ラップ越しにファンとキス、ラブホテルでのオフ会、田代まさし氏出演のMV公開など、ときに炎上も辞さない企画を連発し、結成1年少々ながら話題が尽きないアイドルグループ、THE BANANA MONKEYS。彼女たちはいったいどこを目指しているのか。仕掛け人である運営の三川陸、林田浩作、そして唯一のオリジナルメンバー・天下のちゃんゆきの3人に、結成の経緯やこれまでの炎上企画、今後の野望などを語ってもらった。[interview:前田純三]
メンバーの募集要項もコンセプトも丸パクリ!
──三川さんと林田さんはどのように出会ったんですか?
三川:僕がもともとアイドルのウェブメディアをやっていて、当時、サークルをやってた林田さんが「一緒に企画をやりませんか」って仕事の依頼をしてくれたことがきっかけですね。
──それからバナモン結成の話になったのは?
三川:僕はずっとアイドルを作りたかったんですけど、お金がないと始められないと思っていたんです。でも林田さんに地下アイドルのことを教えてもらって、意外といけるんじゃないかって。それでオーディションサイトに片っ端から送って、メンバーを集めました。募集要項はゆるめるモ!の丸パクリだったんですけど。
天下:「AKBを超えるアイドル」って書いてあって、騙されて応募しました。ホームページがめっちゃしっかりしてたんですよ。あと運営さんのコメントがすごく良かったので、この人たちが作るアイドルだったら絶対に売れると思いました。それからずっと洗脳されっぱなしですね。
林田:コメントは、はてなブログからコピりました。
天下:えー!!(笑) でもめっちゃ良かったんです! 「僕の夢は芸術で世界を壊すことだ」みたいなことが、ばーっと書いてて、かっこいいって。私、バナモンはWACKのオーディションの滑り止めで受けたんですよ。向こうも1次審査は受かってたんですけど、次の審査の日がバナモンの顔合わせの日とかぶっていたので、こっちを選んだんです。バナモンのほうが売れると思って...。
三川:当時、彼女はまだ地元の熊本にいましたからね。
天下:学生だし、未成年でめっちゃ反対されていました。勝手に東京に出てきたので、捜索願も出されかけて。
林田:3人で熊本の空港まで説得に行ったんですけど、修羅場でしたね。とりあえず僕らが下手に出て、「子どもさんを勝手に預かってすみませんでした」って謝って。手が震えましたね。
三川:天下のお父さんがめっちゃ怖くて。殴られるのを覚悟してました。
林田:ポケットに手を突っ込んだまま、まったくしゃべらないんですよ。後から話を聞いたら、思ったより我々が若かったので、こいつらに任せて大丈夫かって不信感があったみたいです。それで威圧的な態度を取られて。
三川:「1年で結果を出すから」って話したら最終的に親も納得してくれて、天下は上京してきました。
──グループ名やコンセプトはどのように決まっていったんでしょう。
三川:動物と食べ物の名前を入れたくて、「バナナモンキー」って案が出てきたんです。それで「イエローモンキー」みたいだなと思って、THEを付けました。コンセプトは僕の気分ですね。定まってないほうがおもしろいと思って、毎回適当につけていました。
──現在のコンセプト「世界中を感動の渦に」は?
三川:これは林田さんが考えたんですよね?
林田:いや、ニジマス(26時のマスカレイド)のホームページに書いてあったのをパクりました。
──(笑)。作曲をしているJ.K≒3.0[oyoso3]さんはどのように出会ったんですか?
三川:ネットで探して知ったんですけど、最初からずっと頼んでいますね。2017年3月にお披露目ライブが決まってたんですけど、オファーしたのが2月で、1曲しかできなくて当日を迎えました。それから1カ月は「ヤマトナデシコ」って曲だけでしのぎましたね。5月に下北沢WAVERでやった初ワンマンのときに、やっと3曲になった。
──メンバーの心は折れなかったんですか?
