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「2SEE MORE #17」山脇唯×飛永翼さん(ラバーガール)

 終始ククク......と笑いを称えながら、端々にナイーブな面を垣間見せてくださったラバーガールの飛永翼さん。クールでいてときどきファニー、クレバーとキュートが同居する、そんな飛永さんの独特な魅力の源泉がどこにあるのか、少しだけわかったような気がする対談と、PANORAMA FAMILYによる、夜の散歩を切り取った写真たち。(撮影/PANORAMA FAMILY 文・構成/山脇唯)

山脇:いきなりは緊張しますよね、なかなか。

飛永:ちゃんと喋ったことないですもんね、そうですよね。

山脇:私、ラバーガールの単独ライブなどで映像をやっている喜多春仁さんと、京都でヨーロッパ企画にいた頃から知り合いで。で、飛永さんが高円寺で喜多さんとお茶してる時に、たまたま会ったのがファーストコンタクトですよね。

飛永:そうだ。Yonchome Cafeですよね。

山脇:そうです。

飛永:だいたい喜多くんを中心にまわってますもんね。

山脇:喜多さんがいなかったら、私はここにいないですよ、今。

飛永:昔、僕が出たM-ON!の番組のナレーションとか、山脇さんにやってもらったりしたのかなあ、してないかなあ。

山脇:けっこう前に喜多さん関係で『私立恵比寿中学の思い出テスト』をやったんですけど、それかな……?

飛永:やりましたよね。僕がスタジオ収録のクイズで天の声をやって、コーナーのナレーションを山脇さんがやってたんじゃないかな。

山脇:歴史っぽいところにいく、みたいなのナレーションをやってました!

飛永:杏野なつさん。戦国の。

山脇:そうですそうです。本当に、喜多さんありきで。

飛永:ですね。
 

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2人とも攻撃性がないっていうのはそういうことかもしれないですねー。

山脇:静岡のご出身ですよね?

飛永:はい。

山脇:静岡で、お名前が『翼』だと、いろいろ言われたりしませんでした?

飛永:あー(笑)、あのー。ちゃんと確認してないんですけど『キャプテン翼』からとった説もあって。

山脇:えー!

飛永:多分連載が始まったときがそれぐらいで。サッカーもちょっとやってたので、静岡の翼くんといえば、僕だったかもしれないですよね。

山脇:そうですね(笑)。

飛永:でも、静岡はイントネーションが『ツバサ』だったんですよ。

山脇:「翼くん!」じゃなくて?

飛永:ツバサ。ツが強い。お母さんも『ツバサ』って言ってたんで。

山脇:またちょっと違う名前みたいですね。サマンサタバサに近い……

飛永:タバサ。ツバサ。

山脇:サマンサタバサと同じ音程ですね。

飛永:どっちかいうと、ペッペッ、唾、みたいな、そっちのいじりはありましたけど、あんまり翼くんとリンクはしてなかったですね。

 

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山脇:お名字に『飛』が入ってるじゃないですか。字面としてはすごく成立した名前だなっていうのは思ってて。

飛永:3人目だったので、親も遊びだしたんじゃないですかね。

山脇:飛ぶ方に寄せて。

飛永:一番上はお母さんの一字をもらってるんですけど、2人目のお姉ちゃんが、ひらがなで『あすか』なんですね。漢字で書こうと思ったら『飛鳥』だから、その時点ちょっとでふざけてんじゃないかなって思ってるんですけど。

山脇:3人目ってことは、お兄さんお姉さん飛永さんですか?

飛永:お姉さんお姉さん、です。

山脇:あれ? 相方の大水さんも、そうですか?

飛永:大水さんも、お姉さんお姉さんですね。

山脇:コンビ2人ともそうなんですね。独特ですね。

飛永:なんですかね。お姉さんお姉さん姉弟の方が、ちょっとマイルドな感じがしますよね。

山脇:そうですね。そんなに頑張って前に出ていかなくても注目される環境もあるし。

飛永:可愛がられるしね。

山脇:攻撃性が弱まって大人になってる感じが、あります。「ぐわ!」って取りにいかないイメージ。

飛永:そうそう。だから、うちら2人とも攻撃性がないっていうのはそういうことかもしれないですねー。

山脇:でも、そこがいいんじゃないですか?

飛永:どうなんですかね(笑)。いよいよちょっと、ガツガツしたのは諦め始めたのはあるんですけど。
 

自分のこと喋るの得意じゃないですよね」って。

山脇:ガツガツしなきゃって思ってたことありますか?

飛永:最初のころは多分あったんですけど……やっぱ、ひな壇とかいったら「やんなきゃいけないのかなー」ってのはあるんですけど……どうやってもできないんですよね。

山脇:その性質を持ってないと、なかなかできないですよね。

飛永:そうですよねえ。なんかもう、オファーの時点で「いやだな」と思って受けない、とかよくあります(笑)。

山脇:でもいいことですよ。長くやっていくなら、得意とする所を頑張ったらいいよ、って芸歴20年の方が言ってました。

飛永:やっぱそうなんですよねー。うんうんうん。

山脇:得手不得手がわかってくるから、若い時は合わないとこでも頑張んなきゃいけないけど、合わないところで無理しても、ねーって。

飛永:僕、今、占いの番組やってて、軽く占ってもらったら「飛永さんは、わりと司会とかは上手です」って言っていただいて。でも「自分のこと喋るの得意じゃないですよね」って。それ合ってるんですけど。

山脇:えっ、はい。

飛永:何かを説明する、何か趣味のことを熱く語る、ってことがまったくできなくて。番組で”趣味のことを喋る”とかあったりするんですけど「苦手だな」って何となく思ってて、で、占いでそう言われちゃったら、完全に「そうだ」って気持ちになっちゃって。

山脇:水瓶座の、A型ですか?

飛永:そうです。それ聞いて、なおさら喋るのが苦手になっちゃったっていうのはありますね。

 

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山脇:でも、お声が、すごくいいですよね。

飛永:ほんとですか?

