひいちゃいますね。(ノリながら)こんなんして「これいいよね~」とか言われたらひいちゃうところあるんで。

山脇:あら、そうなんですか。

街裏:それくらいが、いいです。すいません、僕の好みを……

山脇:音楽が好きな人って、音楽に一家言ある方が好きなんじゃないかと思ってて。「あ、これってなんとかからのサンプリングだよね」とか言ったほうが、会話が盛り上がるのかなあって思っちゃってました。

街裏:そんなのが好きな男はね、ほぼいないと思いますよ。0.何割やと思いますよ、絶対。やっぱり教えたいんで、男は。「これええで」とか。

山脇:ああ~

街裏:「え~いい~」とかいう反応だけでええです。僕は、そういう女性の方が好きです。

山脇:ほんとですか。ああ、よかった。夫がEXILE好きで、一緒に聴くんですけど。

街裏:え! なんか知らんけど、間接的に意外でした。

山脇:いや、夫自身も、そんなEXILE好きそうな人でもないんですけど、田舎出身なので、カラオケで歌える歌が好きなんですよ。それでCHEMISTRYとかEXILEとか。

街裏:めっちゃ意外です。2人でOrange Pekoe聴いてそうです。

山脇:はっはっはっは!

街裏:「愛を~あげる~君がいる~ララ~♫」って。めっちゃ勝手なイメージで申し訳ないですけど、Orange Pekoeとかテイ・トウワとか、そんなのを聴いてるイメージです。すいません。めっちゃ意外でした。ほなEXILE聴くんですか。

山脇:聴きます、聴きます。盛り上がる曲とかあるんで、楽しく。

街裏:いやいや、そうですよね、悪くないですよね。歌います、歌います。

山脇:ほんとですか?

街裏:え、昔のですか? 今のEXILEですか?

山脇:夫は、SHUNちゃんがいた頃がもともと好きで。

街裏:ああ、清木場さん。俺もその時代の方が好きなんで。「Song for you」とか。

山脇:ああ、いいときですよね。

街裏:そう。めっちゃいいっすよね、あの時代。

山脇:メロがしっかりしてて。

街裏:ははは。結構専門的じゃないですか。今もうちょっとなんか……

山脇:大所帯になりすぎて……(笑)

街裏:ですよね。どれ見ていいかわからんみたいな。

山脇:円形じゃないとステージ成り立たなくなってきてます。若手もいっぱいいて、ライブビデオとか観るとすごく楽しいんですよ。

 

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そういうの憧れるじゃないですか。「俺もそういうのの仲間入りか」みたいな感じで。

 

山脇:以前、R&Bシンガーだった、という経歴をインターネットで調べてしまったのですが……

街裏:ありがとうございます。それも、もともと相方が高校くらいから趣味でヒップホップやってたので。一緒にカラオケいったら「お前うまいがな」みたいな。ヒップホップをやってる仲間として、R&Bシンガーみたいなんもおるから、夜のクラブで歌ったりせえへんか、っていうので。その当時、そういうの憧れるじゃないですか。「俺もそういうのの仲間入りか」みたいな感じで、やってたんです。3年ぐらい。

山脇:「そういうのの仲間入りか」(笑)。

街裏:ずっと俯瞰でみてましたね。「お、俺も、そうか……ええなあ」みたいな、そういう感じで夜のクラブで歌うようになって。

山脇:ほうー!

街裏:だから、いまだに歌つくるのは好きなんですよね、アホみたいな歌を。

山脇:あの、独り言バトルのときも歌ってますもんね。

街裏:ああ、そうですそうです。1回目ウケて味しめて2回目めっちゃスベった、あの「片山右京の万歩計」とか、大好きですから。あんなん、ショートフレーズのやつをつくるの好きですね。

山脇:はい。

街裏:当時もなんか、もともと黒人の人とかが出してるトラックだけを使って、その上にメロディと歌詞のせるみたいなのをよくやってて、それで歌ってたんで。

山脇:なるほど! KinKi Kidsのネタでも歌ってましたね。あれ面白かったなあ~

街裏:あれねえ、いつか怒られるんじゃないかと。

山脇:や、KinKi Kidsは大丈夫じゃないですか、剛君がお笑い好きだから。

街裏:そうですよね。早く見つかれって思ってるんですけど。

山脇:あれをセルフカバーしたいなって思ってくれるんじゃないでしょうか。

街裏:やってくれますかねえ。けっこうひどいですよ。剛さんはわりとあれですけど、光一さん完全に……「ちょっと~~~~」って。

山脇:でも、光一君って、なんか、昔からあんな感じですよ。

街裏:え、そうですか?

