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トップインタビューDEATHRO - J-ROCKの復権を目指すKEN-O No.1ロックヴォーカリストDEATHROが待望のニューアルバムをリリース!

J-ROCKの復権を目指すKEN-O No.1ロックヴォーカリストDEATHROが待望のニューアルバムをリリース!

2018.07.02

 神奈川県県央に生まれ育ち。ハードコアパンクバンドANGEL O.D.〜COSMIC NEUROSEを経てソロシンガーとしてのキャリアをスタートさせて早2年半。約1年半ぶりとなる2ndアルバム『NEUREBELL』をリリースするDEATHROに、ニューアルバムについての話を訊いた。[interview:藤原翔(Naked Loft)]

今ある痛みを描いたアルバム

 

----まず前作のシングル以降の動きについて聞かせてください。

DEATHRO(以下、D):あのシングルの時点で、ある程度曲は揃っていたんだけど、バンドメンバーの動きを見てレコーディングのタイミングを伺っていて、録音自体は3月丸々を使い1stの時の2倍の時間をかけて録音しました。エンジニアの鈴木歩積くん(told)も一緒に作業するのは初めてだったので、アイデアを共有しながら録音を進めた感じです。

----今回のアルバムの曲をかなり早い段階からライブで披露していましたが。

D前作のアルバムがライブで1度しか披露してないままレコーディングを敢行した曲が多数あったので、ライブでメンバーとノリを合わせてからレコーディングに入りたいなと思っていて。反面、「INNOCENT COULEUR」「FLOWERS」は全員で合わせたことがないまま録音しました。

----タイトルが以前のインタビューでは、『INHUMANITY』になると言っていました。

Dそのタイトルで行こうと思ってたんだけど、もう少しポジティブな感じが欲しいと思ったときに出てきたのが、『NEW REBEL』で。ただ英語表記だと面白くないのでドイツ語の表記の、『NRUREBELL』にしました。曲のタイトルも英語やフランス語、日本語のタイトルなので多国籍なイメージ。多様性という意味も込めてます。後付けですが(笑)。

----前作よりも歌詞の内容がシリアスな感じがしました。

Dシリアスだし、自分で歌詞カードを見返しても投げっぱなしの歌詞が多いなって(笑)。バンド時代とか前作とかは、「こういうことがあってもそれでも自分はこうしたい」って内容が多かったんだけど、今回は、「今はこうなんだ」というので終わってる表現が多い。今ある痛みや今が良くないっていうことを正面から歌いたかった。これを乗り越えた過程や先を歌うんじゃなくて、今が痛いんだっていうことを表現したかった。

----アルバムのラブサイドとシリアスサイドが分かれてます。

D前半と後半で分かれてるのは、問題提起編、解決編みたいに分けるのが好きなんだよね(笑)。レコードのA面B面みたいな。

 

自分が聴いてきた音楽をやっと理解出来てきた

 

----前作のローファイさと打って変わってハイファイな音質になりましたね。

Dそうですか!? 嬉しいです! ありがとうございます(笑)。この1年で自分が聞いてきたJ-ROCKとかの音作りやプロセスを理解出来てきたというのがあって、前作は音作りもバックのメンバーに任せていたけど、ここ最近のライブとか今回の録音は、自分がサウンドプロデューサー的な立場だし、ガラッと変わったのは自分が揃えたフェルナンデスの楽器やら、DOD、DIGITECHのエフェクターとかを使ってもらってるのがデカいかもしれないです。あとは今回のエンジニアの鈴木歩積くんとの相性が非常によかった。こんなにやりやすかったのは初めてぐらいの感じで。あと単純に時間をかけて詰めるところを詰められたのが大きくて、前作は2日で10曲詰め込んだんで(笑)。

----2日で! (笑) マスタリングの影響は?

D前回と同じPEACE MUSICの中村さんに頼んで、その人のマスタリングは30分で終わっちゃうんですよ。

----えっ!

Dやっぱり録る前が重要なんだなってのを学習して、若い頃は録る時にエンジニアの方にこういう音にしてくださいって頼んでたんだけど、そもそも録音前の時点で音を近づけないといけないんだなってすごく思いました。マスタリングでできることはそこまで多くないんで。今回は昔の、「バンドやろうぜ」とか、「GIGS」とかの切り抜きとかを集めて自分が聴いてたバンドの使ってる機材を見て、本人たちとまるっきり同じ機材を集めるのは無理だけどその中でも自分が集められる機材を揃えて、音を聴いてきたものに近づけたってのが前よりも一歩進んだかなって。

----今回、「SLEEPLESS/RHAPSODY」を再録してます。

Dやっぱり前の録音との差が出るのもあるし、1年間のバンドの成長を見せられればと思って。

----歌い方の変化も感じられました。

D今回はエンジニアの歌唱指導もあって、母音を意識したり、ブレスの取り方とか結構いろいろ指導されて。自分自身も成長できたと思いました。兄の幽閉akaZERO磁場には宇都宮隆みたいな歌い方って言われて(笑)。

----感情を込めるというよりきっちり歌い上げているように感じました。

D自分はピッチが合ってるのと感情をこめなきゃいけないって思い込んでるところがあったんですけど、エンジニアに、ピッチや感情を込めるより言葉とリズムの合わさり具合を意識したほうがいいと言われたんです。新鮮な考え方でしたね。

----ゲストミュージシャンを使ってみようかとは思わなかったですか?

