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「2SEE MORE #11」山脇唯×お~い!久馬(ザ・プラン9)

 お~い!久馬さんをゲストに迎えた第11回。8周年を迎えたイベント『月刊コント』や今年スタートした『世にも奇妙なコント』について、そして久馬さんご本人について、お話を伺いました。コントの大先輩と10年越しの対談です。(撮影/PANORAMA FAMILY 文・構成/山脇唯)

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なんか、めっちゃ暑かったの覚えてる。

 

久馬:お願いします。

山脇:緊張していて、すごく。

久馬:え、なんでなん?(笑)

山脇:過去11回のなかで一番緊張してます……私すごいオドオドしちゃって。

久馬:ははは(笑)

PANORAMA FAMILY:本当にいつもと全然雰囲気が違う。ちょっと伝染しちゃった。)

久馬:だって、(バッファロー吾郎の)木村さんとも対談やったんでしょう? そんな、大先輩と。

山脇:はい。

久馬:緊張せんかった? 木村さんは。

山脇:木村さんは、第1回目だったし、粗相があっちゃいけないなっていうので緊張はあったんですけど……今日はなぜか特に。えー、お呼びできてよかったです。

久馬:ありがたいっすよ、こうやって声かけてくれて。

山脇:ていうのも……(メモを出す)資料を作ってきたくらい緊張してるんですけど。

久馬:いつもはないの? そういうの。

山脇:いつもこんなの全然作らないです。

久馬:そうなんや(笑)。はい。

山脇:思い返したら、初めてご一緒したのが……覚えてますか? 『ヨーロッパ企画のロケコメ!2』っていうテレビ番組で……

久馬:ABCの。あれが初めて?

山脇:公式の記録に残ってる、ヨーロッパ企画とザ・プラン9さんがしっかり一緒に何かやったのは初めてです、多分。

久馬:なんか、めっちゃ暑かったの覚えてる。

山脇:京都ロケでコメディを撮る、っていう番組で。夏に公園で、遊具をつかって。

久馬:やってた。なんか、即興でね。あれ、どういう設定やったっけなあ……。

山脇:私、ギャルみたいな感じの役で。

久馬:あー、あった、あった。

山脇:「なにやってんの~」(語尾上がり)って。

久馬:まったく何をやったかは記憶がないけど(笑)。

山脇:その場でコメディをつくる……その場のロケーションを利用して。

久馬:芝居かコントか、みたいなのを作っていく。そういうのやりましたねえ。

 

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 全然、全然。ちょっとかすってるくらい(笑)。そんな。

 

山脇:あれが2007年の夏だったんですよ。だから……10年前。

久馬:ですねえ。もう、そんなに。

山脇:あの頃、私が25、6歳で。

久馬:あら若い。ピチピチの。

山脇:それを考えたら、当時の久馬さんも30代だったわけで……

久馬:いやもう、えらいおっさんです。

山脇:あの頃の久馬さんと、今の私が同じ年齢と思ったら「もう追いつけないな、これは」って。

久馬:全然、何をおっしゃいますやら。

山脇:で、その後、2009年の頭に『なだぎ式殺人事件』(出演:ザ・プラン9、チョップリン、ヨーロッパ企画)というABCの番組でもご一緒させてもらって。

久馬:もう、ABC様々ですなあ。

山脇:で、その2009年に、出演者が各々自分らのコントをして、それが久馬さんの書いた一本に繋がっていくコントライブ『月刊コント』が京橋花月で始まって。私は、第3回目に、プラン9さんと一緒に1つ1つのコントを繋ぐ役割で出してもらって。

久馬:そうですね。

山脇:そこから何回かお世話になり、ザ・プラン9の9周年イベントにも……

久馬:そうねえ、出てもらいました。

 

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山脇:だから、あの、今の私があるのも、久馬さんのおかげだと思ってやってるんですよ。

久馬:全然、全然。ちょっとかすってるくらい(笑)。そんな。

山脇:当時、ヨーロッパ企画の上田さんが、私がプラン9さんと一緒にコントしてるのを観て、「山脇さん、芸人さんとコントやるの向いてるから、そっちもやっていったらいいかもね」って言ってくれたんですよ。私その頃とにかく演劇を頑張りたい時期だったんで「そうですかねえ」って感じだったんですけど……いまや、未来を言い当てた感じで。

