Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー青山裕企(写真家)(Rooftop2018年4月号)

青山裕企の写真家への道!40歳の先に繋がるはなし。

2018.04.01

 フェティシズムをそのままに体現した大ヒット写真集『スクールガール・コンプレックス』、サラリーマンのイメージをあっけらかんと覆した作品『ソラリーマン』シリーズなど、風変わりかつ、馴染みのある写真を読者に届けてくれる写真家・青山裕企さん。赤裸々に語ってくれた思い出に絡む話しのいくつか。カメラワークを掴むたよりになります! さらに、ネイキッドロフトにて4月15日(日)、4月16日(月)に2daysイベントの開催も決定![interview:日野弘美/構成:指中晶夫]

北海道の雄大な景色を”見たまま”持ち帰りたかった20歳ひとり旅

 

——写真を撮り始めたきっかけはなんですか。

青山:写真を撮り始めたのは20歳です。大学を休学して自転車で日本を旅をしている時に写真にはまったんです。

——カメラに興味があったのは、旅をする以前から?

青山:旅をする前は、興味はなかったです。でも、興味がなくても旅先にカメラは持っていくじゃないですか。なのでフィルムのコンパクトカメラは持っていました。旅先で、「良い風景だな」とシャッターを切るんですが、プリントしてみるとなんか違うなと。見たときの感動が全く伝わらない。あのドラマチックで雄大な風景が全く写っていないと思っていました。そんな時に、同じように自転車で旅している人が他にもいて、仲間になったんです。並走したり、休憩した時に喋ったりしていました。その人が一眼レフカメラを持っていたんです。僕の持っているカメラと何が違うのかと聞くと、「一眼レフカメラは見たまま写るんだよ」と教えてくれたんです。それで、「自転車で走りながら感動している北海道の雄大な風景がそのまま写るんだ!」と思い立ってすぐに一眼レフカメラを買ったんです。

——現在の被写体は主に人ですよね。どのような経緯で人を撮影することに?

青山:もともと、性格がすごく人見知りなんですね。人と上手く接することが本当にできなくて。人とコミュニケーションをした時にうまく自分を発揮できない、というコンプレックスを変えたくて旅に出たんです。典型的な自分探しでした。そんな旅先でものすごく写真にはまって、大学に戻ったんですよね。それでまず、自分のジャンプ写真を撮ったりしたんですけど、その写真を見た友達がジャンプに対して興味を持ってくれて。そこから友達を被写体にして、少しずつ人を撮れるようになったんです。「被写体を跳ばせる」という武器を手にしたことで撮影しやすくなりましたね。人を目の前にして、どう声をかけて良いか分からない時に、「跳んでください」と一声かけることができるようになりました。

 

エロいと感じるのは、読者の想像力!

 

——写真集『スクールガール・コンプレックス』が18禁扱いになりつつあるとお聞きしたのですが…

青山:そうなんです。ヴィレヴァンの暖簾の奥に置かれているんですよ(笑)。

——ちょっとしたものにでも18禁指定をされることによって、撮りづらくなったなと感じますか?

青山:撮りづらいか、撮りやすいかと聞かれれば、撮りづらい世の中にはなってきたのは間違いないです。でも、あまり気にしていないですね。僕は、『スクールガール・コンプレックス』という作品を通してフェティシズムをテーマにしている写真家とみられることもありますが、一方でサラリーマンを跳ばせた写真も撮っていて、フェチ写真ばかりを撮り続けていきたい人ではないんです。僕の写真をエロいという人は、見ている人の感覚がエロいんですよ…! ヌードを見てエロいと感じるのは脱いでいるからだけど、僕の写真は脱いでいないものがほとんどで。核心的な部分が見えていないというのが肝なんです。それなのにエロいと感じるのは、読者の想像力で。そこが写真の良さだなとも思うんですよね。

 

『スクールガール・コンプレックス』の変化

 

——『スクールガール・コンプレックス』の映画を作って、コンプレックスは解消されましたか?

