インタビュー

青野春秋×川又宇弘(Rooftop2013年6月号)

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「本気出してないだけ」と言いつつ、いつでも本気で生きてる二人!
漫画家・青野春秋と、青野が認める才能を秘めた川又宇弘がトークイベント開催!!

(2013.06.03)

 いよいよ今月15日より劇場公開される話題作、『俺はまだ本気だしてないだけ』の原作者・青野春秋と無職兼小説家兼編集者の川又宇弘が7月6日に満を持してロフトプラスワンデビュー!! そこで、本誌取材班は青野春秋と川又宇弘に独占インタビューを敢行。ただいまブレイク中の漫画家と、これから世に出る(予定の)川又宇弘の二人が大いに語る!!(interview:マツマル/ロフトプラスワン)

無職で小説家で編集者!?

——青野さんは漫画家としてご活躍されていらっしゃいますが、川又さんはいったい何者なんでしょうか?

川又:いまはいちおう無職として生活しながら、小説を書いたり、雑誌の編集をしています。ですので、正確に言えば無職を“騙って”生きております。“無職騙り”、たいへん恐縮でございます……。

——では、そもそも二人はどういったご関係なんですか?

青野:もう7歳からのつきあいなので、25年ぐらい一緒にいますね。

川又:25年といえば四半世紀。そして、いまはぼくが青野氏の家に居候しています。

——あれ? 確か青野さんってご結婚されてますよね?

青野:はい。三人で暮らしています。(←平然と)

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青野先生が描いた「菩薩さま」

川又:それで、よく人から「その暮らしはなんかおかしいぞ」と本気で指摘されるんですが、ぼくたちはそういう暮らし方、生き方をなにもおかしいと思っていないんです。ぼくが30歳のときに勤めていた出版社を辞め、一人ではどうしても生活が成り立たなかった。それを見かねた青野氏の奥さんが「うーちゃん(川又の愛称)と一緒に暮らそう」と言ってくれたらしいんです。それが三人暮らしをはじめたきっかけですね。青野氏のお嫁さんは、ありがたいことに、ほんとうに菩薩のような女性ですべてを受け入れてくれてるんです。

——二人の創作活動はどんなスタイルなんですか?

青野:お酒を飲みに行く機会がひんぱんなんですが……その合間を縫って必死に描いています!

川又:ぼくも同じですね。お酒を飲みつつも、しっかりと創作活動への時間をとって、しこしこと小説を書いたり、雑誌の編集をしています。

——川又さん、無職じゃないですか!?

川又:いいえ、無職です!(←キッパリ)

——ところで、青野さんの絵はとても特徴的ですよね。一人で描いていらっしゃるんですか? それともアシスタントさんを入れてるんですか?

青野:特徴的ですか……たしかにそう言われることが多いかもしれませんね。俺の手のぶれた感じの描線は他人になかなかマネできないと思うので、アシスタントさんは一人も雇っていないです。枠線引きやベタ塗り、スクリーントーン貼りなどは、菩薩さまに手伝ったりしてもらいますが。

——川又さんはどんな小説を書いているんですか?

川又:なかなか説明が難しいんですが、サミュエル・ベケットやラテンアメリカ文学の影響を受けています。

青野:彼の書く小説は絶対に面白いですよ。読んだことないですけど。

——まだ読んでないんですね(笑)。

青野:読まなくてもわかるんです。才能でいえば彼が79年生まれの一番で、俺が二番。俺はそう思っています。

川又:まあ、人格や人間性で計測すれば、お互い最低ランクですけどね(笑)。

大黒シズオが生まれた原点とは?

——『俺はまだ本気出してないだけ』を書こうと思ったきっかけは?

青野:26歳のころ、漫画賞に応募するにあたって、なにを描こうかと考えていたら、ふと地元にある歩道橋を思い出したんです。それで、その歩道橋からおじさんが自転車でダイブして頭を打つというシーンが目に浮かんできて、「おじさんを主人公にしよう」と。そこが原点ですね。

——ほとんどの読者は、青野さんの「自伝漫画」として読んでいたと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか?

青野:うーん……全部フィクションなんですけどね。なかには俺とシズオを同一視している読者さんもいらっしゃるようですが、それは申し訳ないですが誤解です。あえて言えば、“漫画家としての苦悩”を表現するキャラクターとして、シズオが生まれたんです。

——映画では、シズオ役に堤真一さんが起用されています。とても衝撃的でした。

青野:連載途中の段階で20社ぐらいから映画化のオファーがあったんですが、俺は漫画と映画は別物だと思っていたので、恐縮ながらお断りしつづけていたのですが、あるとき、編集者さんが「これだけは読んでほしい」と持ってきていただいた企画書があったんです。そこには、シズオを堤真一さんが演じる、と書いてあった。堤さんは大好きな役者の一人ですし、堤さんがシズオを演じるという意外性のあるもので、「おやっ」と思いました。ただ、「堤さんが本当にシズオ役をやってくれるのかどうか」と不安に思っていたのですが、案に相違して堤さんのご快諾を頂戴しました。原作者の俺が言うのもおかしいですが、映画では漫画のイメージがみごとに覆されていて、楽しい作品に仕上がっています。

——漫画の次回作の予定はありますか?