天下:1stワンマンは大丈夫だったんですけど、7月の中野heavysickZEROでのプレ2ndワンマンは地獄でしたね。このときは持ち曲が4曲あったのに、「賽は投げられた」って曲ばっかり15回やって、だんだんオタクの顔が険しくなっていくのがステージからわかりました。途中で出ていく人もいて...。
あぐらかいてるやつらを潰して業界を作り直す!
──炎上商法みたいなことをやり始めたのは?
三川:4月に新木場でやったライブで、無銭の「バナナ食べさせ会」をやったんですよ。メンバーがオタクにバナナを食べさせるだけっていう。これが最初ですかね。
天下:そのあとは、ラップ越しキスまでなにもなかった。
三川:だから苦しい時期でしたね。キス企画は11月で、24時間で5本企画をやるっていうやつの1本目でした。路上でナンパして、多くの人とキスしたほうが勝ちって。
天下:ラップやアクリル板があるから抵抗はなかったんですけど、私は当時センターだったかわいい子とペアになって、みんなそっちとキスしたがるからマジつまらなくなって帰りたかったですね。ずっとカメラマンをやってた。
三川:そのあとは童貞告発かな。
天下:運営が全員童貞なくせにセクハラしてくるっていう告発文を書かされて、バレンタインの日にアップしました。
林田:でも割とシリアスに捉えられちゃったんですよね。
天下:本当に心配して、ほかのグループに移籍したほうがいいってリプをくれた人もいましたね。
──結成1年ちょっとながら、オリジナルメンバーは天下さんだけ。
三川:僕のことが嫌いすぎて、みんな辞めていくんですよ。だからメンバーのメンタル管理は全部林田さんに任せています。
天下:最初のリーダーが三川さんとケンカして、グループLINEに「は?」って送ったら、三川さんが「は?じゃねーよカス!」って送ったんです。それが一時期グループ内で流行していたんですけど、その子は次の日のライブをドタキャンしちゃいました。
──3月に新宿LOFTでやった1周年ワンマンで現メンバーが揃いましたが、この日は200人くらい動員があったそうで。
三川:この頃は11〜12曲くらいあったので、ちゃんとしたワンマンになりましたね。
天下:いまのメンバーになって、やれることの範囲が広がった気がする。最初の3人は年齢も若かったし、やりたいことと違うって感じだったので。
──より炎上企画もやりやすくなった。
三川:でも最近は全然炎上しないんですよね。「牛乳ぶっかけ会」とか「ニベア塗り会」とか、カブトムシを食べたりっていうのをやったんですけど。
天下:1万RT目指すって言ったのに、200くらいしか行かなくて。
三川:キスと童貞は1000くらい行ったのに。最近バズらせようと思って企画することが多くて、それだとうまくいかないなって気づいたんです。狙うとバズらないし、熱狂も生めないから、これからはやりたい企画をどんどんやっていこうって話していますね。
──もっと熱狂を生んでいきたいと。
三川:クソと感動の両立というか。僕、『ワンピース』が好きなんですよ。マインドが海賊なので、つい悪さをしちゃう。でもなにをしでかすかわからなくて、放っておけないような存在でありたい。良くも悪くも、THE BANANA MONKEYSは三川陸のことなんですよ。『ワンピース』で言ったら、僕が尾田栄一郎、天下がルフィで、林田さんが集英社の一番偉い人なんです。
──最後に、今後の野望を聞かせてください。
天下:いまは炎上のことばかりで取り上げられるけど、やっぱりライブパフォーマンスとかも取り上げられるようになりたいですね。
林田:もっと純粋に音楽が好きな人に聴いてもらいたいです。30代前半くらいの、むかし青春パンクやアイドルが好きだったような人たちにもう一度聴いてほしい。
三川:グループとしては武道館に行きたいですね。ただ顔がかわいいだけで売れているグループと、僕らのような茨の道を歩いてきたグループだったら、時間はかかるかもしれないけど最終的に勝つのは僕らですよ。アイドルって、上があぐらをかいてる文化じゃないですか。そこに麦わら海賊団がつっこんでいく。あぐらかいてるやつを一人ずつ潰していって、業界を作り直します。
(Rooftop2018年8月号)