久馬:あら。うちが辞めさせたみたいな感じで。

山脇:いやいや違いますよ。

久馬:なんかね、変な人やもんね、上田さんも。

山脇:「合ってる気がするよ」って。そうなっていきましたねえ。予見してたみたい。

久馬:確かに「やりやすさはあるなあ」とは思ったねえ。『月刊コント』で色々、女優さんに出てもらってるけど。やっぱりヨーロッパさんも、あんまりカチカチッとしてないから、近いんかもしれない。

 

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こっちは皆のコントを繋げるだけやから、楽やけど。

 

山脇:今年、その『月刊コント』が8周年で。

久馬:7月末で8周年になって、11月に100回記念。

山脇:100回は、すごいですよね。

久馬:いやー、月刊と名乗ってしまったばっかりに……(笑)やる羽目になってしまった。

山脇:大変ですよね、毎月っていうのは……すごいなあ。

久馬:100ヵ月連続ですからねえ。恐ろしい……。

山脇:ねえ。

久馬:笑けてきますわ……。

山脇:大変だろうなって思うのが、月刊コントは何組もの方が出演されるから、呼ぶ人を毎回セレクションしなきゃいけないじゃないですか。

久馬:そうなんすよね。

山脇:新しい人たちを、見つけていかないと、というか。

久馬:もう、吉本内では、若い子でコントやってる子は出尽くした感があって。大阪の若手なんてもう何周もしてるから、向こうが、コントつくるんが大変やと思いますよ。

山脇:ああ、そうかあ。

久馬::こっちは皆のコントを繋げるだけやから、楽やけど。

山脇:それが大変じゃないですか、繋げるのが! あれは大変ですよ。

久馬:慣れましたねえ。100回もやったから(笑)。

 

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でもそれも楽しいです。

 

山脇:『月刊コント』に初めて出たときは、合間に挟むブリッジコントと、最後にやる巻末コントの台本だけを頂いてたので、なにがなんだか……「なぜここで、いきなり茄子のことを口にしなきゃいけないんだろう?」とか思いながら。

久馬:本番まで、ほんま俺しか知らん状態で。

山脇:本番で、出演者のコントも含めて全部観て「だから、あの台詞があったのか」ってわかる。

久馬:たまにおるねんね、初めての人で、本番でボケ変えてきたりする子とか。「オイ~」とか思いながら。

山脇:それで1度、天竺鼠の川原さんが……天竺のコントに出てきた人名が後でも大事なとこで出てくるから、人の名前だけは変えちゃいけない……ってなってて。本番で、自分でなに言ったかわかんなくなったのか、袖に戻ってきて「僕、名前なんて言うてました? 言うてました?」って。「大丈夫です、ちゃんと言ってましたよ!」って声をかけた思い出があります。

久馬:稽古も当日だけやし、1日しかないのに、芸人さん達とかちゃんとやってくれてて……。不思議ですよね。「わー、覚えてきてるわー」って。「こっちが勝手に好き勝手書いたやつ覚えてはるわー、この人ら」と思って(笑)。まあミスは多いですけどねえ。

山脇:どきどきしますね。

久馬:そうっすね、でもそれも楽しいです。

山脇:2014年の『月刊コント浅草号』に「すいているのに相席」で出させてもらったときも、木村さんがすごく丁寧に久馬さんの書いた台詞をやっていて。

久馬:そう、諸先輩がたにも色々出てもらって、ありがたいなと思ってます。覚えてくださるのとか、本当に。

山脇:可愛かったの覚えてます。手を広げて「いくわよ、つかまって!」っていうの、ありましたよね。

久馬:あったね。「飛べるんですか?」「歩きます」「飛ばへんのかーい!」っていうのやってましたね。

山脇:新鮮でした。ご自身の書かれたコントでもボケはりますけど、それとはまた違ってて。

久馬:確かにね。責任感強い人やし、人が書いたやつは間違えたらあかんとか、あるんやろね。ありがたいです。

 

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なんか、驚いてましたね、『月刊コント』というものにオファーされて。

 

久馬:『月刊コント』100回記念もバッファローさんに出てもらう感じで。

山脇:場所は大阪ですか?

