お菓子メーカー「オリオン」、その戦いの歴史......
―本日はよろしくお願い致します。オリオンさんには、今年の5月5日にイベントを開催していただきましたが、それはどんな内容だったんですか?
高岡:主に裁判の話やから、紙面ではあんまり言われへんね。
―えっ、裁判の話をされてたんですか?
高岡:ウチはパロディ商品を作ってるんで、怒られる時はホンマに怒られるんですよ。
―その顛末をイベントで喋ったと。それって会社のイメージ的に大丈夫なんですか?
高岡:まぁ、実際にあったことやからねぇ......。
―えらいあっけらかんとしてますね(笑)。これまでどんなことで揉めてきたんですか?
高岡:一番有名なんは、「ミニコーラ」の裁判やね。パッケージが似てるって理由で、ある会社から訴えられてね。1980年に始まって、10年くらいずーっと揉めてて。なんとか勝ったけど、結審された頃にはもう平成になっとたね。
―こどもの日にこんな大人の事情の話をされてたんですね(笑)。他にどんなことがあったんですか?
高岡:X社の商品をパロディにしたお菓子を出そうと思って、一応X社に、「良いですか?」って申請を出したんですよ。でもこっちの商品が面白くなかったのか、結局実現できなかったですね。他にも、ウチが権利を取ったキャラクター商品があまりにも売れたから、大きな会社に目をつけられて、そのまま商品化権を横取りされたこともありますし......。もう、ずっとそんなんです。
―パロディ商品を発売する上で、気をつけてらっしゃることはありますか?
高岡:同じ売り場に並べたらアカンわな。だからうちらは、お菓子のパロディはやってないんです。
―なるほど、競合してはいけないと。ちゃんとポリシーがあるんですねぇ。
次に訴えられるのは、この商品かもしれない!
―オリオンは年間で、どれくらいの新商品を出されてるんですか?
高岡:年に10個くらいやね。昔は月に5個くらい出しとったと思うけど。
―「こういう企画はNG」って取り決めはあるんですか?
高岡:NGはないよ。まぁ、どんな企画でもとりあえず発売して......。
―とりあえず発売するんですか(笑)。
高岡:それで怒られたら謝ろうと。
―もうなんか貫禄を感じてしまいます......。今、イチオシの商品は何なんですか?
高岡:最近やと、「my QOS(マイコス)」(写真①)やね。
―これは「IQOS」のパロディですね(笑)。舞妓さんが描かれてます......。
高岡:これは外国人観光客向けの商品です。
―京都とかで売ってたら買っちゃいそうです。他にはどんな商品がありますか?
高岡:ウチじゃないんやけど、こういうのも出てるんですよ(と写真②の商品を取り出す)。
―「作って遊べる! 自動販売機」なんですか? これは?
高岡:これを作って自動販売機の仕組みを知ろう、っていう工作キットですよ。これ自体は別の会社の商品ですけど、お菓子は付属してないので、これで遊ぶにはうちの商品を買わんとダメなんです。素晴らしいコラボでしょ?
―よくできたシステム(笑)。反対に売れなかった商品はあるんですか?
高岡:ありますよ。新耳袋とコラボした「新耳袋ラムネ」は、怖すぎて売れへんかったですし(笑)。カップヌードルごはんが流行った時に、こんなのも出したけど売れへんかったねぇ......(と写真③の商品を取り出す)。
―えー、これ売れなかったんですか? クオリティは高いんですけどねぇ。
高岡:あと商品やないけど、こんなんもありますよ(と写真④の商品を取り出す)。
―んっ? ミニコーラに女性が描かれていますね......。
高岡:テレビ番組で、橋本マナミがうちの会社へ来た時に作った「マナミニコーラ」です。
―えっ、たったそれだけのために作ったんですか?
高岡:そうです。ロケのために、わざわざ散髪にも行ったし。
―スゴい力の入れようですね(笑)。さて、7月24日(火)に当店で再びイベントを開催していただきますが、イベントはどんな内容になりそうですか?
高岡:今、駄菓子アイドルを作ってるので、その話をしたいですね。
―駄菓子アイドル?
高岡:オリオンとコリス株式会社(フエラムネシリーズなど)、チーリン製菓(カギっこチョコや様々なプチシリーズなど)、トップ製菓(テレビ番組やゲームで大人気キャラクターとのコラボ製品など)、中野物産株式会社(都こんぶなど)、パイン株式会社(パインアメなど)と共同で、「da-gashi☆」っていうアイドルを作ってるんです。イベントの頃には、もう結成してるはずなんで、その話もできると思います。プレゼントも豪華にして、お客さんに喜んで帰ってもらえるようにするので、ぜひ来て欲しいです。
写真➀「myQOS」
こちらは大人向けの商品で、味は「脳天直撃ミント味」。シガレット1本でフリスク10個分の量があるので、食べ終わったあとの口のスースー具合がスゴい。
写真②「作って遊べる! 自動販売機」
商品には「緊急時に役立つ自動販売機の豆知識」「おもしろ自動販売機」「自動販売機の歴史」などが書かれたミニ図鑑が付属しており、普通に大人も楽しめる仕様になっている。
写真③「ラーメンごはん」のパロディー商品
あまり売れず現在は販売されていないこの商品。社員さんから説明を受けている時に、「僕らはどの商品も売れると思って作ってんですけどねぇ」という本音がポロリ。どの商品も本気で作っている製作者の矜持を感じた。
写真④「マナミニコーラ」
これ以外にも橋本マナミがプリントされた、キシリ○―ルならぬ「ハシモトール」という商品も作られていた。