みんなでツッコミながら楽しむ作品
――プレミア前のアメリカの反応はどういった感じだったんですか。
水﨑:トレーラーを出した時にアメリカの人にも、「これニンジャじゃなくて侍だ」って書かれてました。でも、「日本人は頭がおかしい」という褒め言葉をもらえました。
――最高ですね。
水﨑:あと、アメリカのファンには、日本人がちょっと間違えて作ったというズレもあったほうが面白くなるのかなとも思っていて、そう言った部分もあえて盛り込んで制作しました。
――確かに海外の人が作った日本原作作品だと、そういう面白さもありますね。
水﨑:君たちは日本をこうだと思っているでしょ、という部分をさらに膨らませて返した感じです。もともと、バットマンはコミカルな部分も多い作品なので、僕はそこをやりたかったんです。
――コミックですからね。アメコミは一つのタイトルを複数のクリエイターがそれぞれの解釈で描くのが一般的なので、アメリカの方は作品に新しい解釈が入ることに肝要ですね。
水﨑:そうですね。
――PVだと最後に巨大なものも出てきて。
水﨑:でかいものが出てくるんです。ただ、予想がつかないと思います、あの更に先があるんです。そこが海外でも評価されている部分だと思います。
――あの先があるんですか。
水﨑:お客さんを置いてけぼりにする勢いで、いろんな要素を盛り込みました。
――映画はそれくらいでいいですよ、TVと違って繰り返し見ますから。
水﨑:今作に限らず、神風動画の作品は見返してツッコミながら見てもらえるように作ってます。それが今のアニメの楽しみ方でもあると思うんです。海外の記事でも、SNSでみんなでツッコミながら楽しむ作品だと書かれていました。
――確かに今はSNSで感想を共有することが楽しみ方の一つですね。
水﨑:なので、映画の中ではボケっぱなしです。
――神風動画はボケなんですね。
水﨑:はい。僕は、「ポプテピピック」っぽいと思っています。あの魂はここに引き継がれているんだなと。
――自分で言いますか(笑)。
水﨑:アメリカで怒られるかと思ったんですけど、そんなことはなくて安心しました。
途中でやめようかという意見も出たくらいで
――制作している側はそうなりますよね。バットマンというタイトルが大きいですから。
水﨑:どの案件でも思いますよ。特に原作のある作品ではファンに向けての要素を残さないと、ってなりますから。
――自由にやっていると言いながら、さすが神風動画。締めるべきところはきっちり締めて。
水﨑:一歩踏み外していたらやばかったです。途中でやめようかという意見も出たくらいで。
――そうなんですか。
水﨑:ただそれをしてしまうと、関わってくれたスタッフの人生を不意にしてしまうことになり、一番やってはいけないことだと思っているので、駆け抜けました。
――さすが、「妥協は死」の神風動画。
水﨑:この社訓に助けられました。今回は特に散る覚悟でやりました。この社名も、この一発で終わってもいいと思うくらいの意気込みを込め作品を作るという意味もあるんです。だから、今回の話をもらった時にここだと思ったんです。なので、社名の伏線も回収できました。もう社名を変えてもいいかなと(笑)。
――流石です。ただ、社名は変えないでください(笑)。
水﨑:分かりました。ただ、こんな感じで先陣切っている人間が狂っているので、スタッフには苦労をかけてしまいました。最初に、「ごめん、脱落する人も出てくると思う」という宣言のもとにやった形なので、スタッフは大変だったと思います。
――命がけですね。現場は大変でしょうけど、この姿勢で制作していただけるとファンとしてはありがたいです。
水﨑:あと、今は結果を待つだけですね。この先も残ってくれる作品になることを祈るばかりです。
――熱い話ありがとうございます。公開が楽しみです。