久馬:大阪の、IMPホール。京橋にある劇場で、原点回帰というか。京橋で始まって、京橋でやる、という。まあまあNGKが改装中というのもあるんすけどね。それでまあ、2回にわけてやります。

山脇:はい。

久馬:11月10日と17日で……告知なんかしていいんですか(笑)?

山脇:いいんです(笑)! 自然な流れで! 

久馬:10日がバッファロー吾郎さんとケンドーコバヤシ、17日が野性爆弾と、フラワーカンパニーズっていうバンドに出てもらうという。

山脇:あら、バンドとはまた、異色な。

久馬:はい。僕が好きなんで、オファーしてみたら「わあ、出てくれた」て。

山脇:フラワーカンパニーズがコントするんですか?

久馬:一応、バンドで何曲か演奏していただいて、その前後になにか喋ってもらおうって感じやけど。なんか、驚いてましたね、『月刊コント』というものにオファーされて。

山脇:そりゃあ。

久馬:「何をさせられんの?」みたいな感じで。

山脇:今までミュージシャンの方の出演はあったんですか?

久馬:若手のデビューしたての子とか……大阪やったら、近藤夏子っていう女の子とか。

山脇:ボブヘアーが印象的な。

久馬:東京でやったときは、ミドリカワ書房とか、出てもらいましたけど……バンドでがっつりっていうのは、ない、かな。

山脇:8年の歴史の中で、じゃあ、初。

久馬:8年。ありがたいですねえ。

 

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なんでか知らんけど毎月やっちゃうんですよ。

 

山脇:今年から始まった『世にも奇妙なコント』は、毎月ですか?

久馬:毎月です。

山脇:え! 大丈夫ですか!

久馬:ひーひーなってますねー。なんでか知らんけど毎月やっちゃうんですよ。

山脇:月刊が好きなんですね(笑)。

久馬:そう、月刊が。あとは、東京で『月刊コント』をできなくなったから、こっちの人にも何か観てほしいなあ、って思って。『月刊コント』を一緒に立ち上げてくれた社員さんが、神保町花月で働いてはって。今、支配人になってて「何か、またやりましょう」って言ってくれたから「こっちでもコントイベントやりたいなあ」って。変なコントばっかりするイベントです。

山脇:奇妙な。それは繋がってるんですか?

久馬:一応繋がってる…(笑)。

山脇:(笑)やっぱり繋げたくなるんですか?

久馬:1回目は繋がってなかったんです。皆それぞれ普通にネタやってもらって、最後に全員でユニットコントする、だけやったんですけど。2回目はちょっと時間あったから、ちょっと繋げちゃったんです。

山脇:久馬さん、すごい繋げますよね。

久馬:すぐ繋げるんですよ。

山脇:観てる方も、繋がると感動しちゃいます。

久馬:だんだんお客さんも敏感になってきて、ちゃんと台詞を聞いてくれてるから、ちょっとしたことでも「え、これが……」って気づいてくれるようになってて。「……ということはこの人らが兄弟なんや」とか。おかしくなってます、うちのファンも。

山脇:そうですね(笑)。クロスオーバーするとすごい嬉しくなっちゃうんですよね。あのコントの人とこのコントの人が……って。ブリッジや巻末のコントで「兄ちゃん!」とかいうだけで「うわあ、嬉しい!」って思います。

久馬:こないだ8周年やったときも、ヤナギブソンが高校生の娘がおる役で。”ギブソンの娘の友達のお父さんが有名人”っていう設定で、でも、その有名人のお父さんが娘の親友に手を出した、みたいなことがあって。それがギブソンの娘やった、ってわかった時点で「ヒャ~!」て悲鳴が起こってたから。そんなにリアルに思ってたんや、って。

 

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山脇:新人発掘みたいに、積極的に観にいったり探したりはするんですか?

