トップ > インタビュー > イギリス人(Rooftop2018年1月号)

イギリス人(Rooftop2018年1月号)

侘びさびを知った上でパンクを知ったのは財産

──そこで開けた! って感じなんですね、ユーリカ! みたいな。

たつ子りん:そうですね。きっかけは、サンボマスターの使ってる個人スタジオみたいな小さいスタジオがあって、そこって素人の人も使ってるんですけど、マルコシアス・バンプの人とか、友川カズキさんとかわりと大御所の人も使ってて、僕らもそこ使ってたんですよ。で、サンボマスターの機材片付けたり一緒にテレビ見たりしてるなかで……僕ね、当時、青春パンク・ブームみたいのがあって、それ全然響かなかったんですよ。「いや俺、そんなの知ってるし」とか思っててロクに聴いてなかった。でもサンボマスターは当時、曲や歌詞をよりシンプルに転換し始めた時期だったみたいで、そのスタジオで話したんですよ。で、音源をちゃんと聴いてみたりして「あ、この人はちゃんと作ってる!」って思って。僕、上京してからいろんなバンドの人に会ったりして、興醒めみたいなこともあったけど、サンボマスターとイナズマ戦隊だけは同士みたいな感じで付き合ってくれて、一緒に下ネタ言ったりして、「ああ、この人たちってこんな感じなんだ。じゃあ歌詞も全然嘘じゃないじゃん!」って気づいて、「じゃあ俺、もともとコッチ派だったんだから俺だって!」って(笑)。

──はははは。当時の青春パンクと呼ばれた人たちの根っこには、たとえばブルーハーツやジュンスカといった80年代ビートパンクからの影響がありました。イギリス人も、実はそうだった。ただ、パンクが好きな人はどこか斜に構えて当たり前のところがある。影響なんて素直にそのまま出せないぜ、という意地もあったでしょうし。

たつ子りん:小中学校くらいまでは素直すぎるほどにすんごい素直だったんですが、そこから大人の闇を知ったので(笑)、「これは隠そう」とずっと隠していたものを、そこで開いた感じですね。

──なるほど。そこで現在の、リアルに胸を打つ歌へと正面から向かっていった。ではサウンドのほうはどうでしょう? 結成当初からいまと近しいという話がありましたが、お二人はどんなものを聴いてきたんですか? 音楽の趣味はわりと近い?

たつ子りん:地元で初めて会った時に、サコはテレキャスターを持ってて、そんで「テレキャスターといえば誰々」っていうのがわりとある楽器なんですけど、「それ、ブルース・スプリングスティーンのやつ?」って言ったら「そうだよ」って言うから、「だよね、佐野元春じゃないよね!」って盛り上がって(笑)、そこから二人ともビーチ・ボーイズが好きだったり、ルーツ・ミュージックもわりと被ってて。

──ちょっと待て。あんたたち何歳ですか!?

たつ子りん:す、すいません。

サコ:僕ら、実は年齢内緒にしてて。

──あ、そうなんだ。でもまぁ話の流れでおおよそ見当つけますが、あなたたちの世代でその辺をちゃんと聴く人とか、たとえばクラスに同士なんて一人もいないですよね?

たつ子りんサコ:いないです(笑)。

サコ:俺はわりと、親父の影響が強かったんですよ。それでクラプトン、クリーム、スプリングスティーン、ビーチ・ボーイズ、ビートルズとか聴いてて。でもお前は親父の影響とかじゃないよな?

たつ子りん:ない(笑)。

──イギリス人のサウンドを解説するなら、まずオリジナル・パンクやブリティッシュ・ビートロック、アイリッシュやトラッド、さらにメロディック的な要素もありつつ、フォークもでかくありますよね。そこに昭和歌謡や童謡の要素も混じりつつ、ただいちばん色濃く感じたのは80年代日本のインディーズ・ムーブメントからの継承的な感覚なんですよ。で、この混じり方異常じゃね? っていう実感があったので聞いてみたんですが、まさかその辺から掘り下げてるとは思いませんでした。

たつ子りん:はははは。好きなバンドやサウンドがどんどん足されていった結果、こうなっちゃったのかもしれません。僕、家の向かいがレンタルビデオ屋さんだったんですよ。両親は働いてたので、500円渡されてそれで過ごしてたんですけど、その500円でビデオ借りて。もう片っ端からすんごい数の映画を見てて。そのなかでニール・ヤングの映画だったりドアーズの映画だったり、自分で気づかず音楽のジャンルに入って見てって、そこからですね。もらった500円を使わずに貯めて、CDとかを買うようになったんです。最初に買ったのがクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、小学4年生の時でした。多分『イージー・ライダー』見た時に、メチャクチャ長いバンド名のバンドあったなぁって買った気がする(笑)。で、小5になると楽器も買ったりしつつ、その後はロックで、バンド名がカッコいいバンドを名前買い。特にVから始まる名前カッコいい! とか思ってヴァン・ヘイレンとか…ジャンルはよくわかんないからもちろんヘヴィメタもソウルもブルースも無茶苦茶です。

──すごい……(笑)。

たつ子りん:そんなぐっちゃぐちゃに聴いてたなか、パンクに出会うんですが、パンクはCDが半額くらいの値段で買えるんですよ!(笑) で、2枚同時買いしたのがピストルズとラモーンズ。確か小6の時でした。いま思うと、いろいろ聴いた後にパンクを聴けて良かったなぁって思います。単純な初期衝動とかじゃなくて、侘びさびとか知った上でパンクを知ったのは、財産なのかもしれないって。

 

言いたいのは「お前を笑顔にするんだイェーイ!」

──ですね。ところで、いま挙がってるバンド名や人名って米国ものが多いと思うんですが、ええと、そもそもイギリス人という名前はどこから?