山脇:はい、あの、ノーブルに喋るなあって印象がすごいあります。

飛永:ノーブル?

山脇:上品、紳士的な感じがします。

飛永:ほんとですか? へえ~。

山脇:あまりそういう語り口の方っていないですよ。

飛永:そうですか。

山脇:(録音の画面を見せて)ほら、この音の波形もすごい安定してます。飛永さんが喋ってるときは、「わあわあ」ってならなくて。

飛永:そうか、これ、「わあっ」ていうひとは大きく揺れますか?

山脇:揺れるひとは、けっこう揺れます。

飛永:あ、そうなんだ。確かに今テンション上げたから波形でちゃったけど……

山脇:飛永さんはわりとツーって淡々としているっていう。

飛永:ほんとうですね。

山脇:編集してても、ゲージが黄色にいかない。「ワッハッハ!」っていったとき、赤にいっちゃう人もいるんですけど。飛永さんはマイク通りもいいし、編集しやすそうな声質ですよ。音声さんが「やめてー」ってならないから、司会に向いてると思います。

飛永:そっか、声のお仕事もされてますもんね。

山脇:飛永さんの声はいいですよ。
 

大水さんが殺人ドラマに2個くらい続けて出たんですよ。

山脇:HKT48の上野遥さん主演「ハルカとタケル」の監督を、ラバーガールで、やってらして。

飛永:やってましたやってました。アルバム「092」が出るので、HKT48全員分映画を撮ろうっていう企画で。

山脇:脚本から、ですか?

飛永:ですね。2人で作ったんですけど、でもやっぱ15分のコントと、15分の映像は違いますよね。

山脇:あー。

飛永:1回提出したら、「もうちょっと感動要素を足した方が」とか「結末は『こうだ』じゃなくて、『どうとでもとれますよ』っていう方がひきがあるんじゃないか」とか、アドバイスもらったりして。「そういうもんなんだー」っていうのはありますね。考える要素を与えるというか、隙を。

山脇:どっちかな、どっちいったのかな、って? 

飛永:「あれはこういうことだったんじゃないか」って議論してもらうみたいな、余白があった方がいいんじゃないかって話があったりとか。へえーって思って。

 

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山脇:なんで監督をやることになったんですか? 

飛永:それは、東映からきた仕事なんですけど。大水さんが、テレ朝の、東映がやってる殺人ドラマに2個くらい続けて出たんですよ。

山脇:殺人ドラマ? 殺人ドラマってジャンルありますっけ?

飛永:人が死ぬドラマ。殺人ドラマ。

山脇:殺人事件が起きるドラマ。

飛永:なんていうんでしたっけ。

山脇:サスペンス?

飛永:サスペンスに2個くらい出たんですよ。

山脇:大水さん、特徴あるから「こいつ、なんかあるんだろ」って思われちゃいません?

飛永:ミスリードを誘いますよね。

山脇:あんな人がなんでもないわけないだろ、って。

飛永:ホストの役をやってて、殺されちゃう人気ナンバーワンホスト役なんですけど、こんな不細工がナンバーワンなわけがない、みたいなところから事件が紐解かれていく……(笑)

山脇:裏帳簿が(笑)。すごいキャスティングですよね。キャスティング会議とかで「この役は……大水さんだ!」ってなったのかなあ。多少、なりそうでもあるじゃないですか、ナンバーワンホストに。

飛永:いやでも、やっぱ、お笑い芸人の中だったらなってもいいけど、イケメン役者とかがいる世界だったら「なんでだろう」ってなるんじゃないですか。

山脇:うーん、確かに「何かがあるんだろうな」って。

飛永:あと、なんだったっけなあ、サイバーテロを暴く警察役みたいなのやってたかな。

山脇:メカに強い刑事。ハイテク刑事。

飛永:そうそうそう、やってましたねえ。

山脇:そこから、映画の話が。

飛永:多分プロデューサーの方が、僕らのこと面白いと思ってくれてるとかだと思うんですけど、それで「やらないか」って話が来て、ですねえ。

山脇:これから、映像をもっと作ってみたいなあ、ってなりましたか?

飛永:人のためにネタ書く、みたいなのはだんだん面白くなってきましたねえ。

 

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だって、やってないし、面白いかわかんないじゃないですか。

飛永:自分は仕事で何してる時が一番好きかなあって考えたんですけど、そしたら、告知をしてるときだな、と思って。

山脇:告知を?

飛永:あの映画出ました、あのCM出ました、とか、あんまり人がやってないっていうか、「おーすごいじゃん」って思われる告知をしてる瞬間が一番楽しいんですよ。twitterとかで。

山脇:へー!

飛永:バラエティはカットされちゃうかもしれないけど、ドラマとか映画って、台詞通りやったら完成が見えてるじゃないですか。だいたい良い感じになってんなっていうのがわかるから、それも含めて「あのドラマ出てます」っていう瞬間が一番好きです。

山脇:そうかー。

飛永:やってるときはあんまりテンション上がらないんですけど。だから情報解禁が一番好きかもしれないですね。

山脇:そうすると逆に、単独ライブの告知とかって、まだやってないものを「やりますよ」っていうじゃないですか。あれは?

飛永:あれはいやですねー。

山脇:なんでですか。

飛永:だって、やってないし、面白いかわかんないじゃないですか。

山脇:まあ。

飛永:舞台系だとよくあるけど、チラシと中身が全然違うときとかあるじゃないですか。あれすごい気持ち悪いんですよね。

山脇:まだ台本ができてない時に、チラシの〆切があって、しょうがなくあらすじかいて……稽古場で「あの人ちょっとアレだから」ってあんまり喋らせないようにしたらこうなった、とかで。

飛永:配役も変わってたりするし、髪型も違ってたりするじゃないですか。

山脇:パンフレットと違ってたり。

飛永:そうそう、だからあんま好きじゃないんですよね。DVDの発売は好きなんですよ。

山脇:できてるものだから。

飛永:そうそうそうなんですよ。

 

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 できあがってるやつがやっぱりいいんですよ。

山脇:前回の単独ライブ『大水が出た!』のDVDを拝見して。

飛永:えっ、ありがとうございます。

山脇:副音声も聴いたんですけど……あんなぬるっと始まる副音声を初めて聞いたなと思って。

飛永:あーほんとですか?

