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【ライブレポート】新宿LOFT公演:THE LOODS「LIVING AFTER 311 TOUR」(2011年11月26日)

2011.12.01

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「LIVING AFTER 311 TOUR」
11/26(土)新宿LOFT
THE LOODS / 中川敬 / FORWARD


 80年代を駆け抜け07年に一度だけ再結成ライヴを敢行したTHE LOODSが再びライヴをやる。この驚くべき話を中心人物の西村茂樹から聞いた時、しかし私はどこかで予感していたような気がする。これはこじつけでもなんでもなく、3月11日以降、THE LOODSの曲が私の頭の中で繰り返されていることが度々あったから。私にとってTHE LOODSが叩き出すサウンドは必然のようにあって、西村も、今、THE LOODSでライヴをやることは必然だと感じたのではないか。

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 再結成ライヴの大きな理由は、「ライヴ活動等を通して得た対価を“ソウル・フラワー震災基金”を通して東日本大震災の復興支援に充てる」ということ。被災地へ何度も行っている西村の思いがTHE LOODSの再結成に繋がったわけだ。現実と音楽をダイレクトの繋ぐのがパンクロックの最大の魅力で、THE LOODSはパンクロックしかできないバンドだ。再結成の理由はまさにパンクロック・バンドだからこそで、パンクロックを見せる為にも生半可なライヴなど当然できない、するわけがない。

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 いよいよ当日。多くの観客が集まった。若い人達もいたが80年代当時のTHE LOODSを見ていたような人達もいて、私も久しぶりの友人にも会った。そこには同窓会的な感覚より、“これから起こることをしっかり見てやろうじゃないの”って、まるで同士のような感覚があったんじゃないか。心地いい緊迫感が会場を包んでいる。

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 そんな中、登場したのがハードコアの重鎮、FORWARD。重戦車の如く突き進むサウンド。熟練されたアグレッシブな音の真ん中で存在感たっぷりのISHIYAのヴォーカル。前へ押し寄せる観客。その光景にメンバーは時折、笑みを浮かべ、更にパワーを増していく。怒りを込めた叫びと共に、ピースなのかビクトリーなのか2本の指を高々と挙げるISHIYA。崇高とさえ感じられる姿がカッコイイ。西村の思いに充分に応えたライヴ、いや、そんなこと関係なく最高のライヴをやっただけかもしれない。見事なハードコアを見せてくれた。

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 この日、ブースを出していた“NO NUKES MORE HEART”のスピーチの後、ステージに張られたスクリーンに映像が映し出された。3月11日、津波に全てが流されていく生々しい映像と、その後の原発事故の、今となればメルトダウンを隠蔽していた会見の映像。それが過去のことなどではなく今も地続きであることが改めて突き付けられる。
そして「THE LOODS LIVING AFTER 311 TOUR」の文字。
 スクリーンが上がり、間髪開けず1曲目は「REVENGE」。タイトな演奏で爆音を轟かせる4人。“時代がサルグツワ”という言葉が叩きつけられるこの曲は“地震がサルグツワ 津波がサルグツワ 原発がサルグツワ 未来にサルグツワを噛ます”と、4曲目の「SPOT CHECK」では“現場検証 死に場所”を“現場検証 フクイチ”と変えた箇所があった。あまりにストレートな表現。“コレを歌いたい”というより“コレしか歌えない”というような必然と確信に満ちた潔さ。音も同様に、“コレしかやらない”とばかりにシンプル極まりない演奏で、しかしその強度は4年前の復活ライヴよりも、いや80年代当時より上回っているんじゃないか。カタルのベースはうねり、梶原徹也のドラムはダイナミックで、西村と鈴木浩司の2本のギターがグイグイとリフを炸裂させる。特に鈴木はバンド活動から離れていたにも関わらず演奏もルックスも衰え知らずだ。とてつもない声量で言葉を叩きつける西村のヴォーカル。体を動かさずにはいられない観客達がフロアに溢れる。昔と変わったことは、滅多にmcをしない西村が「気持ちいいー」と口にしたことぐらいで、やっていること自体は変わらない。ソリッドでスピード感に溢れ、爆音で、そしてポップな純正パンクロック。
しかし、違うのだ。80年代に作られた歌は、新たな意味を持ち新たな迫力で迫りくる。それを実感したのが中盤。スケール感溢れる「BIRD」からスピーディーな「HARD MOUSE」と続いた後の「HEAVEN」でのこと。言葉を叩きつけるのではなく祈りのような歌詞がメロディを作り出し音と共鳴しスケール感が増していくこの曲で、西村は声を詰まらせ歌えなくなったのだ。“愛すべき者たちが すべて失われる 悲しい瞬間は あってはならない”という歌詞の“あってはならない”という部分。声を詰まらせ、一瞬、後ろを向き、振り返りギターを掻き鳴らし、次の歌詞の“ヘヴン きみのヘヴン”を声を振り絞り歌う。
 矛盾した言い方だが、“悲しい瞬間はあってはならない”という歌い切れなかったその言葉は、多くの観客達に届いたはずだ。声を詰まらせてしまった「HEAVEN」という曲に新たな意味と迫力を感じたと言ったら、ヴォーカリストとしての西村には失礼かもしれないが、この曲で、私は涙が出そうになった。