D全然、思わなかったですね。自分が聴くのはゲストが参加している作品が好きだったりするけど、自分がやる分には聞かせどころをブレさせたくないってのはあったかもしれないです。

----なるほど。

Dこんな硬い話ばっかりで大丈夫ですか? もっと好きな食べ物の話とか休日の過ごし方とか、「MYOJO」みたいな感じで(笑)。

----(笑)。それでは休日の過ごし方を教えてください。

Dハードオフとデジマートを逐一チェックして掘り出し物がないかチェックしてて(笑)。今、メンバーが使ってる楽器もそこで調達してます。ライブのMCでもブックオフの280円コーナーにあるような音楽ってよく言ってるんですけど、やっぱり郊外に葬り去られたテクノロジーで、21世紀の今に一石を投じるってのを意識しています。

 

ひどい状況でも理想を捨てたくない

 

----前作はオルタナ/グランジを参照にしたと言っていましたが、今作を作るに当たって参照にしたものは?

D前作の制作時はソニックユースやセバドーばっかり聴いていたんですけど、今作は自分の昔から聴いてきたものを真っ直ぐ忠実に出そうと思いました。強いて言えばスミス感を出したつもりです(笑)。

----音楽以外でアルバムに影響を落としたものはありますか?

Dこの2年ぐらいであった出来事には影響を受けているかなという感じはあります。自分の地元で起きたやまゆり園の事件や、自分が介助で関わっていたDEATHRO FUNCLUB名誉会長のマツケンさんが亡くなってしまったのも大きかったですね。それを乗り越えるために今、沈んでる部分をそのまま表したかったというのはあります。DIR EN GREYさんのライヴを観たラジオのDJの方が、「沈んだ中から見るぼんやりとした光っていうのが、明るいところで見る光よりも希望を持って見える」というようなことを言っていて、そういう情景を表したかったですね。

----アルバム最後の流れとか、そういう感じがしますね。

D「FLOWERS」は、そういう状況でも自分の理想を捨てたくないなって思って作りました。現実に戦争はあるし、理想に生きていたりすると馬鹿にされたりするけど、自分としては馬鹿にされても綺麗事を信じて生きたいなって。最近、思っているんですけど建前って悪い意味で使われることが多いけど、建前でうまくいくんだったらそれはそれでいいのかなって。

----そうですね

D心でどうこう思っちゃうのはその人の自由だけど、公の場で考えもなくポロっと漏らしちゃう人が多すぎる気がするんですよね。突っ込まれたら突っ込まれたで逆ギレしたり被害者ぶったりとか。もう少し心に留めておいて、言うなら覚悟を持って、最悪、敵を作るつもりで言わないとって思うんですよ。想像力が欠如しているのかなって。暗い話ばっかりになっちゃいますね(笑)。

----PV作成の予定は?

D今の所、予定がなくて。前回のシングルで発表した、「SLEEPLESS」と「RHAPSODY」のPVがあるのでみんな何回もそれを見てもらえれば(笑)。

 

ゴールはパルテノン多摩大ホール

 

----「SUBURBS」に続いて、「MEGAROPOLIS」で出身地県央のことを書いてます。

D県央を含めた郊外のことを歌詞にするのはスラスラかけますね(笑)。でもそういう場所を揶揄してるんじゃなくて、それが普通に現実としてあるっていうことを描いてます。

----今回は歌詞にイオンモールのような単語は出てこないですね。

Dパンチワードみたいなね(笑)。ちなみに、「SLEEPLESS」のPVを撮った跡地がイオンモールになってました(笑)。

----郊外のことはこれからも歌っていきますか?

Dそうですね愛憎入り交じる感じもあるんだけど、結局そこでしかやれないから歌って行くと思います。日本の8割はそういう場所だとも思うし。

----ツアーも始まります。

Dそうですね。今回は発表されているのは7箇所なのですが、北海道とか九州、沖縄にも行きたいのでルーフトップをご覧の方はぜひお呼びいただければ(笑)。あと、いずれ郊外だけを回るツアーをやりたいですね。もちろんツアーファイナルはパルテノン多摩大ホールで。俺のゴールはそこかなって(笑)。なので、パルテノン多摩大ホールに立つときまで応援して欲しいですね。

----最後ファンに向けて一言お願いします!

Dいつもこんな神奈川の片田舎で、思い込みだけで活動している僕の作る音楽に共感してくれたり、盛り上がったりしてくれてありがとうございます。みんなのことは絶対に裏切らないので付いて来てください! こんな感じですかね(笑)。

 
(Rooftop2018年7月号)

 

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