山脇:『人間・失格』とか『アイドル・オン・ステージ』とか観て、KinKi Kidsずっと好きだったんですけど、ファンは「わかってる~」みたいな気持ちになりそうな気がします。

街裏:え、そんな感じなんですか? あんなんなんですか? 「ちょっと~~~」ですよ、どこがですか。

山脇:そりゃ、ちょっと誇張してるとは思うけど(笑)。私、光ちゃんは、女性でも男性でもない、超越した妖精みたいな存在だと思ってて……あんなことをしたとしても、ファンは「何よ! 私の光ちゃんを!」とかはならないと思います。

街裏:大丈夫ですか。

山脇:実際に2人がカバーとかしたら「きゃ~~!」ってなるんじゃないかなあ、と。

街裏:なりますかねえ。ええ、めっちゃ意外ですね、それは。

 

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山脇:あとね、好きな替え歌があったんですよ。あの、ヒルナンデスの。

街裏:『鼻』のネタですよね。aikoさんの「夏の星座にぶらさがって~」で。

山脇:そうです、そうです。

街裏:「上から花火を見下ろして~昼からヒールナンデスみーたくなーいんですー」っていうね。

山脇:そこ本当に大好きで。

街裏:言いたいだけなんですけどね。歌いたいだけ。あの場所であれ歌わんでいいですもんね。

山脇:そうですよね、あれ突然でてきて、ほんっとうに好きで。

街裏:嬉しいです、ありがとうございます。もう語呂ですよね、昼からヒルナンデス。

山脇:こう、歌声を聴くと、「ああ、R&Bシンガーだった方だな」って。

街裏:でもなんか、歌う前に、普通やったら「どうも……R&B歌ってます」みたいな感じで入るじゃないですか。それもずっとボケてましたね。めっちゃスベるんですけど。

山脇:はい。

街裏:最初スベるんで、歌も中途半端になるというか。最初チョケて、「なんやねんこいつ、誰やねん」みたいな。そっからいきなり「君が好き~」だのどうだの歌われたって。「君の胸をそっと抱き寄せ……」みたいなことを、童貞やのに言うてましたしね。

山脇:ええ~

街裏:ほんまに、今のようなことやってました。「家に忍者がいましてね、忍者が僕に対して……」みたいなことを言って「じゃ、歌います」みたいな。でも、そっちのほうが楽しくなっちゃったんですね。舞台上でボケるってことの方が。それで、やめて、って感じですね。あれはあれで、楽しかったんですけども。

 

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あのようなことがやりたいなと思ってます。

 

山脇:じゃあ、今、一番好きな曲。客入れで一曲選んでいいよ、って言われて選ぶ曲はなんですか。

街裏:なんでしょうかねえ……。毎回、独演会のエンディングで、僕が「どうもありがとうございました」って頭下げたあとに入れてる曲があって。MOROHAさんの『三文銭』ていう、ヒップホップの、語りみたいな曲で。何かをやってるひとなら必ず響くんじゃないかっていう、「こんなにストレートに言う?」っていうくらいのがあって、それが大好きですね。

山脇:あ、この前『アイスと雨音』(監督:松居大悟)っていう映画を観たんですけど、音楽がMOROHAさんでした。

街裏:え、そうなんですか?

山脇:その映画、70分ちょい、ずーっと長回しで、こっちのシーンからカメラがパンしたら、こっちでその方が歌ってる、みたいな。

街裏:出てるんですか、ご本人。

山脇:出てました。会話の裏で、歌が始まったなあと思って、カメラくるってまわったら、いる、みたいな。

街裏:えーかっこいい。知らんかった。いい歌、歌わはりますよねえ。『三文銭』も「2013年のフジロック」みたいなところから始まるんですけど、「届かなかった大舞台 絶対出るからと休んだバイトも恥を忍んだ」っていう、「実力不足のてめえのせいだ」っていう……この、大きい大会ある、俺は絶対出ると思ってて、っていう……なんかもう、いいんですよね~。ほんま好きですね~。

山脇:映画の中でも結構歌ってらっしゃいましたよ。

街裏:でも、こういったらあれですけど……映画の中で、あんな灰汁の強い語り、邪魔なんじゃないですか。

山脇:ははは(笑)

街裏:けっこう、声も高いですし。「なんっで!」みたいな。 

山脇:そうですねえ。だから、なんか前衛的な感じには(笑)。

街裏:想像つかないですよ。

山脇:すごい熱量でいるから、最初びっくりして「このひと登場人物なのかな?」って。概念みたいな感じで他の人とからまないから、「このひと登場人物じゃないんだ」ってわかるんですけど。

街裏:そのもの、その存在として。新しい映画ですか? 最近のですか?