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 後半、中川敬と高木克(共にソウル・フラワー・ユニオン)が加わり、ソウル・フラワーが被災地でも演奏している「おいらの船は300とん」、「満月の夕」(エレキ・バージョン!)と、被災地に何度も行っている西村にもきっと馴染みあるであろう曲が飛び出す。中川の骨太なヴォーカルと更に骨太になっていく演奏から、THE LOODSの「NONSENSE MAN」を畳みかけた後、ステージにはこれ以上ないってぐらい濃いメンツがゾロゾロと登場。名前を挙げると、CHU-YA(De-LAX / LOOPUS / アレルギー)、Genet(AUTO-MOD)、Yukino(AUTO-MOD)、岩田美生(The STRUMMERS)、津田治彦(新月)、長嶌BEM、カツタ(EXTINCT GOVERNMENT / P.I.M.P.)、ヒロシ(THE TRASH)、MAGUMI(LA-PPISH)、アツシ(ニューロティカ)、シンジ(ex.the原爆オナニーズ/ex.雷矢/ SNATCHER)、勿論、FORWARDのメンバーも。この面々で「Loud Machine」を大セッション、大迫力。全員が笑顔なのだが同窓会的ムードはなく強烈なカオスで幕を閉じた。

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 昔と同じようにアンコールはなし。西村は「あとは、任せた」と言いステージを降りた。時代を生き抜いてきた歌達で、この時代を、これから先を生き抜く力を私達に示して、THE LOODSのライヴは終了した。
THE LOODSは最高のパンクロック・バンドだった。

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 残すライヴはあと3回。12月10日の名古屋CLUB ROCK'N'ROLL、12月11日の大阪・難波BEARS、十三FANDANGOへ是非!


(TEXT:遠藤妙子/PHOTO:上野祥法)

Live Info.

12月10日(土) 新栄CLUB ROCK'N'ROLL, NAGOYA
出演:THE LOODS ゲスト:the バーナム type.CHIEXS!

19:00 START

大阪(1日2公演!!!)
12月11日(日)難波BEARS
出演:THE LOODS
ゲスト:MINCA PANOPICA

14:00 START

12月11日(日) 十三FANDANGO ※THE RUDEBOYS 30th ANNIVERSARY!
出演:THE LOODS,
THE RUDEBOYS(ゲスト:ヤマジカズヒデ(dip)/須藤俊明(奇形児)/鶴川仁美(DUDE/ex. The ROCKERS)/穴井仁吉(ZiLiE-YA/MOSQUITO SPIRAL))

18:30 START

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