山脇:「今喋っているのは、立ち位置が左の……、ああ、変わりましたね、僕は右の立ち位置にいる……」みたいなことだけずっと言ってて。

飛永:そうですね(笑)。

山脇:なんだろう、こんな副音声あるかな、って。

飛永:あれ、やろうと思ったら1時間全部できますからね。

山脇:「お客さんから見て、左、って意味ですよ。あ、画面変わりました」

飛永:そうそうそう。

山脇:あれ面白かったですね。

飛永:あれでネタ1本くらい喋っちゃってますけど。

山脇:オープニング、ずっとそれ言ってました。

飛永:何回か副音声やってると、やっぱ反省しちゃうっていうのがあるんですよね。「もっと言い方こうだったかな」とか、「もっとウケてもいいのに」っていうことになっちゃうから、ね。もう真面目なのもいっかなーていうのもありますよね。

山脇:お芝居だと「ここはこういう意味があって」とかいってもあれですけど、お笑いだと、照れちゃうみたいのがあるのかな、と思って観てました。

 

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飛永:ご自身の出てるものを観るのは好きですか? 

山脇:若いときは全然観なかったです。「観ないとうまくなんないよ」って先輩から言われて「へえー」ってなってましたけど。あんまり反省したくない……しなきゃいけないんですけど、アラしか見えないときありますから。

飛永:ありますよねー。できあがってるやつがやっぱりいいんですよ。

山脇:誰かの手でね。

飛永:『エンタの神様』はバンバン編集入るんですよ。だから自分のネタであって自分のネタじゃない感じがするんですね。『エンタの神様』という番組の中での僕ら、みたいな感じがするから、ちょっと客観的に観られるというか。

山脇:編集で、間が詰まるとかがあるってことですか?

飛永:あります、あります。

山脇:エピソード、ブロック一個抜けてるなあ、とか?

飛永:あるし、オチじゃない、その前で終わってたりもしますし。言っていいかわからないですけど、台詞が逆になってたりとかもするんですよ。

山脇:えー? 編集で?

飛永:「はじめまして」「こんにちは」が、オンエアで「こんにちは」「はじめまして」になってるみたいな。

山脇:それができるスタッフさんがすごいですよね。

飛永:そうなんですよ。

山脇:そんなの編集するのって大変だから、普通やりたくないじゃないですか、できれば。

飛永:その方が気持ちがいい、みたいなことなんですかねえ。

山脇:それは「こうなってもいいですか?」とか一切聞かれなくて、そうなるんですか? 「違うよー、あそこ大事なのに」とかは、ない……?

飛永:出始めの頃は、ちょっと思ってましたけど、だんだん「そういうもんかなあ」っていう。番組のなかで面白い感じにしていただければ、っていう感じになりましたね~。だから、ネタも自分たちのものであって、自分たちのものじゃないというか。

 

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僕ら、やっぱ野球でいうと「7番バッターお願いします」みたいな。

飛永:面白いネタとウケるネタは違う、みたいなとこはないですか? 自分が面白いものが、みんなにウケるものかっていったら、ちょっと違うというか。

山脇:求められるものと、やりたいものはときどき違くて、それでみんな悩む、苦しむんですよね。ヨーロッパ企画でも、私がいた時は「伏線とかもういいや」ってやりたいようにやると「あれ?」って言われて。「ちょっと今は恥ずかしいかも」と思いながらシチュエーションコメディやると「待ってました!」みたいなことはありました。

飛永:舞台だとなおさらありますよね。ネタもそうなんですよ。作ってて、面白いっていうよりは、「お客さんが観る僕らってこうだよね」みたいのに寄せないといけない部分もあったり。

山脇:どう観られてますか?

飛永:淡々とした、敬語の、お客さんと店員のコント、みたいな。ああいう、温度が低いのがラバーガール、と思っている人が多いので、ちょっと元気なのをやると「これじゃない」みたいなのは結構あります。

山脇:前回の『大水が出た!』でいうと、ハワイに行くネタは元気な方ですか?

飛永:あれは求められてない。テレビじゃできない。すごい人気者になればできるんですけど(笑)、僕ら、やっぱ野球でいうと「7番バッターお願いします」みたいな。

山脇:それずっと副音声で言ってましたね。

飛永:ほんとですか?

山脇:「このネタは7番バッターのネタです」とかいってましたよ。

飛永:僕らに求められてるもの、っていうのは、ポジション的にそういう感じになってきちゃってるというか。でもまあ、芸人さんはみんなそうですよね。

山脇:そう、っていうのは?

飛永:求められてるものをやる、みたいな。

山脇:あー、そっか。

飛永:うーん。くくく……(笑)

山脇:えっ、なんで笑ったんですか?

飛永:こんなこと喋っていいのかなあ、こういう話でいいのかなあ、って。

山脇:あのー、そうですねえ。この企画が、わりとパーソナルなことを聞きたいな、っていうものなんですけど、しょっぱなで「自分のことを話すの全然好きじゃなくなってきた」っておっしゃったから、いつそれを聞けばいいのかな~、って。

飛永:そうなんだ、じゃあ……頑張る。はい。

 

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山脇:今日、色々調べていたんですけど、2008年頃にネイキッドロフトでザ・ギースの2人とトークライブをしてた当時の、ネイキッドのブログが出てきて。写真を見たら、なんかすごい皆さん若者だったなーって感じがしまして……10年前は、若かったですね。って当たり前ですけど。

飛永:さすがに、10年前はお互いに若いですよね、やっぱね。

山脇:いま、飛永さんは……喜多さんと同い年ですよね。

飛永:35歳の年ですね。

山脇:ってことは10年前、25歳ですもんね。

飛永:若いですね、そう考えると。

山脇:若かったですよ、すごく。若い!って感じがしました、みんな。ポーズも表情も、髪型とかも。すごく「若手! 俺たちは若手!」って感じで写真撮ってましたよ。

飛永:20代と30代は大きく違うかもしれませんね~。まだ元気な方向もあったんですかね。

山脇:元気そうでした、あの頃、みんな。

飛永:元気そうでした?