久馬:探しに……わざわざ劇場に観にいく、とかはないけど。一応、若手のネタ番組とか、気にかけて観てたりとか。あとは、こういうイベントをやってたら色々言ってくれる人が多くて。「こういう子が面白いよ」とか「出たいから観てください」ってDVD渡してくれたりとか。別に出たいんやったら、そんなん観るほどでもない……もう「出たい人は出てください」って感じです。

山脇:ここは満たしてないとイヤ! とかはないんですか? 

久馬:そんなんないよ(笑)ないない。

山脇:「ここまでは!」みたいな、久馬ラインはないんですか。

久馬:ないない。ないっすよ。

山脇:コントだったら、じゃあ、もう。

久馬:そうですねえ。若手の子とか……やっぱり大阪は特に漫才師が多いから、それでも「コントあるかなー」ってオファーして、OKってなったから「ああコントあるんや」と思ってたら、漫才を無理矢理コントにしてくれたりとか……「あ、申し訳なかったなあ」とかはね、ある……ねえ。

 

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次の日の朝、またカツオ食べて。

 

山脇:好きな食べ物を聞いてもいいですか……?

久馬:なに、突然。いいっすよ(笑)。

山脇:いや、だいぶ心がほぐれてきたので、聞けるな、って。久馬さんは何が好きなんですか?

久馬:俺は……、カツオのタタキ。

山脇:カツオのタタキ!

久馬:カツオのタタキは、なんか暇ができたら、高知県まで行って食べる。

山脇:ええ? 嘘ですよね?

久馬:ほんまに。ついこないだも行ってきて。

山脇:そんなに好きなんですか?

久馬:予定みて「あ、2日連休や」って「あ、行ってこよう」って思って。1人でバス乗って高知まで行って。だいたい夕方くらいに着いて、カツオ食べて、で、寝て。次の日の朝、またカツオ食べて。

山脇:ええ? 本当ですか?

久馬:で、桂浜いって、龍馬の銅像見て、帰ってくる。

山脇:そっか……お好きなんですものね。

久馬:そういうのを、年に何回かやってる。

山脇:やー、好きな物を食べにどっかまでいく人って、初めて聞きました。

久馬:え、そう?

山脇:カレーが好きだからインドにいくってあんまり聞かないですもん。

久馬:そう、かなあ?

山脇:みんな、手近な所で好きな物を食べてる気がする。

久馬:でも、もともとそんなにグルメでもないから……。カツオの美味しい店なんて、大阪に普通にあるしね。そこでも食べるし。でもたまに、本場に行きたくなるんすよ。

山脇:ああ、でもいいですねえ。

 

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 食わんかったら死ぬんかー、じゃあ死なへんように食べなあかん

 

久馬:ここ最近、やね。昔は本当に食に興味がなかったんすけど。

山脇:ええ。

久馬:あの『ドラゴンボール』の仙豆、ケガが治るとか満腹になるとかっていう。あれがあれば……

山脇:いいのになあって?

久馬:思って。ほんまに、死なへんために食ってた。

山脇:生命を維持するためだけに?

久馬:食わんかったら死ぬんかー、じゃあ死なへんように食べなあかん、って。

山脇:ええー。

久馬:それが今は、なんか知らんけど一食一食を大切にしよう……て。

山脇:大人になったんですね……。

久馬:だから、家から劇場にいくまでの間に、美味しいランチの店とか調べて。

山脇:わあ、素敵なOLみたい(笑)。

久馬:食べログとか調べて、あ、こんなとこに店あったんやーって。

山脇:開拓されて。

久馬:今の大阪の家なんて、10年近く住んでるけど……NGKも近いし何回も往復してるけど、最近になって調べたら「わ、こんなとこに店あったんや」って。ちょっとした路地入った所にも。

山脇:あの辺、いろいろあるっていいますよね。

久馬:こないだも「こんなカレー屋があったんやー」と思って行ったら「ああ、今日で終わるんです」って言われて。「あっ、そんな日にきてしまった」って。常連さんですごく賑わっているなか、ひとり座ってカレー食べて……全然、何の馴染みもない客が一席つぶしてしまって申し訳ないな、って。

 

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やっぱりダボダボとかやと恥ずかしいし……

 

山脇:お洋服とか、お買い物は大阪ですることが多いですか?