山脇:最近です。今度下北沢でもやるんじゃないかな。面白かったですよ。

街裏:観られたら観たいですね。

 

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山脇:じゃあ本当に、言葉がバーンとくるようなのがお好きなんですね。

街裏:あのようなことがやりたいなと思ってます。MOROHAさんとあんまりかぶらんような感じでしたいんですけど。僕の漫談の、主張の強いやつばっかりを集めて、後ろでバーッてジャズ弾いて、みたいな。Youtubeかなんかの動画で。

山脇:ほおー!

街裏:やっぱり、男なんで、かっこいいのも好きなんで。男の子なんで「面白いしかっこいい」って言われ続けたいんで。そんなん、めっちゃかっこいいしモテるんちゃうかな~と思ってるんですよ。

山脇:ぴんくさんは、音楽と親和性の高い見た目をしてらっしゃるって感じます。

街裏:それはプラスにとらえていいんですか?

山脇:はい。なんか、合いそう。ときどきジャズバーでやってますよって言われても、「あら!」ってなりそう。

街裏:その「あら!」はどういう?

山脇:「素敵ね」って。似合いそうですよ、音楽の人と何かやる、っていうの。

街裏:ああ、本当ですか。ちょっと、考えてみます。

 

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CHEMISTRYの川畑さんみたいな格好をしてました。

 

山脇:お洋服のこと、ファッションについて教えてください。

街裏:ファッションはね、自信ないですね~。

山脇:高校の時って何が流行ってました? どんな格好でした?

街裏:そうですね。まあまあもう、高校のときヒップホップが流行りだしてたんで。で、R&Bもやってるっていうことで、なんかね、CHEMISTRYの川畑さんみたいな格好をしてました。

山脇:ああ! はい!

街裏:もっと痩せてたんで、全身黒で。もう、黒のバンダナして、その上にさらに黒いニット帽を浅くかぶって、ぶりぶりをつけて黒の革ジャン着る、みたいな。いかつい、言ったら黒人さんの、そういうソウル系の服装をして。

山脇:ああ~!

街裏:もう1人はどっちかいったらラッパー系の。PELLE PELLEの革ジャン着たり。ROCA WEARとか、なんか、あったんすよ。それを着て、白と黒、みたいな感じで、スタービーチで出会ったメル友に会いに行ってましたね。

山脇:スタービーチって、それは、出会うやつ?

街裏:そんなんがあったんです。流行ってたんですよね。それで、僕らも若気の至りで……僕がずっとやりとりしてた子と2対2で会うってときに、これ好感度下がると思うんですけど……パッとみたときに「うわーもうちょっと可愛い思ってたー」って幻滅して「逃げようぜ」って。

山脇:あらら。

街裏:「ちょっとごめ~んコンビニ行ってくるわ~」って行って、50メートルくらい進んでパッと振り返ったら、むこうが先に逃げてた時あってね。すんごいかっこ悪くってね。「逃げられとるやないかい!」言うて、そいつと1分間笑いましたね。

山脇:まあ。

街裏:2人の格好を見合わせて「そりゃそうやな~」ってなりましたね。

山脇:怖かったんだ。

街裏:そういう、ちょっと、オラオラが渋い、みたいな一点張りでしたね。

 

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山脇:今はじゃあ、わりとシックになられて。

街裏:あのー、非常に恥ずかしいんですけど、この上の服、昨日買いました。「ないな~」思って、嫁と一緒に「どうする~」っていって。

山脇:あら素敵。結構、奥様の意見とか聞かれるんですか?

街裏:そうですね、わかんないんで。「こうやったらええんちゃう」とか……。山脇さん、すごいお洒落ですよね。

山脇:いやいや、自分で選ぶとあれなんで、夫が決めてます。

街裏:それほんま事実ですか? 絶対、夫でこの感じ出ないですよ~。

山脇:選んでもらうというか、「これでいいかなあ?」「いいよ」ってオッケーをもらう感じです。

街裏:がっちり山脇さんのお気に入りとか関係なしに「それは良くない」とか言うんですか?

山脇:言います。

街裏:えー!

山脇:朝、着替える時間が別々で、出先で待ち合わせしたりすると「どうしてそれ着てきちゃったの?」ってこともあったり。

街裏:悲しいですよね。でも、それは、不満として残っていかないんですか?