山脇:ギース高佐さんが、私は一番ビックリしました。

飛永:元気でした?

山脇:元気そうでした。あと、かっこよさそうだった。

飛永:あー、あー、かっこいいかも。

山脇:かっこいいって感じでいってたのかな、っていう、表情とかは。

飛永:そうですね、まだ、そんな変な人ってバレる前ですよね。

 

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だって、バレーボール飛んでこない、ですよね?

山脇:飛永さんもね、写真によっては眼鏡かけてないのもあって。

飛永:でも僕、ちゃんとかけ始めたの、ここ5年くらいだと思うんで。

山脇:じゃあ本当に30歳になってから、ですよね。それは心境の変化ですか?

飛永:元々、目が悪いんですけど、単独ライブの演出に細川徹さんが入ったときに「眼鏡かけたほうがいいよ」って言われて。まあ、キャラクター的なことだと思うんですけど、それから、ですね。

山脇:何か、こだわりありますか?

飛永:めがね? 壊れちゃうから……。

山脇:え?

飛永:すぐ壊すか、なくすから。

山脇:あら無頓着。

飛永:けっこうひどいです。

山脇:じゃああんまり高い値段のは、あれですもんねえ。

飛永:だから量産型になっちゃいますねー。4万くらいのやつもプロレスごっこみたいのしてたら割れちゃったりとか。

山脇:はい。え、プロレスごっこするんですか。

飛永:当時、柔術って格闘技やってたんで、けっこう楽屋でやろうよ、みたいになるんですよ。「ちょっと戦おうよ」って言われたり、自分でも言ったりするんで、転がったときに割れちゃったりして。奥さんから誕生日にもらったいい眼鏡を、ガッポリ建設の人に割られたんですけど……

山脇:え、言っていいんですか?

飛永:「弁償するよ」って言われて「いや、いいですよ」って言ったものの、いまだに「してもらえばよかったな」って。

山脇:遺恨が残るから……

飛永:結局忘れもしないから(笑)。いまだに言うってことはよっぽどやだったんでしょうね。

山脇:そうですねえ。

飛永:柄がパキって、もう替えがききません、って。

山脇:修理じゃ追いつかないくらいに……。

 

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飛永:あと、去年の正月かな? フジテレビの生放送で平均台渡ってたら横からバレーボールが飛んできて粉に落ちる、っていう仕事があって。それで割れちゃったりとか。

山脇:えー……でも、眼鏡ってそんな割れます?

飛永:そうなんですよ、けっこう破損するんですよ。

山脇:わたし、そんな割れないですよ全然。

飛永:それは……だって、バレーボール飛んでこない、ですよね?

山脇:ああ、そうか、それやってないから。

飛永:そうなんですよ。ちゃんとしたのを大人だからかけなきゃとは思うんですけど、なかなか。

山脇:割れる可能性があると思ったら外さないんですか? 外すと見えない?

飛永:けっこう見えなくなっちゃいましたねー。

山脇:わりと度が強い、ですか?

飛永:ちょっと乱視入ってるんですけど。

山脇:あー。

飛永:テレビ出る時は、まだ認知されてないから「眼鏡の人ですよ」みたいのがありますよね。

山脇:外すとまた、面立ちが違って見えますもんね。目が、わりと鋭いのが、眼鏡でマイルドになってる感じはあって。

飛永:あ、そうですね、多分そういう意味もあるんでしょうね。眼鏡をかけたら、お手紙で似顔絵を描かれるようになった気がします。

山脇:描きやすくなったんだ。

飛永:そうそう、相方もおかっぱにしてから、描きやすくなったし、仕事もちょっと増えたりして。

山脇:確かに、10年前のネイキッドの頃は、違う髪型でした。シャギーみたいなの入った……

飛永:性的な感じですよね(笑)?

山脇:はい(笑)。10年前はみんな、男の人っぽかったです。

飛永:そうですねー、モテようみたいな感じありますよね。

山脇:皆さん、今は、生き物って感じで、今の皆さんからは、それはあんまり感じない。

飛永:やっぱり人の親になったり……

山脇:2016年にお父様になって。

飛永:はい。

山脇:余談ですが、写真家のPANORAMA FAMILYも、もうすぐお父さんに。

(PANORAMA FAMILY:再来週くらいに……)

飛永:えーじゃあ、もう今、なんともいえない感じ……

(PANORAMA FAMILY:はい。なんともいえない……)

飛永:生活、結構変わりますからねー。立ち会いますか?

(PANORAMA FAMILY:立ち会えれば立ち会いたいですね。)

 

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ルール上、人狼かどうかも隠さないといけないし、子どものことも隠さないといけないし。

飛永:僕はぎりぎりまで立ち会ってたんですけど。予定日より遅れて、破水した、みたいになったから、これは陣痛促進剤をいれて明日産みましょう、みたいになって、午前中に薬をいれて、夕方に産まれるように調整します、ってやってて。

山脇:はい。

飛永:僕その日、大阪NGKで出番があったんですね。『滑狼』っていう大喜利イベントがあって。なので、お昼14時くらいまで奥さんの腰をさすったりとかしてたんですけど、「あ、ちょっと、大阪いくね」って奥さんを置いて、大阪にいって。そしたら、出番の15分くらい前に 奥さんのお母さんからメールがあって「産まれたよ」って、子供の写真が送られてきたんですけど、嬉しいのと、顔見てもあんまり実感がないのでふわふわしちゃって。でも、ライブで「産まれました!」って言うのも変じゃないですか。大喜利のイベントで。

山脇:まあ、そうですね、そういう……アットホームなイメージがあんまりないから、お客さんもびっくりするかも。

飛永:そうですし、大阪ですし。誰も求めてないじゃないですか(笑)。

山脇:ははは。

飛永:『誰が偽の答えを出してるか』っていう大喜利のイベントで、自分は面白い答えを書かないといけないんですけど、そのルール上、自分が人狼かどうかも隠さないといけないし、子どものことも隠さないといけないし。色々考えちゃって、全然大喜利がうまくいかなくて。せっかく大阪で、あんまり観られないお客さんだったんですけど、すごいがっかりさせちゃったなあ、って感じで。そうなんですよ。

 

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風景の何とも言えないTシャツとかは、みんなどうやって選んでるんだろう? っていうのが不思議なんです

山脇:あの、お洋服ってどちらで買われてますか?