久馬:そーう、っすねえ……最近はあんまり……。やっぱりもう体力がないからね。うろうろする体力が。昔は、ちょっとうろうろして「あ、これいいかもしれへん。でも他にもあるかもしれへんから、とりあえずキープしといて、他の店も見てこかな」って何軒かまわって「やっぱあれかな」って戻って買う、とかあったけど。今は「もうこれでええわ」って一軒で終わっちゃう、とかね。

山脇:大人になったから……?

久馬:かねえ。あとはもう試着とかが面倒くさくなって。だからもう、しない。

山脇:あー。でも、もう自分のサイズとか大体……

久馬:大体、わかってるけど「あーもう全然合わんかったー」ってもう……着いひんとかも。

山脇:諦めちゃいます? 妥協して着るとかはあんまないですか?

久馬:あんまない、ですねえ。

山脇:ちょっとこだわりがあるんですか?

久馬:やっぱりダボダボとかやと恥ずかしいし……

山脇:ははは(笑)

久馬:そうなんすねえ。

山脇:え、ダボダボ恥ずかしいって言うのはなんでですか?

久馬:え?(笑) ダボダボ恥ずかしくない? 「合ってないのに着てるやん」って思われたら恥ずかしいでしょ(笑)。

山脇:そっか、そうですね。

 

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久馬:帽子とかも、よう被ってるから貰うんですけど、頭がちいちゃいから、なかなか合うのがないんですよ。

山脇:あー。くるくるまわっちゃうんですね。お顔が、ちいちゃいから……。ちっちゃいならではの悩みが、あるんですね。

久馬:本当そう。靴もちっちゃいしね。

山脇:靴のサイズ、いくつですか?

久馬:一応25cm……やけど。

山脇:あ、じゃあ、大きくはないけど、そこまで……

久馬:ほんまは24cmでも、多分、入る。

山脇:めっちゃちっさい!

久馬:入るけど、24とかいうの恥ずかしいから、25って。

山脇:レディスの方があるぐらいですよね、24cmって。

久馬:25の紐靴やったら、ぎゅっと紐しめたらいける。

山脇:衣装さんから「サイズ提出してください」とか、言われるときは?

久馬:そういうときは25にしてる。だから、革靴とかやと、ちょっとぶかぶか感は、出る……。

山脇:あら。

久馬:24って坂田利夫さんと同じサイズで。

山脇:じゃあ、劇場には確実にストックあるんじゃないですか。

久馬:でもやっぱね、あの年代の人が履く靴しかないからね。恥ずかしいね。

山脇:じゃあ衣装さんに24cmで用意してもらったら……

久馬:中に『サカタ』とか書いてある。「あ、坂田師匠履いてたんやこれ」とか(笑)。

 

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 そりゃあやっぱ、血気盛んな。

 

山脇:久馬さん、一番好きな音楽って何か、ありますか。

久馬:なんやろーね……やっぱり、今度出てもらうフラカンとか……まあその当時、バンドブームがでかかったからねえ。

山脇:バンドブームっていうとあの「こいつらだ!」って相原勇がいう……あの頃ですか。

久馬:あー、え、「こいつらだ」? イカ天?

山脇:はい。

久馬:イカ天はまあ、大阪やってなかったけど。その年代のひと……ユニコーンとかが代表格で、あとはJUN SKY WALKER(S)とか、THE BLUE HEARTSとか。

山脇:ああー。

久馬:あの年代からの、流れの人たちをやっぱり聴く、かなあ。

山脇:今もですか?

久馬:うん、そうそう。

山脇:久馬さんは、バンドブームの頃に高校生くらいですか?

