Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー口枷屋モイラ - 「フェティッシュ・オタク・アート」を軸にノンジャンルに活動

「フェティッシュ・オタク・アート」を軸にノンジャンルに活動

2018.07.02

 フェティッシュでポップでキャッチー。フォトグラファー/デザイナーであり、ポートレートでは自らモデルを務める口枷屋モイラとは一体何者!? セルフプロデュースの一人者? コスプレ引退後はプロデュース業に勤しむ、アイディアだらけの脳内を探ってみました。[interview 野口結生(LOFTPLUSONE)]

口枷屋モイラとは何者?

モイラ:近年はアパレルデザイナーとしての活動が多くなってきましたが、カメラマンとして個展を開いたり、コスプレイヤーとしてコミケに出たりと多方面で多角的に活動していました。ロフトでは球体関節ストッキングデザイナーの上野くんと開催していたサブカルチャーを語る「ナードな茶会」や、 「ふんどし茶屋美尻庵(びじりあん)」を開催させていただきました。

―昔、モデルとして表に出ていたモイラさんがこうやって企画の裏方の人になっているというのがおもしろいなと思って、その流れというか歴史を伺いたいです。

モイラ:作品だけ見ると承認欲求の塊! 的な自己愛バリバリのキャラクターに見えるかなとおもうんですが、もともと表には出たくなかったんですよね。小さい頃からアイデアがとにかくいいと周囲から褒められることが多くて。好奇心の鬼なので作ることなら何でもやってみたく。専門学校や芸大には行ってないんですが、学生時代から写真や映像の制作を自力で始めました。そういう学校の良いところって横の繋がりが出来るところだと思うんですけど、私には繋がりがなかったので、ずっと一人でやることになっちゃって。一人で黙々と資料を集めて企画出しをしている時が一番ワクワクしました。 思いついたら自分でやるしかなくて、『口枷少女モイラちゃん』というキャラクターも、「他に頼める人いないもんなぁ」というぐらいの腰の重さでスタートしました。

―私がはじめてモイラちゃんを見かけたのが 10 年前のデザフェスでした。その当時は、オリジナル創作で、しかもセルフプロデュースをしている女の子はいなかったので、印象に残って いました。

モイラ:関西出身なので東京のイベントがよくわからなくて。デザフェスとコミケだけは知っていてその2つにでました。二次創作が殆どのコスプレジャンルにオリジナルで参加したので、肩身が狭かったですね(笑)。でもしぶとく出続けて、沢山の方と知り合うことができました。あの時デザフェスで見ましたって人からいまだに声を掛けられます。意外にそれが今の仕事の繋がりになっていたり、影響を受けましたといってくれる女の子がいたり。一人で出展するにはハードルの高いデザフェスですが、今となっては出てよかったなぁと思いました。

―セルフポートレートも撮られていますが、それはいつからですか?

モイラ:16、17歳くらいからですね。もともと風景をフィルムで撮っていたりしたんですが、人を撮るようになって。高校からセルフポートレートは撮っていました。ちなみに当時の作風は今と全然違っていて、耽美・ゴシック系でした。東京に出てきて今のようなフェティッシュ中心の作風になったんですが、「東京に行っておかしくなった」と言われました(笑)。当時から今に至るまで、三脚を使ったセルフポートレートなので、モデルと名乗ったことは一度もなく、一貫してフォトグラファーと名乗っています。なんでも自分一人で作ってきましたから、モデルもカメラマンも全部自分で務めただけでそこには強い思想や自己愛はありません。

―モイラさんの作品はエロいけどポップで、男性にも女性にもファンがいるように感じます。

モイラ:イベントやターゲット層によって、多方面に作品の趣向を変えて、ノンジャンルにやりたいことをやってるんですけど、「フェティッシュ・オタク・アート」は軸にあります。 結果、濃いめのサブカルチャーアーティストとして認識されているのかなと思います(笑)。

―表舞台から裏舞台に主軸を移してきた経緯はなんだったんですか?

モイラ:衣装やアクセサリーなど自身のブランドに力を入れるようになったので、そちらをメインでやるようになりました。セーラースク水とか。セーラースク水はもともと既製品だったんですよ。ただ販売が終了していて、何故か私のところにどうにかしてくれないかという要望があったんですね。それで製造に問い合わせて、販売の許可を頂いたんです。それとともに、昔から作りたかった学ランスク水や体操服ワンピだったり、いろんなコスチュームを開発するようになりました。嬉しいことに海外からの問い合わせも結構来ますね。ブランドも、やっぱり全部一人でやっていたので、手が回りきらなくなっちゃって。あとは自分の役目が一旦終わったのかな? と思いました。オリジナルキャラクターを三次元で表現するのが大好きだったんですけれど、今はそういった活動をする方も充分に増えましたし。あとは見て楽しもうかな〜! と(笑)。そろそろアイディアだけを出す時期なのかな、と。なのでモイラちゃんシリーズも人に譲ろうとしていました。二代目モイラちゃんと言って。

―そうでしたね。結局企画倒れになっちゃいましたがロフトで二代目モイラちゃんを探すオーディションイベントやろうよってなりましたよね(笑)。

 

尻を眺めて酒を飲む「美尻庵」

モイラ:美尻庵もすごく前から温めていた企画なんですよ。おそらく検索したら出てくるけれど 2013 年頃にツイッターで呟いているかな...。構想期間5年くらい。いろんなコンセプト系のお店に行った時に、自分のフェティッシュも爆発させたい! と思いました。素晴らしい肉体を見ながら飲むお酒はおいしいんじゃないかと...。前回ネイキッドロフトで開催したときは盛況で良かったです。次回 8 月にロフトプラスワンで開催する際には、お客様から要望のあった催しものを考えています。会場も広くなったので、大尻相撲・夏場所とか(笑)。キャストの人数を増やして、一般公募も始めました。お尻に自信のある方を求めております!

―今、お尻押しのモデルさん増えてきましたよね

モイラ:時代の流れというか、直接的に性的ではなく、パーツを愛でることが許されてきたと思うんですね。そういう系の写真集が毎月のようにリリースされていますし。エロスそのものずばり、というよりかは、一歩引いて眺めていたいっていう需要も増えたんだと思いますね。 進化論的にいうとなんですけど、もともと人間は四つ足だったので、異性のお尻が目の前にくるじゃないですか。だから胸よりもお尻が本来のセックスアピールなんじゃないかって。二足歩行になったので胸に目が行くようになったけれど本当はお尻こそが...っていうことをきっと三嶋さんは言うんだと思います(笑)。

―今回、尻といえばということで画家の三嶋哲也さんが美尻庵のトークにゲストとして出て下さることになりましたね。 美尻庵はお尻が好きな方がいらっしゃるかと思うので、三嶋さんのお尻トーク楽しみです。 前回よりも尻感強めでいきたいですね。

モイラ:あと今、陸上のウェアのコンセプトカフェもやってみたいんですよね。健康的な肉体を目から摂取するとむちゃくちゃ元気になりそうじゃないですか? でもやっぱり体系も含めて衣装なので、現役で走ってる方に着て頂きたいし、そうなると走っているところを見たいし、イベント中は店内をずっと走り回ってないといけないから無理かな(笑)。

 
(Rooftop2018年7月号)

LIVE INFOライブ情報

8/17(金) LOFTPLUSONE 「ふんどし茶屋 美尻庵 弐」

OPEN 18:00/START 18:30

前売りは e+にて近日中に発売開始

詳しくは twitter:@bijirian

口枷屋モイラ twitter : @mekemon

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