Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー稲荷直史(Rooftop2018年3月号)

過去と憧れを抱いて新たな一歩はネイキッドロフトから

2018.03.01

 「リコチェットマイガール」として約7年間バンド活動をしていたが、その名義での活動に幕を下ろし、本名で音楽活動を歩むことになった「稲荷直史」。紆余曲折しながら、ようやく1人で音楽活動をしていく意義を見つけたようだ。大きな決断をした後の最初の一歩は、自身もお客さんとして足を運んでいた百人町にあるロフト系列の路面店「ネイキッドロフト」から。そんな彼に「リコチェットマイガール」を経てから、今の心境に至るまでの経緯を伺ってきました。[interview:樋口寛子(新宿LOFT)]

自分の新しいプロジェクト、新しい音楽の形を見つけて挑戦していきたいと思います

─最近の近況を聞かせてください。

稲荷:去年の11月にバンドの名義でアルバムを出させていただいたのですが、また新しい曲を作っていて。3月11日にネイキッドロフトでイベントをやらせていただくのでその準備をしています。

─新曲の制作は順調ですか?

稲荷:今までは思いつきで自分がやりたいように作ってきた曲も多いのですが、ここ最近は作りたいものや表現したいものに対してどうやったらうまく伝わるだろうかとか、大本のバックグラウンドを根本から探ったりするなど、今更なことばかりなんですけど、改めて向き合っていくにあたって、四苦八苦しながら曲を作っています。

─そんな製作中の新曲たちをネイキッドロフト公演で聴くことは出来ますか?

稲荷:今回は新曲ばかり演奏する予定です。これまでのバンドでやってきたものだけでなく、稲荷直史としての楽曲をやっていきたいなと思っています。そして「リコチェットマイガール」名義は実は先月で終わりました……(笑)。

─また突然ですね(笑)。

稲荷:2011年からこのバンド名で大学の同級生やライブハウスで出会った友人、先輩のプレイヤーさん方を巻き込んで活動をしてきたのですが、現状一人でバンド名を背負って活動していることと、自分がこれからの人生で実現していきたいこととのバランスが悪くなっているなというのを感じまして、終えることにしました。

 ─「リコチェットマイガール」を終わろうした理由を聞かせてください。

稲荷:「リコチェットマイガール」としてやってきたことの延長として「稲荷直史」としてやっていきたい音楽はたくさんありますが、今までこういう曲を作ってきたから次はこういう曲をやろう、と考えた時に、今年は自分がちゃんとやりたいことや流行を意識した音楽をやる意味を見つけたいなと思い、地続きでやってきた「リコチェットマイガール」を終えてもいいのかなと思ったのがきっかけです。

─なるほど。

稲荷:去年2月から「リコチェットマイガール」で一人体制のバンドとしてやっていこうと決めてから、ライブをしたり自主レーベルでCDをリリースしたりと、いろいろなことを経験させてもらったのですが、今後、新しく音楽を作っていくにあたって悩んだ結果、今の形って全然賢くないのかなと思ってしまって。そうなったら、一度ちゃんとけじめをつけようと思いまして。

─約7年も活動をしてきた中で大きな決断ですよね。

稲荷:スタッフと今後の話をしている時にさらっと答えが出た感じですね。ずっと悩んでいましたが、そっちのほうがこれから楽しいことができるよねという考えに辿りついたので、自分の新しいプロジェクト、新しい音楽の答えを見つけて、これから先は挑戦していきたいと思います。

─「稲荷直史」としてはどんな活動を予定していますか。

稲荷:今までは「稲荷直史」としてライブする時はバンドの曲を弾き語りすることが多かったのですが、今後は弾き語り、バンドセットなどの形に拘らずにライブや音源の発表が出来たらいいなと考えています。また、自分が歌う曲ではない音楽も作っていきたいし、いろんなことに挑戦したいですね。

─その流れで今年はどんな1年にしたいですか?