たつ子りん:つけた人はもう辞めちゃったんですけど、そもそもは「こんなバンド名はイヤだ!」みたいな感じでメンバーと大喜利してたんですよ。そのなかでイギリス人っていうのが妙にウケて、いずれ絶対変えなきゃいけないバンド名だとも思ったんで、それにワクワクしながら活動していこうって(笑)。

──そして現在に至ると(笑)。ちなみに、同名の先輩がいたって知ってます?

たつ子りん:知ってます知ってます、グレイト・リッチーズもポテト・チップスも知ってたのにイギリス人ってバンドをもりくんさんがやってたの知らなかったんですよ。ケンヂさんがイギリスってバンドやってたのは知ってたんですけど、「人」がついてないからいいだろうって(笑)。ちなみに日本のパンクのなかではケンヂ&ザ・トリップスがポップで僕はいちばん好きです!

──同士よ! っていうかマジ詳しいですね(笑)。はい、では話も後半になってやっとですが、今回のロフトからの配信シングル「などわ」についても聞かないと!! ええと、ロフトとのつながりは?

たつ子りん:うちがまったくペーペーだった頃に、ロリータ18号とゲンドウミサイルとうちっていう企画を代々木のザーザズーでイベント組んでくれた人がいたんですよ。すごく嬉しかった。そんでロフトの話とかをMCでしてたら、それを聞いててくれたんだと思うんですけど、初めて会った極蔵さん、メチャクチャ怖かったんだけど、「俺がお前をロフトに連れてってやる」って(笑)。

──すごくいい話ですね。

たつ子りん:はい! ほんとにロフトが好きだったので、すごく嬉しかった。そこからですね。

サコ:2011年のことでした。

たつ子りん:そこからは、あっという間だったような、長かったような。まぁ僕たち遅咲きですが、やることを変えずにやってきたのが良かったのかな(笑)。

──はい。で、「などわ」。これは短編映画のシングルとしての配信ですが、この経緯は?

たつ子りん:「などわ」は、青森のほうの方言で、あなたと私の意味なんです。あなたの「な」と私の「わ」。で、「わどな」という私とあなたっていう曲がまずあって、それはイギリス人の歌詞の転換期の曲というか、「この曲から意味のある曲を作ります!」って言って書いたんです。コッテコテのラブソング。でも照れくさいから、タイトルを方言にして意味をわからなくして、ってところまでを含めた「わどな」って曲だったんですね。んで、この「などわ」は、せっかくだから、この「わどな」を作った背景も曲にしてみよう! って作った曲で。当時のデモ音源でカップリングで入れた曲だったんです。そしたら、その「などわ」のほうが人気が出て(笑)、そして今回、遂にシングルにまでなってしまったという! 映画も、この曲を聴いたナリオ監督がこの曲で作りたいって言ってくれて。

──おお、これまたいい話です。で、若林美保さん主演のオムニバス映画の1篇として、来春公開される。また、来年2月にはイギリス人通算4枚目となるニュー・アルバム『SMILE』もロフトからリリース、聴かせていただきましたが、これも素晴らしかったです。いろんなサウンド、いろんなタイプの曲があるなかで、通して全部がグッとくる歌で。

サコ:ありがとうございます!

たつ子りん:歌。そうですね。僕、とにかくメロディなんです。メロディ大事だなって。

──ああ、そこは一貫してますものね。だからこそ歌となって歌詞と共に響いてくるんでしょうね。

たつ子りん:まぁ内容は全部「お前を笑顔にするんだイェーイ!」なんですけどね(笑)。

配信&サブスクリプションシングル
などわ

2018年1月17日(水)リリース
2018年春全国劇場公開短編映画『などわ』タイアップ曲

ニュー・アルバム『SMILE』、ロフトレコードより2月14日(水)リリース決定!

Live info.

イギリス人シングル『などわ』リリースツアーファイナル
出演:イギリス人 / セックスマシーン / BiS
2018年1月24日(水)下北沢SHELTER
OPEN 18:30 / START 19:30
前売 3,000円 / 当日 3,500円(ともにドリンク代別、4歳以上チケット必要)
チケットはぴあ(Pコード:102-210)、ローソン(Lコード:73097)、イープラス、SHELTER店頭にて発売中
問い合わせ:SHELTER 03-3466-7430

イギリス人シングル『などわ』リリースツアー
1月20日(土)神奈川 Music Lab. 濱書房
with:SPEED-D.THUNDERBOLT[Vo. ジョニー・パイソン、Gt. ジョージルーカス撮影前(犬神情次、犬神サァカス團)、Gt. チェル・信入(沼倉真、グルグル映畫館、ADAPTER。)、B. ジンジャックビッグボディー(犬神ジン、犬神サァカス團)、Dr. パットン(S@TT-ON)] / 無許可 / Squall / にのみやバンド / and more...

1月21日(日)大阪 十三ファンダンゴ
with:騒音時 / 忘れてモーテルズ

1月22日(月)静岡 Sunash
with:絶叫する60度 / and more...