ロフトプロジェクトの席亭・平野悠が幻冬舎plusにて連載を開始した。その名は「ロフトプラスワン事件簿」 。トークライブハウスはどのように生まれ、発展していったのか。現在第5回目まで公開されている。
<平野悠コメント>
おそらく世界で初めての「トークライブハウス・ロフトプラスワン」が新宿の片隅にオープンして20年。小さくても、自由でかったつな表現を保障した創造空間は、私の遊び心から誕生した。今では全国各地に「トーク空間」が少しずつ出来てきた。炎はまだ小さいが、現在はそこそこの「トークカフェブーム」なのである。「トークライブハウス」と名乗るかどうかは別にして、それぞれが主義主張を持っている。週末午後の喫茶店やレストラン、書店の片隅、ガレージや教会など、いたるところで種々雑多な催しが開かれている。これは間違いなく新しいサブカルチャー文化の発信である。
私たちの「トークライブハウス」は、今まで大手マスコミから発言の機会を封じられたり、社会的に抹殺されかかっている多くの無言の人々、この社会の中で罪を背負って生きられる場所を探している人、それまで人前で話す機会が少なかった作家や演劇、映画、音楽家、アニメ関係者や、その裏方、スタッフにも自らが営々と築いて来た「こだわり」を表現する場を提供した。
20年前、新宿の片隅に生まれた「トークライブハウス」は多くの伝説を生んだ。亡くなった表現者も数多い。私はこの空間の言い出しっぺであり、多くのドラマとシーンに立ち会ってきた。新しい空間に集まって来た表現者やスタッフ、お客さん、この空間をこよなく愛してくれた人たちに感謝の気持ちを込めて、20年の時代の風景や空気を伝え続けたい、という思いで文章を書いている。