飛永:お洋服ですか? どこで買ってるかなー。

山脇:でもお洋服、好きですよね? まったく無頓着ですって感じではないですよね。

飛永:うーん、ちゃんとしなきゃ、っていうのはあるんですけど。なので最近は、お店とかわかんないので、スタイリストの人に連絡して。

山脇:え!

飛永:あ、コーディネートはしてもらわないです。なんかいいファミリーセールはないですかって聞いて。

山脇:ええー! すっごいいいですね。初めての感じの回答。

飛永:ほんとですか? 聞いたら「今これをやってるよ」って教えてもらえるので、それに行ったら、けっこう安い……7割引ぐらいであるので。だから、よくわかんないけど、ちょっといいものが買えたり、するじゃないですか。そういうのでなんとか買ったり、安いお店を教えてもらったり。あんま高いものっていうよりは……

山脇:安いもので賢く。

飛永:安いものでいいから、って感じですよね……

山脇:こういうのが好きだよ、とかありますか?

飛永:昔、20代前半は、音楽好きだったのでバンドのTシャツをずっと着てて。そこから、アイドルが好きになったんで、アイドルTシャツばっかり着てたんですね。それにジャケットとか。で、今はNBAが好きなので、NBAのTシャツをアメリカのサイトで買って着たりとか。

PANORAMA FAMILY:今日の、帽子もそうですよね。)

飛永:あ、そうですね。だから……服屋のTシャツって一番わかんないなーって思って。

山脇:好きになる要素っていうか、何を決め手にして求めたらいいのかが。

飛永:わかんないから。自分はこれ着てる、って意志がないとちょっと気持ちが悪くて。チェックのシャツとかだったらわかるんですけど。

山脇:Tシャツ、となると。

飛永:デザインTシャツって一番意味がわかんなくて。カート・コバーン、とかだったらわかるんですけど、風景の何とも言えないTシャツとかは、みんなどうやって選んでるんだろう? っていうのが不思議なんですけど。

山脇:海が好きとかヤシの木が好きとか……?

飛永:よくわかんない英語のTシャツとか、ちょっと怖くて着れない。

山脇:ああ! そのメッセージを持ってないのに身に纏えないですよね。

飛永:それが嫌だから、意味あるものを着てるんですけど。最近はバスケットボールのものが多いです。

 

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午前中からこんなスーパープレイが観られるって最高だな!

山脇:バスケットボールはもともとお好きなんですか?

飛永:急にNBAブームがきて。

山脇:急に、っていうのはなんでですか?

飛永:シティボーイズのライブをWOWOWで一挙放送やるってなってたんで契約して、全部録画して。そしたらその月、WOWOW見放題じゃないですか。午前中、なんとなくバスケつけてたらめちゃくちゃ面白くて。午前中からこんなスーパープレイが観られるって最高だな! って。外国のスポーツって時間が逆じゃないですか。それ、すごいいいですよね。

山脇:そう、ですか?

飛永:午前中にスーパープレイが観られるって……最高だなー! と思って。

山脇:お子様もいるから、朝が早い生活になってたりするんですね、きっと。

飛永:それはありますね、朝8時に起きて、子ども保育園送って、帰ってバスケ観て。最高だなー! って。

山脇:はい。

飛永:あれも好きなんです。アメフトのスーパーボウルっていう、年に一回のお祭りみたいなのも、午前中からレディガガが、ハーフタイムショーとかをやってるじゃないですか。

山脇:ああ、はい!

飛永:それは、奥さんと子供と観てたのかな。「午前中から、こんなスーパープレイとレディガガのショー、それを家族で観るって最高だなあ」って言ったら、奥さんに「仕事いけよ」って言われて……まあ、そりゃそうかあ、と思いながら。それがすごく好きなんですよ。

山脇:(笑)わかりました。

飛永:わかります?

山脇:その、午前中から、っていうのにすごく重きを置いてるっていうのが伝わってきて。

飛永:例えば、夜に、日本代表のサッカーの試合とか観るのも好きですけど、みんな観てたりするじゃないですか。ゴールの瞬間にtwitterでみんな「ゴール!」って言ってみたり、するじゃないですか。そうすると、ちょっとひいちゃうんですよね。俺はこの人たちより温度が低い、と思うとひいちゃうし……ラピュタやってると「バルス」とか。

山脇:みんな言いますね。

飛永:たまにボケて違うこと言う人いたりするじゃないですか。そういうの見ると「すべってんな~」も含め、ドヨーンとしてきちゃう。

山脇:はー。

飛永:みんなと行動するとかがあんまり得意じゃないので。「みんな知らないだろうけど、午前中にこんなスーパープレイ、スーパースターが観られるって、すごいぞ!」ていうのが好きなんですよ……そういうのを言いたい、みたいな。

山脇:手垢のついていない、自分の宝物みたいな感じの時間が、好き?

飛永:そうそうそう、好き、ですねー。

 

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山脇:アイドルの現場とかはどうですか? 現場に行くと人がいっぱいいますけど……。

飛永:なんか……いろんな現場にいってたんですけど、そしたら「どこにでもいるなあ」とか「今度はこっちきたよ」とか、僕をよく思わない人たちが現れ始めたんですね。

山脇:えー! そんな!