久馬:高校……くらいかな。18歳……

山脇:久馬さんって、どんな高校生だったんですか。

久馬:えー? 全然、そんな……。でも岸和田人やからね。

山脇:そう、だから本当は怖い部分があるんじゃないか、って思っちゃうんです。今はこうして、なごやかにしてるけど……本当は……

久馬:そりゃあやっぱ、血気盛んな。

山脇:ひええ。

久馬:いえいえ、別に普通の。なんやろうねえ。岸和田やったからねえ、周りは本当にやんちゃな、ビーバップ世代の人たちやからねえ。少年愚連隊の町やから、やんちゃな人らだらけ。

山脇:ええ。
 

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本当にもう、やんちゃな親父で。

 

久馬:で、うちの親父が、むちゃくちゃ怖かった。ほんま、生粋の岸和田人で。兄貴がおんねんけど、兄貴も悪い、やんちゃな人で。兄貴が親父にめちゃくちゃしばかれてたんです。煙草吸ったりとか、色々やんちゃして、もうボッコボコにされてて。だから「あーこんなふうになるんや」というので、ちょっとおとなしくなったかもしれへん。

山脇:お兄様とは何歳違うんですか。

久馬:3つ。

山脇:じゃあ、けっこうお兄様がボコボコにされるのを……

久馬:近くで見てた。うん。

 

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久馬:本当にもう、やんちゃな親父で。ほんま祭り大好き、喧嘩大好きな人で、近所で喧嘩があったら「まぜてくれ!」っていうような、親父。

山脇:ええ? そんなことあるんですか! 喧嘩止めるとかじゃなく?

久馬:「まぜてくれ」っていう、そんな親父やね。やから「変な人やな」と思ってて。

山脇:やんちゃですね……

久馬:今は、だんじり祭りは土日になってんねんけど、僕らの時代は毎年9月の14日、15日って決まってて。だから平日のときもあるわけで。小中学校までは、祭りの日は学校も休みやけど、高校は色んな地区から生徒が来るから休みではない、普通に学校行かないといけない日で。でも岸和田出身の子はだんじり引くから休む。で、僕も一応休んで、だんじり引いてて。ほんなら、それは『ずる休み』ってことになって、先生に呼び出されて、まあ怒られて。罰として一週間、放課後に居残って漢字テストとかを受けさせられて。2、3日たったら、親父が「お前、最近帰ってくんの遅いなあ」「あ、そやねん。祭りで休んだから罰で」っていったら「はあ?」ってなって。次の日バイクで学校乗り込んできて。

山脇:えー!! そんなんあるんですか!

久馬:原チャやけどね。ピンクの原チャで運動場バーッて、校長室きて「何があかんの?」って。校長とサシでしゃべって。で、もう罰はなくなった。

 

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山脇:ひえー。見た目は似てるんですか、お父様と。

久馬:いやー、もう全然。ガタイもすごいし。

山脇:でも、おうちにそういうお父様がいたら、外の世界に出た時、なにも怖くなくないですか? 怖い人慣れしているというか……

久馬:あー、そうやねえー……

山脇:怒鳴られてもそこまでビビらないというか……

久馬:まあ、確かにそれはあった。ほんまに中学とかも、やんちゃグループとかあって、喧嘩がすごかったから。そのグループにいたわけではないけど、やっぱり「生き残るには面白さしかないんや」っていうので、多分、色々、面白さが磨かれたという(笑)

山脇:なるほど(笑)

久馬:そのヤンキーの人らも「久馬やったらええわ」って。

山脇:ああー。納得しました。久馬さんの面白さの、出所というか。

久馬:生き残る手段として。

 

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別にウケんでもええよ」くらいのスタンスでやってたら「あれ、これ、ウケてなくてもええんかな」みたいな……

 

山脇:昔、『バトルオワライヤル』のビデオを「これ面白いから」って上田さんに薦められて観てて。芸人の皆さんが小道具使って一発ボケる、ていう。その頃は久馬さんとそこまで面識はなかったんですけど「この人はおもしろいなあ~」って。

久馬:あら。

山脇:バトルのなかの清涼剤というか、スッて入ってくる面白さ。

久馬:いやいや、ありがたいですねえ。

山脇:優しいですよね。久馬さんの面白さって。

久馬:ああそう(笑)?