青山:そうですね。写真では顔を出していないのですが、映画では顔が出ているんです。それまでの作品で顔が写っていないというのは、思春期の頃の僕が異性と目を合わせられないというコンプレックスなんですよ。共学だったので、同じ教室には男子女子半数たわけです。女の子と話したいし付き合いたいし、でもそういうことをしたことがない。女の子と目が合いそうになったら、僕は視線を逸らすんです。女の子を遠目で見る中で、ドキドキしていたんですね。だから、女の子を見ることができるのは後ろ姿、うなじや透けるブラの紐とか、登校の時の前を歩いている女の子の膝裏とか(笑)。そこからすごい想像を膨らませてドキドキしていたんです。顔は見ていないんですよね。なので、高校時代の女の子の顔とかはあまり覚えていないんですよ(笑)。

——ニッチですね(笑)。

青山:いや、案外、多いと思うんですよ(笑)。だから、写真集が売れたのかなと…。

——コンプレックスが解消されると、新しいコンプレックスが生まれることはありますか?

青山:作品はどんどん変化し続けているんですよ。以前は女の子ひとりが対象だったコンプレックスから、今は女の子ふたりが対象になっているんです。そこでは、女の子同士の人間関係を撮りたいんですよ。僕は、「女の子とうまく話せない人見知りだ」というコンプレックスが第一のコンプレックスだとすると、第二のコンプレックスは、「女なんて信用ならん」という不信感なんです。女の子って集団になると妬み恨みが怖くて…。その二面性が女の子らしさなのかもしれないんですけど。一番わかりやすいイメージは、めっちゃ楽しく話している机の下で、めっちゃ足を踏みあっているみたいな(笑)。

——怖い(笑)。

青山:あくまで僕のイメージですけど(笑)、結構根深く持っています。女性不信になるような出来事が、高校時代に立て続けにあったりもして。触れられないし、信じられないという異性観になってしまったんです。

 

「女の子」から「女性」が被写体に?

 

——今後、女の子ではなく女性、という違ったエロスを撮りたいとは思いますか?

青山:僕が、10代後半の女の子を撮り始めたのは220代の頃なんです。別に、付き合いたいから撮っているわけではないんですが、撮影中はもしかしたら恋人かもしれないと想像をすることによって、感情移入ができたんですよ。でも40歳にもなると、例えば110代の子を撮っていても、「娘みたいだな」と思ってしまうんです。だから、異性の撮り方も確実に変わっていくのではないかと思います。

——では、被写体が変わるかもしれない?

青山:そうですね。若さが武器にならなくなってくる20代後半から30代にかけての女性は色気が出てくるし、それを自覚的に使える人はさらに色っぽくなる。なので、今は大人の女性のキュンとくる仕草というのにすごく興味がありますね。

 

背景から、リアリティを

 

——撮影の背景はロケハンして選びますか?

青山:そうですね。まず、人物を撮る時には常に3つの関係性を考えます。カメラマンがいて、モデルがいて、背景がある。この3つの関係です。そこで、写真にはカメラマンが写っていないというのがポイントなんです。写真を見る読者はカメラマン視点で見るわけです。目の前にいるモデルをどう撮るか。例えば、モデルの女性が、友達のように見えるか、それとも恋人のように見えるか。もっと細かくいうと、付き合い始めのカップルか、熟練カップルか、結婚しているのか、とか。写真には、カメラマン=写真を見る読者と、モデルの関係性が写るんです。その時に読者が手掛かりにするのは背景なんですね。海ならデート? 少し汚いワンルームの部屋なら同棲? とか。背景から関係性が読み取れます。なので、ロケハンしながらいろいろと考えますね。

——ロケ地のインプットは、漫画や映画などの映像からも着想するものですか?