山脇:自分が悪いなって。これは失敗か~って思って。

街裏:すごい。旦那さんはいいお嫁様を手に入れましたよ。そんなん「はあ?」ってなりますもん。ちょっと「太った」とか言うだけでめっちゃ怒られますけど、怒らないでしょう?

山脇:「あ~太っちゃったか~」って思うだけです。

街裏:そんなん、怒りますよ、なりますよ。

山脇:ご結婚されてることは、わりとオープンに言われてますか?

街裏:話をしていく筋道で必要なら言いますね。別に「嫁はんがね~」って全面的には出さないですけど。

山脇:ご結婚されて結構長いですか?

街裏:4年半くらいですね。28歳くらいで結婚したんです。

山脇:東京出てきてから?

街裏:出てきてから、ですね。大阪から2人で出てきてって感じですね。

山脇:素敵~

街裏:まあ、ファンの人やったんで……。

山脇:あら! ファンだったら、何言われても「きゃ、嬉しいー」ってなりそうだけど、怒られるんですね……関係性は変わりますか。

街裏:もう8年半になりますから、もう、そうっすねえ。最初はそうでしたけど。

山脇:いいですねえ。

 

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舞台に注ぐしかない、という気持ちでやっているので。

 

山脇:では、独演会に向けて……。

街裏:気合いみたいなやつですね。

山脇:はい。

街裏:独演会は、会場もできるだけ小さくしないっていって、去年の11月は座・高円寺で300くらいのキャパでやって、今年3月に伝承ホールは345のキャパで。今回の武蔵野公会堂も同じくらいなんですけど、一番好きな会場で。

山脇:武蔵野公会堂、吉祥寺の公園口にあるところですか。

街裏:吉祥寺駅から歩いて2分くらいの、マルイの方ですね。あそこなんですけど、なんか、変な……って言ったらあれですけど、変わった雰囲気の。

山脇:津軽三味線を聴きに行ったことがあります。見易くていいホールですよね。

街裏:そうですよね。重厚感がある感じです。そういうところでやらせてもらうんですけど。こう……覚悟みたいなことですね。今、テレビ待った、っていう状態ならば、もう舞台に注ぐしかない、という気持ちでやっているので。僕以外の所では楽しめないはずの、漫談を楽しみにきてほしいなと。

山脇:唯一無二の。

街裏:と、言っておきます。

山脇:実際に拝見して、もともとあった「きっとこんな感じだろうな」っていうのじゃなかったっていう印象があって。

街裏:最初の想像に比べて。

山脇:一見に如かずじゃないですけど、観て、私はすごく好きになったから、みんなも観たらいいのに! って。

街裏:僕も思ってます。

山脇:来たらいいのに~! って感じですよ。

街裏:来てほしいですねえ。

山脇:観る前は、ハードなのかな? とか思ったり、していて。

街裏:そうですよね、きっとそのイメージありますよね。

山脇:ハードコアなのかな~とか思ったら、その部分もあるけど、でも、優しいホイップクリーム感もある。

街裏:あるネタにからませてくれて、ありがとうございます。

山脇:いやいや。

 

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そんな細かいのが言いたいだけなんですよ。

 

街裏:何も起ってないときありますもんね、漫談の中で。たいそうに喋ってるんですけど、何が起こったの、って、たいして起こってないっていう。

山脇:行って帰ってくるだけ、みたいのありますよね。

街裏:「大阪東京間の移動が9分」みたいなポスターを豪徳寺の駅で見て。まあ、全部嘘なんですけど。すいません、自分のネタなんですけども。

山脇:ああ、びっくりした。

街裏:でもそのポスターが帰り際にはなかったんですよ。でも僕それ気になってメモってたんで、後日どうしても気になってその場所に行ったら、楳図かずおがチョケて作ったみたいな、木造のカラフルな建物があって、「嘘なんですよそれ」って言われて。僕は「そんなんわかってます、大阪東京間が9分でいけるわけない」「普通やったら、みんな『嘘』ってわかった時点で帰りますよ」「いや、俺はその先が見たい」って言って。

山脇:はい。

街裏:「こうやってぐんぐん突き抜けてきた奴に対して、一応用意してるプランあるやろ」って言って見せてもらうっていう、何も起らないネタがありますね。

山脇:そのポスターを豪徳寺で見かける、っていうのがいいんですよねえ。新宿とかじゃなくて、豪徳寺で。

街裏:そんときも「何が嬉しいて豪徳寺でおりなあかんねんなと思いながらね」みたいな。そんな細かいのが言いたいだけなんですよ。

山脇:そういうところが面白いなーと思って。

 