飛永:最初の頃は「あ、飛永さんも一緒に楽しんでくれるんだ」みたいな人たちが多かった感じがするんですよ。テレビの人たちが来ていないなか、芸人さんが来てくれたんだ、って喜んでくれてる空気感があったんですけど、アイドルの人気が上がったり、それがカルチャーになった瞬間に「飛永きたよ」「twitterでからんでるよ」とか……よく思わない人たちが現れて。

山脇:ええ、こわいなあ。

飛永:twitterのエゴサーチしたら、やっぱそういうのもありますし、うん。なんか、いやんなっちゃってきた……

山脇:えええ、そうか……

飛永:前は、応援するつもりで、いろいろ発信したりとか、足を運んだりしてたんですけど、メンタル的にあんまり良くないなと思ったんで、家でこっそり応援する感じにはなってきましたね。

 

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自分はまだ「気持ち悪い」って言われると傷ついちゃうんですね。

山脇:私、新年会のイベントをロフトでやらせてもらって、lyrical schoolのminanちゃんやrisanoちゃんが出てくれて。今は、あたたかい感じですけど、いつか、そうなるんですかね……?

飛永:女性は大丈夫ですよ。人によりますけど、大丈夫です。せきしろさんを中心とするファミリー感があるじゃないですか。lyrical schoolもファミリーの一員みたいな空気があるので、大丈夫です。

山脇:「ビジネス好きでしょ」って思われたら嫌だな悲しいな、と思いながらマルイに行ったりして。

飛永:大丈夫だと思いますよ。僕はlyrical school好きですけど、やっぱ、せきしろさん、A先生、その界隈の子たち、ってイメージがあるので。自分はその輪にあんまり入ってないじゃないですか。だから、なんて言えばいいんだろう、lyrical schoolは好きだけど、リリスクはこのファミリーのメンバーで、自分はそのメンバーじゃない……それでちょっと卑屈になるっていうのはあります。

山脇:ええ。

飛永:お笑いとしても、そのファミリーに参加できてない。でも、俺が参加してたら「あいつはアイドル好きだから喜んでるんじゃないか」って思ってる人がいるんじゃないか、とか、自分の本気が出せないだろうなってのもわかるし。そういうのもあって、あんまり共演しない方がいいだろうな、距離とらなきゃ、っていうのはあります。

山脇:好きすぎたら、振る舞いがわかんなくなりますよね。いいねいいね! って太鼓を叩くだけでいいのか? とか。

飛永:そうなんです。そうそう。「気持ち悪いなあ」っていうのが似合う人もいるじゃないですか。山里さんはじめ、野田さんもそうですけど。自分はまだ「気持ち悪い」って言われると傷ついちゃうんですね。

山脇:そうなんですね。

飛永:なので、あんまりからまないほうが、お互いにとって、みんなにとって、幸せなんじゃないか、って思ってます。

山脇:好きだから、大事に応援していくよって感じで。

飛永:そうですねー。

 

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じゃ、僕の中にもKENがいて。

山脇:音楽は何がお好きですか?

飛永:なんだろう、最近、聴かなくなっちゃったかもしれないですねー。

山脇:なんでですか? それは、NBAがあるから?

飛永:NBAがあるからもありますねー……。なんか、バンド聴いてて、アイドル好きになったら、バンドのメッセージ性みたいなのが重たいな、とか思ったんですよ。ライブ行ったら、ちょっとがちゃがちゃしてんなーとか思ったりして。

山脇:音が大きいな、とか。

飛永:でも、アイドルずっと見てて、バンド見たら迫力あってかっこいいな、みたいな感じじゃないですか……その……すごい、なんか……色んな人に失礼だな……。

山脇:飛永さん、なんでも一旦ちょっと嫌んなっちゃう時がくるんですね。

飛永:くるんですよ。

山脇:すごい、その部分は全然大人にならないんですね。

飛永:結構ね、何やっても、人間関係とか、そのカルチャーに対する自分の立ち位置みたいなところで、ダウナーに落ちて、だいたい終わっていくんですよ。

山脇:自分で、俺にはこの過去があるからそうなのかな、ってありますか? そんなこと聞いてすみません……とも思うんですけど、何か、あれば。

飛永:うーん……そもそもは、舞台に出て……1ヵ月とか稽古して、2週間本番やるじゃないですか。

山脇:はい。

飛永:で、打ち上げってなったときに、みんな本当に、達成感に満ちあふれて、楽しそうな空気じゃないですか。僕、お酒が飲めないってのもあるんですけど「もっとこうできたんじゃないか」っていう反省に入っちゃって。打ち上げの席で、もう本当に誰とも喋らない……本当の鬱状態になっちゃって。それを経験してから、自分の鬱の部分に気づいたというか、スイッチが入りやすくなっちゃったんですよ。だから、なるべく避けないとな、って。

山脇:トリガーみたいのが近くなったら、早めに撤退して。

飛永:回避して。そうなんですよ。結構あるんですよ。

 

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山脇:でも、元DA PUMPのKENは、飛永さんみたいな人がきっと好きですよ。

飛永:そうなんですか。

山脇:KENは、DA PUMP時代に、失敗したダンサーが打ち上げの席で「イェー!」って言ってると「お前は今日、そういうダンスした?」って耳元で言って、去る、っていうのを昔、聞いて。

飛永:いい、いいですねえ。

山脇:それ聞いてから……私のなかにもいるんですよ、KENが。打ち上げで、「お前、はしゃげるような芝居したのか?」って。

飛永:自分の中のKENが。それいいですね、じゃ、僕の中にもKENがいて。

山脇:「やりきったっていえるの?」って。

飛永:言ってたんですね。

 

俺は何やってんだって気持ちで、なおさら落ち込んで。

飛永:舞台に出た時に、千秋楽の一日前に演出の細川徹さんとプロレスごっこしてたら、パキ!ってなって。千秋楽の朝に「手の小指の骨が折れた」って聞いて。「気にしないで」って言われたんですけど、すごい罪悪感があって。本番もそれが気になっちゃって、全然うまくできなくて。もう10何日ちゃんとできてたのに、立ち位置も本当は上手にいないといけないのに、下手にいっちゃったりとかして。

