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アーバンギャルド(Rooftop2018年3月号)

 2008年にデビュー・アルバム『少女は二度死ぬ』を発表してから10年を迎えるアーバンギャルドが8枚目のオリジナル・アルバムにして10周年記念アルバムとして発表する『少女フィクション』は、コンセプチュアルな大作志向を突き詰めた前作『昭和九十年』から一転、本来の持ち味である多彩なソングライティング・センスにさらなる磨きをかけ、純度100%の極上ポップ・ソングばかりを精選した軽やかな快作である。初期の少女三部作を想起させるタイトルからも窺えるように、病的にポップで痛いほどガーリーだったあのころのアーバンギャルドを彷彿とさせる面もある。だが10年前とは明らかに違う。死にたい、消えたいと訴えていた少女は暗黒の青春期を微笑みながら回顧する悠然さを手に入れた。レコードみたいに捨てないでと懇願していた少女は自分の正体をただの歌だと言いきる強さを身につけた。アーバンギャルドという10歳の少女は虚構と現実の境界線を自由に行き来する歌となり、虚構のなかにこそ人生の真理があることを伝えるフィクションとして機能し、インスタ映え至上主義の不条理な時代をしなやかに生き続けるのだ。(interview:椎名宗之)

楽曲に身体性が伴ってきた10年

──今年の10周年記念イヤーへ向けて、去年からカウントダウンキャンペーンを着実に重ねて布石を打ってきた感がありますね。

松永天馬(vo):一昨年の段階から中野サンプラザという自分たちがこれまでやったことのない広い会場でワンマンをやろうと話し合いをしていて、そこまでのあいだにこれまでやってきたことを振り返ってみようと思ったんですね。それで去年の5月にリクエストワンマンを東阪でやったんです。ファンの方にライブの定番曲からレアな曲まで聴きたい曲を投票していただいて。その後、11月には東名阪でフラッシュバックワンマンと称して過去7枚のオリジナル・アルバムの収録曲をアルバムごとに再現するというかなりムチャなライブをやりまして。発表当時とは編成もメンバーも違うし、当時の曲をいま聴くとだいぶライブ向きではないものもあったんです。

おおくぼけい(key):普通のロック・バンドだったらむかしの曲をやるのは意外とすぐにできると思うんですよ。

松永:アーバンギャルドはギター、ベース、ドラム、ボーカルが揃った一般的な編成じゃないし、シーケンスを駆使したバンドですからね。

おおくぼ:それに、10年前の打ち込みはそこで成長が止まってるんです(笑)。

松永:シーケンスっていうのはオケですから、当然のごとく上手くなってくれないわけです。だからものによっては音を精査して入れ直したり、いまの演奏に馴染ませる作業に時間を費やしたんですよ。

──デジタルなのかアナログなのかよくわかりませんね(笑)。

松永:そうした作業をやってみて思ったのは、10年前のアーバンギャルドは妄想のなかだけのものというか、部屋に閉じこもった人の頭のなかで鳴らしてる音をそのままCDにしたみたいな感じなんですよね。ひきこもりの子のベッドルームで鳴り響いていた音。だからその音をライブハウスで鳴らそうとすると、PAさんを非常に手こずらせるわけですよ。たとえば都内の某ライブハウスの場合、どんなにお願いしても打ち込みの音を大きくしてくれないんです(笑)。おそらくその卓で出せる音の限界があるんでしょうね。ドラマーがいないときはドラムの打ち込みの音が全然聴こえなくて、次に出てくるハードコアノイズ・バンドに音が負けてしまうことがあったり。それがライブを繰り返すことによってだんだんと身体性を伴ってきた。そういう変化を続けた10年だったんだなと思いましたね。

──オリジナル・アルバムの再現ライブをやることでこれまでの歩みをトレースして、バンドを客観視できたところもありますか。

おおくぼ:僕は途中から入ったので、むかしの曲を改めてブラッシュアップすることによって当時のアーバンギャルドの歩みに自分を重ねられたところがありましたね。

松永:10代のときに観た古典映画を30代になって観ると全然違う印象を覚えることがあるじゃないですか。かつて自分の書いた歌詞にも似たようなことがあるんです。僕が20代のころに書いた「あたしたちの青春はあなたのものです」という「プリント・クラブ」の歌詞もいまの自分が唄うと当時とは印象が変わるし、何年もライブに通い続けてくれるファンの方が聴くと全然違う意味合いを持ってくる。そうやって年を経て曲にいい風合いが出てくるところがありましたね。あと、アーバンギャルドというバンドがリスナーやファンの方、メンバーやスタッフなどいろんな人たちのものになって、アーバンギャルドという一人の少女、一人格として成長したようにも思うんです。

UG_MV 01.jpg──10歳の少女といえば第二次性徴期にあたるころですしね。

松永:そう、10歳ですよ。多感な少女です。そして10年前といえば、みんなまだmixiをやってたじゃないですか(笑)。

──天馬さんが浜崎さんにボーカルをやってくれないかと連絡したのもmixiでしたよね。瀬々さんはアルバムの再現ライブをやってみていかがでしたか。

瀬々信(g):10年前はこんなにライブをやることをまったく考えずにアルバムをつくっていたので、いざライブをやると演奏面で矛盾が生じることもあったんです。ベースラインが特にそうで、フラッシュバックワンマンで使った打ち込みではベースを僕が生ベで弾いたものに差し替えたり、いろんな細かい修正をしたんですよ。かつてシンセでつくったベースとまったく同じフレーズを生ベで弾いて重ねてみたりして。とても人間が弾けるもんじゃないよ! と思いながら弾いたんですけど(笑)。