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山脇:ラジオで披露されたネタも、インターネットにあがっている音声を聴いたんですけれど、ぴんくさんの漫談はラジオで聴いても楽しいですよね。

街裏:ああ、ありがとうございます。

山脇:おじいちゃんおばあちゃんも楽しいし、子どもにもハマるんじゃないか、って。

街裏:特にターゲットを狙ってるわけじゃないので、幅広く、伝えられたらいいですね~。今、音声で上がってるのが2個あるんですけど、それが、朝丘雪路さんと広瀬香美さんので。

山脇:朝丘雪路さん、最近亡くなられて……広瀬さんも最近ちょっとなんか色々あって。

街裏:なんやねん、って思って、怖いんですよ。

山脇:朝丘さんの単独ライブについての漫談で、勿論嘘なんですけど、客入れがZeebraっていう。その演出の単独ライブ観たいな~っていう気持ちになって。あれ、行きたいですよね。行きたくなる人、いたと思う。

街裏:やってらしてもおかしくないですからね。

山脇:ラジオで流れてきたら、なおさら「本当なのかな?」ってなりそうですよね。昔「火星人襲来」みたいなラジオドラマを聴いて、本物のニュースだと勘違いしてアメリカでパニックが起きた、ってことがあったらしいんですけど。

街裏:ほんまに問い合わせる、みたいな。

山脇:『あの人がラジオ言ってた、あそこに行きたい!』って思っちゃう。

街裏:そうなればいいですよね、本物ですよね。

 

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街裏ぴんく(まちうら ぴんく)

漫談家。 トゥインクル・コーポレーション所属。1985年2月6日生まれ。水瓶座、B型。大阪府堺市出身。178cm、110kg。特技は甘い歌声、街で絡まれないこと。嫌いなジーンズはベルボトム。尊敬する人は中田ダイマルラケット。レギュラー出演に占いTV ライブdeフォーチュン「街裏ぴんくのおしゃべり桃源郷」(毎週火曜日12:00~14:00生放送)、BSフジ「冗談騎士」(毎週水曜日23:00~23:55放送)がある。漫談家として舞台・イベント出演多数。単独公演である”独演会”は、2016年に第一回 『階段ぶっ壊したみたいな大嘘』 (プーク人形劇場)、2017年・第二回 『漫談』 (座・高円寺2)、2018年3月・第三回 『AKAGO』 (伝承ホール)と定期的に行われ、2018年においては計4回の独演会が予定されている。第四回 街裏ぴんく漫談独演会「武蔵野公会堂」in武蔵野公会堂は、2018年6月28日(木)に開催。(18時30分開場 19時開演/前売2500円 当日3000円/チケットは各ライブでの手売り又はイープラスにて)

 

山脇唯
 
1981年8月3日生まれ。俳優。ヨーロッパ企画退団後はフリーとして舞台を中心に活動。2013年より「すいているのに相席」に参加、“ユーモア女優“の称号をバッファロー吾郎A、せきしろ両氏より賜る。NHK Eテレ「デザインあ」、NTTdocomo、Tokyo FM、東京ガス、他、ラジオCMを中心に声の出演も多数。2018年1月29日に座・高円寺2で行われた『アイアム映画祭』にて清水崇賞を受賞。6月11日(月)『minanスタディゲーム』(新宿ロフトプラスワン))7月11日~16日『すいているのに相席'18決断』(中野テアトルBONBON)にも出演する。

 

PANORAMA FAMILY

2006年頃結成。2009年1月、3MCから1MCへ。以降はゴメス1人のユニットとなる。 渋谷Organ.b第1火曜日mixx beautyを中心に、年間60本ペースで精力的にライブを行う。remix、客演、ビールケースの上から幕張メッセ(countdown japan fes 3年連続出演)まで、大中小規模なイベントに参戦する他、トラック、楽曲提供など活動は多岐に渡る。レぺゼン宮城県女川町スタイル。2014年から写真家として活動。SLIDELUCK TOKYOの第一回ファイナリストに選出される。雑誌STUDIO VOICEでとりあげられる。2016年3月写真集「fastplant」発売するも即SOLD。2017年12/4~12/17に個展『PARANOIA SLAPPYS』を行い、同タイトルを冠した写真集を発売。新作photo zine『Don't mind others, your dance is awesome/周りばっかり気にすんな、お前のやり方で大丈夫だから』発売中。

 

 

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