稲荷:去年1年がこれまでやってきたバンドにどう向き合って、どうやっていこうと考えていたら引きこもってしまったという反省があるので、今年はもっと外に向けて発信していきたいです。新しい自分の音楽を作って、もっと沢山の人に聞いてもらえたらなと思います。

─音楽でやりたいことがより明確になったようですね。

稲荷:今までバンドを7年やっていたのもあり、分からなくなってきたのもあるかもしれないですけど。これから一人でやっていこうと考えた時に、今の現状は思いのほかすっきりしていますね。

─今までも「リコチェットマイガール」をやりながら弾き語りをやっていたと思うのですが、当時はソロとしてやっていくぞという思いはなかったのでしょうか。

稲荷:バンドのボーカルとしての弾き語りをやっていたのでバンドの曲を歌っていましたが、当時はバンドのボーカルとはいえ一人でもステージに立てないとダメだなと思い、弾き語りのオファーを受けるくらいの気持ちでやっていました。

─「稲荷直史」としての作品を作っているとのことですが、今後それが形になる予定はありますか?

稲荷:もちろんするつもりでやっています。アルバムになるのか配信になるのかは分からないのですが、映像としてでも形にして、とにかく早く今の自分の最新を世に出していけたらなと思います。

 

ネイキッドロフトで演らせて頂くからにはただ歌うだけではなく、トークもしっかりとできたらなと思います

─3月11日のネイキッドロフト公演はどんな公演にしたいですか?

稲荷:新曲が多いので、作った曲を純粋に楽しんでもらえたらなと思います。演奏もバンドセットまではいかないのですが、カホンを入れたりといろいろ考えています。

─昨年リリースしたアルバムからの演奏はありますか?

稲荷:今まではバンド名義で出しているので、その曲をこれからどうやっていこうかなとは考えているのですが、僕が作った曲なので歌っても良いかなとは思ってはいるんですけどね。アルバムが中心のセットリストではないのは確かですね。

─当日はどんな構成で考えていますか?

稲荷:ライブとトークも考えています。トークコーナーにもゲストを呼んで出来たらなと。

─盛りだくさんな1日になりそうですね。「レモンサワー飲む人が好きだった」という公演名も気になります(笑)。

稲荷:僕、普段ビールとかサワーしか飲まないんですけどある時、気づいたらレモンサワーを注文していた時に、「僕はレモンサワー飲む人のことが好きだったのか?」と。人の趣味がいつの間にかうつっていることってあるなと思って。タイトル自体は、曲のタイトル候補だったものでもあります。

─ちなみにアットホームであり、程よい集客ができる会場は都内にはたくさんありますが、なぜ今回ネイキッドロフトを選んでくれたのでしょうか。

稲荷:一人でやるワンマンなのでカフェ等も考えましたが、LOFTのライブハウス系列に憧れがあるので。新宿ロフトに出演したり、阿佐ヶ谷ロフトやプラスワンにもお客さんとして足を運んでいましたし。そんな中、ネイキッドロフトを薦めていただいてこれはチャンスだと(笑) 。

─今回の公演を機に定期的に開催していけたらいいですよね。その度に新曲が聴けるみたいな(笑)。

稲荷:ネイキッドロフトで演らせて頂くからにはただ歌うだけではなく、トークもしっかりと出来たらなと思います。初めてのことばかりですけど(笑)。

─ライブとトークのコーナーがあるというのは新しい一歩でもありますよね。

稲荷:今まで興味はあったんですけどね。バンドのスタイルでそれをやるのはどうかなと迷いもあったので。今は一人なのでなんでもやったろうと。

─一人だからこその強みはありますからね。今まで7年間背負ってきたものは一回リセットし、今度は自分の名前を背負って活動していくというところに心機一転感がありますしね。楽しみですね。

稲荷:形態は弾き語りというのには拘らずに、今までにバンドのサポートで手伝っていただいた方にも声をかけていきながら、自由にやれたらなと思います。それこそあらゆる人とコラボなども考えていますし、極端なことも面白おかしくやっていけたらなと思いますね(笑)。

─最後に3月11日公演の意気込みを聞かせてください。

稲荷:初めての箱でのワンマンなので緊張もあるんですけど、個人的に足を運んだこともある好きなライブハウスで演奏ができるので、自分も楽しめたら良いと思っています。来てくださる方も一緒に楽しんで貰えたら嬉しいです。

 

 

このアーティストの関連記事

LIVE INFOライブ情報

2018年3月11日(日)

稲荷直史ひとりワンマン「レモンサワー飲む人が好きだった」

ネイキッドロフト

OPEN 18:30 / START 19:00

前売¥2500 / 当日¥3000 ※要1オーダー(¥500以上)

【出演】稲荷直史

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