山脇:あら。

飛永:本番中に、楽屋に帰って休める時間があって、戻ったら、荒川良々さんに「あれ下手じゃなくて上手だろ!」って怒られて。

山脇:千秋楽だったら、怒らなくてもいいのに……。次がないから、もう直せないじゃないですか。

飛永:まあまあ、そうですけど、真面目な方で、「ちゃんとやれ!」みたいに言われて、余計に落ち込んで。

山脇:立派な人ですね。荒川さんの中にもKENがいたのかな。

飛永:それで、千秋楽は、スタッフさんも打ち上げに参加するから「3時間後に打ち上げです」みたいな感じじゃないですか。ほんとに行きたくないなって思って。そしたら荒川さんが「この3時間の間に、スチャダラパーの野音があるからみんなで行こうよ」「いや僕いきたくないです」って言ったんですけど「いいよ楽しいから行こうよ」。で、僕スチャダラ好きなんですけど、やっぱ行っても全然楽しめなくて。僕はこんな気持ちなのに、まわりはこんなすごい、にぎやかに「イエー!」ってやってるし、俺は何やってんだって気持ちで、なおさら落ち込んで。そこから打ち上げいっても楽しくないし。そうなんです。結構そのスイッチは入りがちですね……

山脇:すっごいナイーブなんですね、繊細……

飛永:そうですね……。

山脇:でも、その繊細さが保たれて、大きくなれてるのは、いいことじゃないですか?

飛永:大きくなれてます?

山脇:その繊細さを投げうって、というか、そういう自分を見ないふりして、そこに蓋をして「イエー!」ってすることで、何かが削がれていく、失われていく人もいるじゃないですか。「イエー!」にコミットしすぎて、つまんなくなっていく人も。だから、その部分が残ってるっていうのは、いいことじゃないですか?

飛永:いや結構、迷惑かけますけどねえ。

山脇:そうなんですか。

飛永:オーディションのディレクターが高圧的だったから、途中で帰って、そこから心臓痛くなっちゃって、病院で薬もらって、とか、結構ありますね。

山脇:そういうことってメモしたり、何か書き残したりしてますか?

飛永:何をですか?

山脇:自分に起きた、ナイーブなできごとを。

飛永:してないです。書いた方がいいんですか?

山脇:書いて、客観的にみて落ちつくっていう意味もあるし。

飛永:ありますかねえ。

山脇:あとは、後々、本になるから。ナイーブだったできごとは。

飛永:そっかー。なればいいけどなあー。

 

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飛永:めちゃイケのネット番組の打ち合わせに行った時も、自分がうまく表現できなくて、打ち合わせの最中に落ち込んじゃって。「メジャーなテレビで活躍している人たちは、このプレッシャーを乗り越えてやってたんだ」っていうのに気づいて「自分は才能ないんだ」って思って……それが一番落ちたかもしれないですね。

山脇:はああ。

飛永:だからそういうのもあって、テレビ、ゴールデンの番組……メジャーなものから気持ちが離れてるのかもしれないです。

山脇:この企画で前に佐久間一行さんとお話したんですけど、佐久間さんも「自分はR-1に優勝して、優勝って感じで色々求められたりしたけど、R-1優勝しただけで、ロケ1優勝してないし、バラエティ1は優勝してないですよって思った」って。

飛永:自分はネタで、みたいなね。

山脇:色々できなきゃいけないなーって思ってた時もあるけど、やっぱりネタだ、って。

飛永:すごい共感できる。でも、佐久間さんのライブに出たら、佐久間さん、歌うじゃないですか。

山脇:歌いますね。

飛永:ライブで、僕らも佐久間さんの歌に合わせて一緒に歌うっていうのがあったんですけど……

山脇:エンディングで、みんなで歌うやつですよね、あの。

飛永:元気、元気、みたいな歌。あれが恥ずかしすぎて、全然うまくできなくて。佐久間さん、仲間だと思ってたのに、違う世界の人だったんだっていうのが、ちょっとショックだったんです。

山脇:焼肉屋さんで「網替えて」とか言えないけど、歌は歌える佐久間さん。

飛永:違うんですよね。あのスイッチはわかんないですね。僕は恥ずかしくて歌えないですよ。

 

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恥ずかしさが勝つようになってきちゃって、できないんですよ。

山脇:でも、ラップやってましたよね、『大水が出た!』でラップバトル。あれすごく上手でしたよ。

飛永:コントだったら、フリだと思ってやれる、みたいな。

山脇:「この人最悪だよ」みたいな若者の言い方がすごい上手だった。「ここ居酒屋じゃないっすよ」の言い方が。

飛永:えー初めて言われました。そんなとこ観てるんですねー。

山脇:あそこ、すごい秀逸ですよ。あのラッパーの役名、なんでしたっけ。

飛永:T-WINGです。T-Pablowからいただいた。

山脇:T-WING、すごいいいなと思って。声質がコントによって使い分けされてるのがすごいな、と思って観てました。後輩の発声、店員の発声、T-WING の発声が全部違うな、すごいなって。

飛永:よく気づいていただいて。

山脇:すごいですよ。

飛永:自分を主張したいというよりは、相方が面白いことをやるのに対して、バランス的にどうか、っていうとこはあるかもしれないです。

山脇:相手に合わせて、ベストなのはどれか、っていうので声が決まる、みたいな。

飛永:そうです。ドラマとかそういうのをやる時の「この役だったらこのトーンがいいな」ていう、それに近いかもしれないです。

山脇:それだと、やっぱり飛び道具的な役回り、自分の個が前に出るような役は好きじゃなかったりしますか? 歌う、っていうのも個が出るじゃないですか。

飛永:あー。

山脇:自分の話になりますけど、『すいているのに相席』とか、芸人さんとコントに出るとき、レシーバーの気持ちでいつもいて。アタックを打つのはあの方達、という気持ちがあるんですよ。自分は打つ人間じゃない。

飛永:ああ、わかる。

山脇:守りで貢献するので、打つ人は打つ人です、って。

飛永:すごいわかります。ツッコミでも、もう一言、喩えをいれる、とかあるじゃないですか。あれができなくなっちゃったんですよね。あれって、自己主張じゃないですか。

山脇:いい喩えを思いついてるぞ! という?