青野:今年の秋ぐらいから「月刊IKKI」(小学館)でスタート予定です。大げさですが、“構想20年”の物語なので、ぜひ読んでいただければありがたいです。

——川又さんの執筆活動は?

川又:ぼくは常々、小説を書いています。さきほども言いましたが、しこしこと粘り強く。とにかく書くことでしか、小説は生まれないですから。

青野:彼の小説は絶対に面白いですよ。まだ読んでないですけど(笑)。

仲がよすぎて同時にうつ病!?

——『俺まだ』の連載時、川又さんはどうされてたんですか?

川又:ぼくは出版社に勤めていて、雑誌編集の仕事をしてました。ただもういろいろと疲弊して、よく青野氏の家に行って話し相手になってもらいました。まあ、青野氏とは四半世紀にわたっておしゃべりしつづけているんですが。

青野:当時の彼は、会社に寝泊まりする日々が多かったようで、「こじき編集者かよ!」みたいな感じで(笑)。

——体調を崩されたりしなかったんですか?

川又:じつはぼくたち、同時にうつ病になったんです。

——え!? 同時うつ? そんなことがありえるんですか?

川又:あっちゃったんです。事実ですから話しますけど、二人とも精神障害者に与えられる自立支援手帳というのもいただいてます(笑)。

青野:いまだから笑えますけど、一緒に自殺未遂もしました(笑)。

川又:いまこうして三人暮らしをして、男二人でふとんを並べて寝ていますけど、それなりに苦難を乗りこえて生きてきました。まあ、中途半端な苦難かもしれないですけど(笑)。それを乗りこえられたのも、ひとえに菩薩さまのおかげです!

——え? 男二人で寝てるんですか? 奥様はそのときどこに?

青野:菩薩さまは自室で寝ています。俺たち、うつ病でゲイなんで(笑)。

——これ誌面に載りますけど……大丈夫ですか?(笑)。トークライブでもそのあたりの話はされる予定ですか?

川又:7月6日のトークライブでは、さらに濃厚な話をする予定です。僭越ながら、ぼくたちの“生き死に”の問題や人生観、もちろんそれだけじゃなく、笑える話も交えつつ。ぼくたち、子どものころの生育環境、つまり家庭環境がひどくて、茨城でシャバい生活を送ってきて、いまなんとか東京で暮らしていけてるだけでもありがたいんです。そのあたりもトークでは深く掘り下げたいと思っています。

青野:それと、やっぱり三人で暮らすことはなにもおかしなことじゃない、新しい暮らしのあり方も世に問いたいですね。繰り返しになりますが、彼がうつ病になったときに、「うーちゃんと一緒に暮らそう」と最初に言ってくれたのは菩薩さまですし。

川又:菩薩さまは本当に徳が高いんです。

青野:あとは、川又宇弘という人物に興味を持っていただければ……。あくまで俺は79年生まれの二番手なんで(笑)。

——どんな雰囲気のトークイベントにしたいですか?

川又:“場の空気”を壊して新たに創造するのが、ぼくの役割だと考えているんで、空気を乱すかもしれません。そのあたりはご勘弁を!

青野:俺はその乱れた空気を楽しみたいですね。彼は本当に“空気を乱す”のが得意なんで(笑)。俺のことが好きな人は、川又宇弘のこともきっと好きになると思います。

——話は全然変わりますが、川又さんはご結婚される予定はないんですか?

川又:ありますよ。蒼井優と結婚します。(←真顔で)

※と、ここで「蒼井優」に反応した隣のテーブルのおばちゃんがいきなり会話に乱入!

おばちゃん:蒼井優(笑)! 若いんだからそのくらいの勢いがないと!

川又:そうですね。ありがとうございます! 感謝のキスしてもいいですか?(おばちゃんに向かって)

※おばちゃん、無視して新聞を読みふける。

——川又さん、おばちゃんにキスしてどうするんですか(笑)? さて最後になりますが、二人の全力のトークライブ、とても楽しみです。

川又:いや本気出して生きてるんで、やっぱりおばちゃんにもキスしないとなにもはじまらないじゃないですか! そういった姿もイベントでは披露させていただくので、ご来場いただければ幸いです。本気かつ本音でトークします。じゃないと、おもしろくないですから。

青野:我々は寝るときですら全力ですから(笑)。



商品情報
『俺はまだ本気出してないだけ』 2013年6月15日公開

出演:堤真一/橋本愛/生瀬勝久/山田孝之/濱田岳/指原莉乃/水野美紀/石橋蓮司
監督・脚本:福田雄一

原作:青野春秋・小学館/2013「俺はまだ本気出してないだけ」制作委員会
6.15(土)本気出してロードショー!


ライブ情報

濃厚談話室!!青野春秋と川又宇弘の「マリリン・モンロー・ノーリターン」
2013年7月6日(土)新宿ロフトプラスワン

OPEN 18:30 / START 19:30
前売 ¥1,500 / 当日 ¥1,800(共に飲食代別)
前売りチケットはローソンチケット【Lコード:38670】
またはロフトプラスワンWEB予約にて受付中

【出演】
青野春秋(漫画家)/川又宇弘(無職)
荻野克展(「ビッグコミックスピリッツ」編集部/小学館)
神村正樹(「IKKI」編集部/小学館)
鈴木敦子(「野性時代」編集部/角川書店)


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