山脇:穏やかな気持ちになるというか。

久馬:そりゃ、くぅちゃんとかコバとか、はちゃめちゃな奴がおるからね。色んなタイプがね、おる。

山脇:ほわ、すっ、とした感じというか……。

久馬:静かーにね、淡々と。そんなにスベッてもわかれへんっていうかね。やっぱり大声張り上げてたら、スベったの丸わかりやけど。なんとなく「別にウケんでもええよ」くらいのスタンスでやってたら「あれ、これ、ウケてなくてもええんかな」みたいな……ずるい手法を、とってる(笑)。

 

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久馬:観てくれてたんですねえ。ありがとうございます。

山脇:観てました。だから、そこから10年たって……今日は緊張しました。

久馬:そんな、大丈夫ですか、記事に使えるのありましたか。

山脇:あのー、やっぱりお父様の話がすごい衝撃で。

久馬:そんなお父さんとも、ほんまについ最近まで……20年くらい会ってなかったんですよ。これも壮大な話で。

山脇:え、20代の頃から会ってないってことですか?

久馬:20代で「芸人になる」っていって反対されて。「なる」ってなったときも「5年くらいで賞とれへんかったらやめるわ」っていう約束をしたけど、賞とられへんかって。

山脇:ええ。

久馬:でも、自分の中でなんとなく「いけそうやな」っていうのがあって。親は「約束したやんか」っていうのがあって。それで「やらせてほしい」ってなってワーッてもめて。「出ていけ」ってなって、家を出ていって。

 

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あれ、俺この人とどうやって喋ってたんかな、みたいな。

 

久馬:そこからもう何年も経って。コンビ解散して、プラン9になって。その間、別に会ってなくて。プラン9でM−1のファイナリストに選ばれた時に、ほんまに10何年ぶりかに、おかんから連絡があって「あんた、サイン頂戴」っていわれて。

山脇:おお。

久馬:向こうも、どういう第一声か悩んだ末での、それやったと思うんすけど。それで「ああ、ええよー」って。そこでおかんとは雪解けして、何回か会うようになって。でもおとんとはずっと会ってなくて。何年かまた経って、おとんの70歳の誕生日を祝うってなった時に、おかんから「親戚集まってお祝いやるから帰っておいで」って連絡あって。「あんたもう、ここで帰ってこんと、会う日がないかもしれんよ」って。「確かにそうやなあ」って岸和田まで行って……料亭みたいなところでやってたパーティーに。20年ぶりに……。ほんま、50歳やった親父が70歳になってるわけやから。

山脇:ああ、そうですよねえ。

久馬:店の前でずっと「どうやろかなあ」と思ってたら、おかんから連絡あって。「もうすぐ着くわ」って、ほんまはもう店の前おんのに……。で、「もう行こ」ってバッて入ったら、もう……でかかった親父が、ほんまおじいちゃんになってて。「わ、こんななってんや」って。

山脇:わー……。

久馬:「お久しぶりです」って。あれ、俺この人とどうやって喋ってたんかな、みたいな。で、そこで初めてお酒飲んで。ほんでもう、1時間くらいたって、居づらくなって。「仕事ある」って嘘ついて帰って。

山脇:はい。

久馬:帰りの電車でバーって泣いた。

山脇:わあああ。

久馬:なんの涙かわからん、もうわけわからん、ツーって。南海電車のなかで。

山脇:南海電車……! そこからは何回か会ってるんですか。

久馬:会ってない(笑)。一応連絡はとったり、してる。

山脇:ああ。

久馬:そんなに昔から仲良い、ってこともなかったからね。遊んだりとかもない……向こうは向こうで、大人な……釣りとか野球とかしてはったし。大人で飲みに行ったりとか。こっちはこっちで遊んでたから。

山脇:大人と、子どもで、きっちり別れてた、っていう。

久馬:そうそうそう。

山脇:でも……会えてよかったですよね。

久馬:まあ。そうやねー。また会わなあかんな、とは思います。もう、ええ歳やからねえ、会っとかんと。

 

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 「救急車で運ばれました」「えー!!」ってなって。

 

山脇:聞きたかったのが……なだぎさんが本番中に舞台上で骨折されて、それを久馬さんが1人で対処したっていう……

久馬:いや、1人でって、そんな……。噂で、そんな、僕のすごさが伝わってますか(笑)?