松永:あと、アーカイブが残ってるものと残ってないものがあるんです。音もそうなんですけど、当時、浜崎さんが考えていた振り付けでライブ映像が残っていない場合はなんとか思い出してみたり、新たに振り付けを考えるしかなかったんです。ライブで初披露した「バースデーソング」は新たに振り付けをつくって、全員がオケで踊りましたからね(笑)。

 

少女フィクション(初回豪華盤)

2018年4月4日(水)発売
発売元:前衛都市 / 販売元:FABTONE
価格:¥3,800(税別)/ FBAC-050(CD+DVD)

【収録曲】
01. あたしフィクション(作詞:松永天馬 作曲:浜崎容子 編曲:アーバンギャルド)
02. あくまで悪魔(作詞:松永天馬 作曲:アーバンギャルド 編曲:アーバンギャルド・杉山圭一)
03. ふぁむふぁたファンタジー(作詞:松永天馬 作曲:松永天馬 編曲:アーバンギャルド・杉山圭一)
04. トーキョー・キッド(作詞:松永天馬 作曲:おおくぼけい 編曲:アーバンギャルド)
05. ビデオのように(作詞:松永天馬 作曲:松永天馬 編曲:アーバンギャルド)
06. 大人病(作詞:松永天馬・浜崎容子 作曲:浜崎容子 編曲:アーバンギャルド)
07. インターネット葬(作詞:松永天馬 作曲:松永天馬 編曲:アーバンギャルド)
08. 鉄屑鉄男(作詞:松永天馬 作曲:瀬々信 編曲:アーバンギャルド)
09. キスについて(作詞:松永天馬・浜崎容子 作曲:おおくぼけい 編曲:アーバンギャルド)
10. 少女にしやがれ(作詞:松永天馬 作曲:松永天馬・おおくぼけい 編曲:アーバンギャルド)
11. 大破壊交響楽(作詞:松永天馬 作曲:おおくぼけい 編曲:アーバンギャルド・杉山圭一)
【DVD収録曲】
01. あたしフィクション(PROPAGANDA VIDEO)
02. あくまで悪魔 (PROPAGANDA VIDEO)
03. ふぁむふぁたファンタジー (PROPAGANDA VIDEO)
04. 大破壊交響楽(MEMORIAL VIDEO)
*ブックレット:24ページ

少女フィクション(通常盤)

2018年4月4日(水)発売
発売元:前衛都市 / 販売元:FABTONE
価格:¥2,800(税別)/ FBAC-051

【収録曲】
01. あたしフィクション(作詞:松永天馬 作曲:浜崎容子 編曲:アーバンギャルド)
02. あくまで悪魔(作詞:松永天馬 作曲:アーバンギャルド 編曲:アーバンギャルド・杉山圭一)
03. ふぁむふぁたファンタジー(作詞:松永天馬 作曲:松永天馬 編曲:アーバンギャルド・杉山圭一)
04. トーキョー・キッド(作詞:松永天馬 作曲:おおくぼけい 編曲:アーバンギャルド)
05. ビデオのように(作詞:松永天馬 作曲:松永天馬 編曲:アーバンギャルド)
06. 大人病(作詞:松永天馬・浜崎容子 作曲:浜崎容子 編曲:アーバンギャルド)
07. インターネット葬(作詞:松永天馬 作曲:松永天馬 編曲:アーバンギャルド)
08. 鉄屑鉄男(作詞:松永天馬 作曲:瀬々信 編曲:アーバンギャルド)
09. キスについて(作詞:松永天馬・浜崎容子 作曲:おおくぼけい 編曲:アーバンギャルド)
10. 少女にしやがれ(作詞:松永天馬 作曲:松永天馬・おおくぼけい 編曲:アーバンギャルド)
11. 大破壊交響楽(作詞:松永天馬 作曲:おおくぼけい 編曲:アーバンギャルド・杉山圭一)
*ブックレット:12ページ

Live info.

10周年記念公演
アーバンギャルドのディストピア 2018
『KEKKON SHIKI』

2018年4月8日(日)東京・中野サンプラザ
OPEN 16:15 / START 17:00(終演20:00予定)
※SSS指定席(18,000円)、SS指定席(14,000円)、S指定席(7,000円)、B指定席(4,000円)は完売。A指定席(5,000円)は絶賛発売中です。

雌猫乱心!戦慄の雛祭り【浜崎容子 出演】
出演:キノコホテル / 浜崎容子 / ヒミツノミヤコ / ホノオミカ / 密会と耳鳴り / 絵恋ちゃんと楽器 / 他
2018年3月2日(金)新宿ロフト
OPEN 18:00 / START 18:30
前売 女性¥300・男性¥3,000 / 当日 未定
チケットはイープラス、新宿ロフト店頭にて発売中
問い合わせ:新宿ロフト 03-5272-0382

新作の発売週に東京、大阪、名古屋でインストア・イベント『アーバンギャルドの公開処刑13』を開催!
4月4日(水)大阪:タワーレコード梅田NU茶屋町店 19:30〜
4月5日(木)名古屋:HMV栄店 19:30〜
4月6日(金)東京:タワーレコード新宿店 21:00〜
*いずれも内容はトークライブ&生写真サイン会
*詳細はこちらをご参照ください