青山:カメラマンによって全く違うと思いますが、私は人が作ったモノはあまり見ないですね。

——カメラを始める以前もですか?

青山:正直的なところ、あまり見ていないですね。漫画も『ドラえもん』と『こち亀』くらいしかちゃんと読んでいないんです。サブカルチャーを通っていないんですよね。なので、撮影場所をどこにするかを考えるときは、自分次第ですね。今まで自分が見てきたもの、想像してきたものです。旅していた経験が生きているかもしれません。職業病なのですが、日常生活の全てがロケハンなんです。この時間のこの壁は良い光が当たるなとか、この時間ならビルとビルの間から光が差し込んでくるなとか。同じ場所でも時間や天気が違えば世界は全く異なるので、見た景色は全てストックしていますね。

——撮影時のカメラは、いつも決まっているのですか?

青山:フィルムの頃に比べると、カメラの差はなくなってきた時代なんですが、どのカメラでも良いというわけではなく、なおさらカメラは使い分けをしますね。僕は最近、仕事でもiPhoneを使うことがあります。今は皆がスマホで写真を撮っている時代なので、スマホで撮った方が皆が見たことがありそうな、リアリティのある写真になるんですよね。

 

思い出の場所、「聖路加タワー展望室」と「荒川の土手」

 

——好きな街はありますか?

青山:今は登れないですけど、東京の明石町に聖路加タワーという建物があって、そこに展望室があったんです。無料で入れたので、よく行ってましたね。東京の景観を見渡しながら、こんなところで僕はやっていけるのかなと不安に思ったけれど、やってやるぞと(笑)。20代半ばに写真で生きてゆくと決意した頃ですね。上京して初めて住んだのは、堀切菖蒲園の近くです。荒川の土手から徒歩1分くらいのところに住んでいたんです。お金はなかったけど時間はあったので、土手でよく昼寝してたのも覚えています。そこで写真もよく撮っていました。

——新宿みたいな大きな街はどうですか?

青山:新宿は、大学時代に茨城県のつくばから東京に通って、スナップ写真を撮っていました。今のオフィスの近くでも撮っていましたね。その当時の新宿のイメージは、とても怖い街でした(笑)。

 

 

新刊『クリエイターのためのセルフブランディング全力授業』刊行!

 

——最後に3月30日に出版される、『クリエイターのためのセルフブランディング全力授業』について少しお聞かせください。

青山:これは上の立場からモノを言う本ではなく、自分としても駆け出しのカメラマンとしての時期が終わり、中堅に位置する今は、「悩みの時期」なんです。なので、自分も悩んでいるんですよと言う立場で書いた本です。ちゃんと自分について意識的に深掘りしていくと、みんなと違って、自分ならではの思わぬ武器があるんです。それを自覚することができれば業界で生き残っていけるよ、という内容の本です。僕自身がいろんな人に取材をしているのですが、すごくタメになりました。なので、オススメです!

——青山さんご自身は、本は読みませんか?

青山:漫画は読みませんが、本は好きで読みます。ビジュアルがないので、自分で想像できるからいいんでしょうね。小説なら村上春樹が好きです。音楽はミスチル、野球は巨人! 僕はかなり普通で王道なんです(笑)。

 

LIVE INFOライブ情報

「写真家・青山裕企の最初で最後の生誕祭~不惑のよいこ祭り~」

【出演】青山裕企(写真家)

2018年4月15日(日)

会場:Naked Loft

OPEN 17:30 / START 18:30

前売2,500円 / 当日3,000円(税込・要1オーダー500円以上)

※前売りチケットはe+にて発売中

 

「 写真家・青山裕企の最初で最後の生誕祭 part.2 ~今までありがとう。今後ともよろしく!~」

【出演】青山裕企(写真家)

2018年4月16日(月)

会場:Naked Loft

OPEN 18:30 / START 19:30

※業界関係者のみ参加のイベントになります。

 
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