山脇:はい。そんなことがあるのかという。

久馬:ほんまに、対処するしかなかった、という感じで。途中で、なだぎさんが、骨折しはって。

山脇:ええ。舞台上で、何か、動いて?

久馬:はじけて、骨折して。急に「もう無理」ってはけはって。「うわあ、はけたあ」と思って。しばらく、舞台上は何人かおったから、ちょっと喋って……学校の設定やったから「あの先生、保健室いきましたねえ」みたいな、皆で繋いでて。それでも戻ってけえへんかって。舞台袖でスタッフが呼んでるから「僕もちょっと保健室行きます」ってはけたら「救急車で運ばれました」「えー!!」ってなって。

山脇:なだぎさん、その後いっぱい出番あったんですか?

久馬:あとはラストだけやって。ラストが僕となだぎさん2人のシーンで「これ、どうしようかなあ~」って。で、もう「電話で、なだぎさんと喋ってる感じで終わらせますわ」っていって、喋って。

山脇:ひええ。

久馬:自分で書いた脚本やからね、なだぎさんの台詞も覚えてたから、やって、終わって。なんとかなったな、って。「電話で話すとか、よう思いついたな」って後で本当に思った。

山脇:舞台上で人がどうにかなるのが一番怖いですよ……。すごいなあ。

久馬:それがなだぎさんと最後の舞台に(笑)

山脇:ははは。

久馬:いやでも、「ピンチの時にどうにかするのがプロやで」ってやっぱNSCの生徒たちに教えてるからね。そこのメンツが保たれた(笑)。

山脇:そうか、先生もやられてるんですもんね。教える立場、講師は、やられててどうですか?

久馬:難しいですねえ。特にお笑いなんてね、答えがないもんやから。「何いってんねん」と思って聞いてると思う。

山脇:ご自身が生徒だったときは、どうでしたか?

久馬:自分らが通ってるときは、ほんまに”吉本に入る手段”として行ってただけで、特に「NSC行ってよかったな」ってことはあんまなかったからね……そうならんようには、教えてるつもり、やけどねえ。

山脇:はい。

久馬:どんな感じなんかはわからへん(笑)、生徒たちにしたら。

 

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すいません、なんか、まじめに話しちゃった。

 

山脇:2017年も半分以上過ぎましたけど、何か、下半期で目標はありますか?

久馬:毎年「やったことない仕事をしたいな」というのが目標というか、あって。ここ数年、ドラマ書かせてもらったりとか、映画やらせてもらったりとか、なんとなくクリアできている感じなので、今年の残りで、また新しい仕事ができればな、と思っております。

山脇:なるほどー。

久馬:すいません、なんか、まじめに話しちゃった。

山脇:いえいえ、いいお話をたくさん。お話しできてよかったです。

久馬:ザコシショウがふざけてたって聞いてたから、どうしようかな、って。

山脇:11回中、ふざけてたのは、あの方だけです(笑)。1時間まったく失速しないでボケ続けてて。

久馬:ねえ、すごいよねえ。売れて良かった、ほんまに。

山脇:では、今日はありがとうございました。

久馬:いえいえ、こちらこそ。

 

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お~い!久馬

本名・久馬歩。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1972年7月22日生まれ。大阪府岸和田市出身。大阪NSC10期生。ユニット「ザ・プラン9」リーダーとして活動するほか、新喜劇や漫才、ドラマなどの構成や脚本を手掛けている。2009年から始まった『久馬歩編集 月刊コント』は2017年7月に8周年を迎え、同年11月には100回記念公演が大阪IMPホールで2日間行われる予定。2017年4月から神保町花月でコントイベント『世にも奇妙なコント』が始まった。

 

山脇唯

1981年8月3日生まれ。俳優。ヨーロッパ企画退団後はフリーとして舞台を中心に活動。2013年より「すいているのに相席」に参加、“ユーモア女優“の称号をバッファロー吾郎A、せきしろ両氏より賜る。声の出演にNHK Eテレ「デザインあ」他ラジオCM等多数。ポンポコパーティクラブ代表。8/16に新宿ロフトプラスワンで『山脇唯スタディ』が行われる。

 

 

 

 

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