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水﨑淳平(アニメーション監督)(Rooftop2018年5月号)

 アメコミヒーローの超大作『バットマン』の映画の新作が、日本を舞台に日本人クリエイターたちの手によって制作された。タイトルは『ニンジャバットマン』とシンプルながらインパクト絶大。制作を担当するのは『TVアニメ "ジョジョの奇妙な冒険"OP』、『COCOLORS』、『ポプテピピック』と話題作を連発する"神風動画"。ファンのみならず期待値が高まるこの作品はどのように生まれたのか。その一端を伺いました。[interview:柏木聡(Asagaya/Loft A)]

世界観を壊さず日本人らしさを盛り込んで

――まず「ニンジャバットマン」というタイトルがインパクトありますね。

水﨑:タイトルの出オチ感もすごいですよね。舞台もジョーカー町(城下町)ですし(笑)。

――そういうシャレが(笑)。

水﨑:中島かずきさんがおっしゃられてました。完全に僕らの中だけの設定ですけどね(笑)。

――いいと思います(笑)。更にいま注目の神風動画が制作を担当されていますから、楽しみです。そもそも何故、日本で制作されることになったのですか。

水﨑:世界中で人気のキャラクターや設定を使った日本制作のアニメをやってみよう、という話からスタートしたそうです。今作のプロデューサーの里見(哲朗)さんとは以前ご一緒させていただいたことがあって、「今回も是非に」とお話をいただきました。

――今回は、監督を水﨑さんが担当されているということでも驚いているんです。神風動画代表ということもあって、今は監督業からは一歩引かれていた印象があったもので。

水﨑:道を示すという意味でも、最初の道を開くということは僕がやるようにしているんです。

――素晴らしいですね。制作に関わられているスタッフの皆さんも、さすがの水﨑人脈だなという豪華な面々で驚きました。監督がいっぱいいるので、陣頭指揮をとるのはなかなか骨が折れそうだなと。

水﨑:無理な人は呼んでいないつもりです。パートの采配には気を配りましたけどね。

――脚本はアメコミ好きで知られている中島(かずき)さんですが、水﨑さん自身もアメコミにはお詳しいんですか。

水﨑:僕はそれほどでもないです。中島さんや(ロマのフ)比嘉さん・岡崎(能士)さんはすごいですから。里見さんは、「思い入れが強い人ばかりだと、ファンには響くけどそれほど詳しくない人には受け入れてもらえないんじゃないかな」と思ったそうで、あえて僕に任せることにしたみたいです。

――確かに濃いファンだけしかついてこられないのでは、作品としては良くないですからね。

水﨑:ただ、見た人に、「これはバットマンじゃないな」と思われるのはまずいので、そこは気にしつつ多くの方に見てもらえるように制作しました。

――それはもちろん。

水﨑:なので、現代から戦国時代の日本にいく掴みとなる最初のパートは、絵コンテを比嘉さんに担当していただきました。パート演出は高木(真司)さんです。演出は後半に進むにつれて、中島さんの脚本が猛威を振るうので、そうなっても大丈夫なように最初の土台をしっかりと作ってもらいました。

――確かにこれだけの作品ですと、お約束も含めて抑えておかないといけませんよね。今作は国も変わって、日本が舞台ですが、それは日本で制作をするということで最初から出ていた案なのですか。

水﨑:そうですね、日本らしさを表現するにあたって舞台を移したほうが良いのではということで日本の戦国時代になりました。舞台も含めて、設定交渉の堺(三保)さんに我々の打ち合わせを見ていただいて、ジャッジしてもらいました。今までのバットマンの前例をベースに世界観を壊さず日本人らしさを盛り込んで、中島さんがなるべく全力でスイングできるように広いエリアをとって制作しました。

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「郷に入れば郷に従え」

――PVでは「バットモービルもない」ということでガジェットにも制約がかかっているのかなと。

水﨑:そうですね。ただ、そこは逆に描きやすかったです。現代のガジェットを電気がない時代に持ち込んだら充電切れるよねって。

――その点はバットマンだからこそドラマになる部分ですね。普通の人間ですから。甲冑もバットマンだから似合うところですね。タイトルを見たときはエライことやるなと思いましたけど(笑)。

水﨑:出オチがすごいですよね(笑)。

――ビジュアルや映像を見たとき、カッコイイって。

水﨑:全然、ニンジャじゃないですけどね。そこは見ていただければ納得してもらえるハズです。

――歴代ロビンが全員出ているのもいいなと。

水﨑:これはやりたかったことです。いままでそういう絵がなかったので。

――それに、ヴィラン(悪役)にもスターが散りばめられていて。よくこれだけ出したなと関心してしまいました。

水﨑:キャラクターが多い方がファンには喜んでもらえますから。ただ、よくこういう映画でキャラが多いとエピソードが散らばって感情移入が難しいということがあるので、そこにストレスがないようにコントラストを付けています。

――そこはバットマンだからこそ出来ることですね。原作があるので、バックボーンの説明を省略してもついていける。

水﨑:そうなんですよ。今まで日本で公開されたバットマンに出ているキャラばかりなので、詳しくない方でもなんとなくキャラクターをわかってもらえると思います。

――ジョーカーが将軍になっていて。そこは、らしいといえばらしいですね。

水﨑:「郷に入れば郷に従え」というのを作品テーマとして言いたかったんです。戦国時代に来たバットマンが苦戦するのに、この世界に馴染みきったジョーカーはうまく立ち回っていると。アメリカのバットマンに日本アニメあるあるの洗礼も受けてもらって、最後に丁寧にゴッサムに帰ってもらうという。

――日本だからこそのバットマンでないと意味がないので、そこは望まれている部分だと思います。現にアメリカでの先行上映もすごい評判がよくて。

水﨑:おかげさまで高評価をいただけています。そこはプレミア上映での空気でも感じました。笑って欲しいところでちゃんと笑ってもらえて、狙ったところに欲しいリアクションを大きく返してもらえたので、これは共通言語なんだなと感じました。

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Live info.

『ニンジャバットマン』

2018/6/15(金)新宿ピカデリーほかロードショー!

【キャスト】

バットマン:山寺宏一、ジョーカー:高木渉、キャットウーマン:加隈亜衣、ハーレイ・クイン:釘宮理恵、ゴリラ・グロッド:子安武人、ポイズン・アイビー:田中敦子、デスストローク:諏訪部順一、ペンギン:チョー、トゥーフェイス:森川智之、ベイン:三宅健太、ロビン:梶裕貴、レッドロビン:河西健吾、ナイトウィング:小野大輔、レッドフード:石田彰、アルフレッド:大塚芳忠

【スタッフ】

監督:水﨑淳平脚本:中島かずき

キャラクターデザイン:岡崎能士

音楽:菅野祐悟

アニメーション制作:神風動画

配給:ワーナー ブラザース ジャパン合同会社

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