Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー小沢団子(Rooftop2018年2月号)

コスプレや変装とはまた違った新しいカルチャーの確立

2018.02.01

 SNSなどで見かけるようになった単眼のお面を被った女性たち。これは小沢団子さんの作品で、ひとつひとつ顔が違い個性があり、持ち主たちの手によって人格ができあがっている。なぜここまで単眼面を被る女性が増えたのか、制作者であり、自身も「ちもさん」という単眼のキャラクターを作り上げた小沢団子さんにインタビューしました。[interview 野口結生(LOFTPLUSONE)]

単眼はお面じゃないとなれないから作って被ってみた。

—小沢さんが単眼面を作り始めたきっかけってなんだったんですか?

小沢:もともと着ぐるみやお面を作品として作っていて、単眼面を始めて作ったのは2012年頃で、最初に「ちもさん」(今小沢さんの所有している面)を作りました。ピクシブで単眼娘っていうのが流行っているよって友達に勧められて、実際見てみたら良いな。と。

 −どこに惹かれたんでしょうか?

小沢:なんですかねー、目がおっきくて可愛いなって(笑)。単眼はその頃、暗くてアングラな雰囲気が結構多かったんですけど、明るくポップな単眼を描いている方がいて、それがなんか良いなと思ったんですよね。あと、目が二つあるのは着ぐるみじゃなくてもコスプレでもいいんじゃないかと思い始めたんです。でも単眼はどうやって頑張ってもお面じゃなきゃなれないので、じゃあこれこそ着ぐるみでやるべきジャンルなのでは? と思って作ったのがはじまりです。

—今となってはたくさんの方に単眼面を作っていますが、最初は自分で被るのが目的だったんですか?

小沢:そうですね、特に誰かに被ってもらおうとかじゃなかったです。そもそも私は友達がいなかったんで、被ってもらう人を探すくらいなら自分で被っちゃおうかなと(笑)。その頃の美少女着ぐるみって99.999%って言っていいほど内臓(着ぐるみの中の人)は男性が多かったですね。美少女着ぐるみを着る男性って、女装の流れからくる方がいるんですよ。そういう流れがそもそも女性にはないので、着ぐるみは入り辛かったのかな。私は初めて単眼ちゃんと会った時に、今までの着ぐるみのイメージが覆りました。そこにはキャラクターが成立していて、着ぐるみを着ていることを意識させないというか。

—昔から着ぐるみ界はそういうことがあったんですか?

小沢:もともと着ぐるみ界ではオリジナル子というのも存在はしていたんですけど、あ、これ業界の話で深い話になっちゃうんですけど(笑)、シグマさんというところがあって、そこが量産型でオリジナルで髪の毛と目の色を選べるっていうサービスを始めたんですよ。それが爆発的にヒットして。今まではアニメとかゲームのキャラクターの着ぐるみばかりだったのが、オリジナルの子を持つようになったんですよ。けれど、さすがに量産型だったし、内臓が男性の方だとどんな服を着せたいとか考えるのは難しかったでしょうし、着ぐるみに個性を持たせるのは難しかったんでしょうね。そこから考えると、ちもさんは普通の世の中の女の子が着るような原宿系の服を着て、ちもさんという独立したキャラクターで、しかも目が一つでって個性はあったと思いますね。

—単眼ちゃんたちの内臓さんは一般女性で、しかも自分自身は全然表に出なくていいからうちの子(自分の所持している単眼ちゃん)を有名にしたいっていうのが不思議でした。

小沢:私はあくまで単眼面はコスプレの一つだと思っていたんですけど、でも単眼面を買ってくれる人たちは単眼ちゃんをネットアイドルみたいな感じにしていて、それが驚きというか。面を被ると性格が変わるんですよ。きっと違う人格を持ちたい女性が顕著に内臓になりはじめてるのかもしれないですね。もともと単眼は興味ないのに、違う人格になりたいから単眼面を被りたいという方もいます。でも内臓さん自身はタレントママみたいにあくまで裏方で。うちの子カワイイ! もっと表に出したい! みたいな。むしろ内臓なんていないというミッ〇ーのような存在の子もいます。

 

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小沢さんの作ったちもさん

 

「ちもさんフレンズ」とは

—イベント名にある「ちもさんフレンズ」っていう言葉はそもそも前回のイベントの時には既に存在していた言葉なんですけど、どんなきっかけでできたんでしょうか。

小沢:デザフェスか何かに自分の作った単眼ちゃんたちが出ていて、せっかくだしリツイートしようかなと思った時に、その時にすでに単眼ちゃんのアイドル化現象が始まっていて、単眼ちゃんたちに名前がついているわけですけど、みんな名前でSNSに書きこむわけですよ。「kiccoちゃんに会えた!」とか。なので「お面」とか「単眼」で検索をかけても出てこないんですよ。

—その時すでに単眼ちゃんたちは個々のキャラクターを持ち始めていたわけですね

小沢:もちろん、全然知らなくて通りかかった人は「一つ目のお面が」とか「単眼」とか言うんでしょうけど、本当に好きな人ほど、その子を名前で呼ぶんですよ。そういう人たちのツイートをたくさんリツイートしてあげたくて、どうにかならんかなーと思った時にタグを作ろうと思ったんです。ただ、タグが大きくなりすぎて心配にはなります。「ちもさんフレンズ」というグループを作っているわけではないんですけど、誤解されがちですね。最近思ったんですけど、単眼ちゃんたちって同じ世界線にはいるとは思うんですよ。幼稚園の時とか遊んでて全然知らない子が来ても、大人に「ほらお友達がきたよ!」とか言われるじゃないですか。でも、そいつ知らねえし! って思いますよね。「ちもさんフレンズ」もそういう感じで良いと思うんですよ。会ったこともない同じ一つ目のお友達がきたよって言われて、仲良くなりたければなれば良いし、いや知らないし友達にならないし! って思うかもしれないし、それはそれでいいのかなって。そういう意味でのフレンズですね。

 

10月にネイキッドで開催した「#ちもさんフレンズ Cafe」にはたくさんの単眼ちゃんが出演

—多分何も知らない人からしてみると単眼ちゃん達って不思議な存在だと思うんですよね。でも会ってみたら良さが分かったというか。私は単眼ちゃんがかわいくてかわいくて、全ての単眼ちゃんに優しくしたいという気持ちがおさえられなり、ハマってしまいました(笑)。

小沢:(笑)。とにかくこの次元に単眼ちゃんが存在するっていう破壊力はすごいですよね。インパクトはあるかと思います。とりあえずは実際に会ってみて欲しいですね、それで感じることは人それぞれだろうし。内臓さんが一般の女性だとイベントにも頻繁に出たりしない単眼ちゃんもいるわけで、そういう子たちとの交流の場としてもこのイベントはゆるく設けられたらいいなと思っています。3月のイベントは前回全然出来なかったトークに力を入れたいなとは思っているし、前回よりパワーアップして単眼ちゃんはもちろん、お客さんも楽しい場にしたいですね。

 

 

LIVE INFOライブ情報

3/17(土) LOFTPLUSONE
「#ちもさんフレンズ Cafe2」


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OPEN /START 12:00
前売\2,000 / 当日\2.500
(全て台紙付チェキ券1枚つき。飲食別)前売りはe+にて

他イベント情報
2/18 Wonder Festival
3/24 TOKYO MASK FESTIVAL
詳しくはtwitter:@ozawa_dango

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