飛永:喩えを言ったり、言い方とか、オリジナリティをみんな出すじゃないですか。ああいうのが、ちょっとね、できなくなっちゃって。プロだから、それがほしいんですけどね、ちょっと恥ずかしさが勝つようになってきちゃって、できないんですよ。

山脇:そんな恥ずかしさを抱えて、次の単独ライブはどんな感じになりそうですか?

飛永:今はネタを作ってても、ボケがいっぱい喋って、僕が「なんでですか」とか、オリジナリティ出さなくてもいいツッコミになってるので、それをもうちょっとね、自己主張できるようにはしたいですね。

山脇:『大水が出た!』の中で、あれはすごい好きでした。店員さんを呼んでる人の懐に入って「僕じゃダメですか」っていう。

飛永:あれはもう、最初の、そのボケが思いついた時点で完成です。でも、ボケあってのひとこと、言うだけだから、それは僕のオリジナリティじゃないです。

山脇:副音声で論争してましたね。どっちのおかげで笑いが起きてるのか、みたいな。

飛永:そうですね、お互いにゆずらない。

山脇:2人でネタを作られるんですよね。大変ですか? 

飛永:大変ですね~。

山脇:ですよね。無から有を生み出すわけだから……そりゃ大変ですよね……。

 

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架空の演出家を1人立てれば、もっと自由になるんじゃないか。

飛永:2人で考えるから、自分が面白いと思っても、相手が面白いと思わないと採用にならないんですよ。だからすごい時間かかりますね。お互いボケを考えるんですけど、「なんでこのボケの面白さが伝わらないんだよ」っていう、その戦いが結構ありますね。

山脇:コンビを組んで、何年になるんですか?

飛永:16年ですね。

山脇:だいぶ一緒にいて、ずっと仲良い感じですよね。

飛永:仲良いっていうのもまたあれですけど……やっぱりネタ作りはしんどいですね。もう、どっちのボケが面白いかっていうよりも、だんだん「自分の意見を通したい」になってきちゃうから。それをどう処理するか、スピードアップをどうするか、ですね。だいたい「両方やめよう」になりますね。

山脇:演出の方は入るんですか?

飛永:今回は、演出は入らないです、多分。うん。誰か暇な人いたら……芸人解散しちゃった、みたいな人とか、暇そうな人がいたら、お喋り相手に入ってもらってもいいかなあ、くらいですね。

山脇:誰かいると違ったりしますもんね。

飛永:架空で誰か作ろうかって話もあったんですよ。

山脇:えー。

飛永:2人だけだともめるから、架空の演出家を1人立てれば、この人が決めた、っていうテイで、もっと自由になるんじゃないかって。そういう案は出ました。

山脇:それは結局、どうなるんですか?

飛永:その人が言うから「じゃあこれでいこう」って。普段はやらないけど、その人がGOって言うから、今回はこれをGOしてみようか、みたいな。

山脇:GOにする勇気を、その人からもらうってことですね、

飛永:そうです。そうしよう、って、その人をいるってことにして、twitterのアカウントを始めようかとも思ったんですけど。

山脇:その人の好みだと「こっちだな!」と。

飛永:そういう人をおいて、判断を早くしたいなっていう……

山脇:2人だと1対1しかないですもんね。3人だと2−1で決まるから。

飛永:だんだん年を取ってくるとね、アイディアって出ないですからね。スピードで数を増やさないと。その作業です。頑張ります。

山脇:座・高円寺2で、4月の9日から11日までの3日間。楽しみにしています。じゃあ、これから写真を撮るんですけど、写真、あんまりお好きじゃない……ですよね?

飛永:あのー……あんまり好きじゃないです(笑)。

山脇:ああ、頑張ってください。

飛永:はい。よろしくお願いします。頑張ります。

 

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飛永翼(ラバーガール)

1983年2月13日生まれ。静岡県出身。プロダクション人力舎所属。A型。水瓶座。スクールJCAで出会った大水洋介と2001年にお笑いコンビ、ラバーガールを結成。2010年、2014年キングオブコントのファイナリスト。アイドルに造詣が深い。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」金曜日、「モンダミンCM、ポンキッキーズ、ぐでたまザムービーショーなど、活躍は多岐に渡る。2017年、HKT48 1stアルバム「092」TYPE C・上野遥主演「ハルカとタケル」の監督を務める。ラバーガール単独ライブ『シャンシャン』は座・高円寺2にて、2018年4月9日より11日まで行われる。
 

山脇唯
1981年8月3日生まれ。俳優。ヨーロッパ企画退団後はフリーとして舞台を中心に活動。2013年より「すいているのに相席」に参加、“ユーモア女優“の称号をバッファロー吾郎A、せきしろ両氏より賜る。声の出演にNHK Eテレ「デザインあ」、NTTdocomo、Tokyo FM他ラジオCM等多数。ポンポコパーティクラブ代表。2018年1月29日に座・高円寺2で行われた『アイアム映画祭』にて清水崇賞を受賞。4月に20歳の国『青春超特急』に出演する。
 
PANORAMA FAMILY
2006年頃結成。2009年1月、3MCから1MCへ。以降はゴメス1人のユニットとなる。 渋谷Organ.b第1火曜日mixx beautyを中心に、年間60本ペースで精力的にライブを行う。remix、客演、ビールケースの上から幕張メッセ(countdown japan fes 3年連続出演)まで、大中小規模なイベントに参戦する他、トラック、楽曲提供など活動は多岐に渡る。レぺゼン宮城県女川町スタイル。2014年から写真家として活動。SLIDELUCK TOKYOの第一回ファイナリストに選出される。雑誌STUDIO VOICEでとりあげられる。2016年3月写真集「fastplant」発売するも即SOLD。
2017年12/4~12/17に個展『PARANOIA SLAPPYS』を行い、同タイトルを冠した写真集を発売。
 

 

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